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4471 三洋化成工業

東証P
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時価総額 967億円
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決算発表予定日

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三洋化成 Research Memo(3):約3,000種のパフォーマンス・ケミカルスを国内外の幅広い産業に提供(1)


■事業概要

三洋化成工業<4471>は、約3,000種のパフォーマンス・ケミカルスを国内外の幅広い産業向けに提供している。製品の多くを材料・添加剤等の形で提供しているため、報告セグメントは市場ドメインと連動した需要先別市場分類として、生活・健康産業関連分野、石油・輸送機産業関連分野、プラスチック・繊維産業関連分野、情報・電気電子産業関連分野、環境・住設産業関連分野他に区分している。大手総合化学メーカーとは一線を画し、独自技術をベースとした高付加価値製品の増産・拡販を推進している。

1. セグメント別概要
(1) 生活・健康産業関連分野
洗剤・ヘアケア製品用の界面活性剤※、殺菌・抗菌剤、製紙用薬剤、高吸水性樹脂、外科手術用止血材、EIA(酵素免疫測定法)用臨床検査薬などを製造・販売している。

※界面(=物質の境の面)に作用して性質を変化させる物質の総称。1つの分子のなかに、水になじみやすい親水性と油になじみやすい親油性の2構造を持つ。


香粧品用原料「PEG」はクリームやローションタイプのスキンケア化粧品、ヘアケア化粧品の湿潤剤や保湿剤として使用されている。ヘアセット剤用ポリウレタン樹脂エマルション「ヘヤロール」や低刺激性シャンプー基剤「ビューライト」などもヘアケア製品市場の多様なニーズに対応している。

高吸水性樹脂「サンウェット」は同社が1978年に世界で初めて工業化し、紙オムツや生理用品などの衛生材料、農業・園芸、食品・流通、土木・建築、化粧品・雑貨、トイレタリー、ペット関連、電気・電子材料、塗料・接着など幅広い分野で使用されている。高吸水性樹脂は子会社のSDPグローバル、三大雅精細化学品(南通)、SDPグローバル(マレーシア)が製造・販売している。紙オムツ・生理用品等の市場規模は大きいが、競合も多いためやや低収益構造となっている。2022年8月には、SDPグローバルが原料の一部に植物由来原料(バイオマス原料)を使用した高吸水性樹脂を開発し、(一社)日本有機資源協会が認定するバイオマスマークを取得した。

外科手術用止血材「マツダイト」は、胸部大動脈や弓部分岐動脈の人工血管への置換手術の際の吻合部に使用される。同社初の医療機器として2014年2月に国内発売を開始した。2019年7月にはCEマーキングを取得して欧州市場への展開を開始、2020年3月には脳血管を除く血管全体吻合部の止血材へ適応拡大、2021年7月には香港での発売を開始したほか、同年12月に台湾での臨床使用を開始した。なお、需要拡大に対応するため、「マツダイト」の生産能力を約5倍に増強することを発表している(2024年2月稼動予定)。医薬品分野ではこのほか、医薬品原料「マクロゴール」が腸検査薬関連で国内において高いシェアを誇っている。

(2) 石油・輸送機産業関連分野
自動車内装表皮材用ウレタンビーズ、自動車シート用ポリウレタンフォーム原料、潤滑油添加剤、燃料油添加剤などを製造・販売している。

自動車内装表皮材用ウレタンビーズ「メルテックス」は2000年8月に開発・実用化した。インパネなど自動車内装材の表皮材料として使用され、高意匠化に貢献している。自動車の変速機・エンジン潤滑油に使用される添加剤「アクルーブ」は、温度による潤滑油の粘度変化を小さくする効果が高いポリメタクリレート系の粘度指数向上剤であり、自動車の燃費向上に貢献している。ポリメタクリレート系粘度指数向上剤のメーカーは実質的に世界に2社しかなく、同社は日本の自動車メーカー向けで圧倒的なシェアを誇っている。

(3) プラスチック・繊維産業関連分野
永久帯電防止剤、顔料分散剤、塗料コーティング用薬剤・添加剤、塗料用バインダーとして使用される樹脂改質剤、塗料用樹脂、消泡剤※、繊維製造用薬剤、炭素繊維用薬剤、自動車に使用される合成皮革・弾性繊維用ウレタン樹脂、タイヤコード糸等の製造時に使用される油剤などを製造・販売している。

※塗料を塗る際に泡の発生を防止する役割。


永久帯電防止剤「ペレスタット」「ペレクトロン」は高分子型の帯電防止剤で、プラスチックに添加し相溶化させることで、プラスチック内部に導電回路を形成して静電気を速やかに逃がし、静電気による電子回路の破壊、電気ショック、電化製品の誤作動、ホコリの付着などの障害を防止する。一例を挙げると、プラスチック容器に入った薬を飲む際に粉が容器に残らない、掃除機のプラスチック部にゴミ・ホコリが残らないなどの帯電防止効果を発揮する。永久帯電防止剤メーカーは実質的に世界に2社しかなく、高シェアを誇っている。同社は、グローバルな安定供給体制を構築することで競争力強化を図っており、2022年7月にはタイ工場の生産設備が稼動開始した。

塗料用薬剤等を製造・販売する子会社のサンノプコは、塗料・インキ等の消泡剤として使用される特殊な界面活性剤で高シェアを有しており、収益性も高い。サンノプコは2022年11月、高機能分散剤の生産能力を増強することを発表している(2024年3月期上期に稼動予定)。一方、ブラジルのバイオエタノール製造においては、原料のサトウキビを発酵させる際の消泡に効果を発揮している。

炭素繊維用集束剤「ケミチレン」は、繊維を束ねて扱いやすくする集束性と加工時に薄く広がりやすくする開繊性のバランスに優れた集束剤である。2022年8月には、炭素繊維の需要拡大に対応するため、「ケミチレン」の生産能力を5割程度増強することを発表している(2024年5月稼動予定)。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《TY》

 提供:フィスコ

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