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4464 ソフト99

東証S
1,442円
前日比
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PTS
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.0 0.58 2.84
時価総額 321億円
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決算発表予定日

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ソフト99 Research Memo(5):コロナ禍によりファインケミカル事業で新たな需要が拡大(1)


■業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) ファインケミカル事業
ファインケミカル事業の業績は、売上高が前期比13.2%増の13,704百万円、営業利益が同69.8%増の2,235百万円と大幅増収増益となった。コロナ禍により在宅時間が増えたことで、自動車のメンテナンスに時間を費やすドライバーが増加し、ソフト99コーポレーション<4464>のボディケア製品やリペア製品等の販売が好調に推移したほか、外出時にマスクの着用が常態化するなかでメガネケア製品の売上が一時は品不足になるほどの急拡大を見せたことが主因だ。特に、今まで同社製品を利用していなかった新規顧客が顕著に増加したことが特徴となっている。ここ数年、地道に取り組んできた製品開発や店頭での販売増に向けたプロモーション施策(動画による製品紹介)などが、新規顧客の獲得につながったと弊社では見ている。増収効果により利益率も売上総利益率で47.6%(前期比1.2pt増)、営業利益率で16.3%(同5.4pt増)とそれぞれ上昇した。

売上高の内訳を見ると、国内一般消費者向け販売(自動車分野)のうち、ボディケア製品は、新製品の加圧式噴射機を用いたカーシャンプー「パーフェクトフォームスターティングセット」の販売が好調に推移したほか、第2四半期から投入した「レインドロップ20%増量限定品」や「フクピカ増量」等の企画品が貢献したことにより、前期比8.7%増となった。ガラスケア製品は、主力の「ガラコワイパー」の販売が堅調に推移し、同0.3%増の3,693百万円と過去最高売上を更新した。リペアグッズに関しては、在宅時間の増加によって自動車のメンテナンスを行うドライバーが増えたことにより同12.5%増となり、売上規模もここ数年来では最も高い水準となった。

業務用製品販売(自動車・産業分野)は前期比8.4%増と2期ぶりに増収に転じた。新車向けのコーティング剤やOEM製品は新車販売台数の減少により減収となったものの、中古車向け販売の好調でカバーした。また、家庭用製品販売(生活分野)は、主力製品である「メガネのシャンプー」や「メガネのくもり止め」が、コロナ禍におけるマスク使用の常態化を背景に急増したほか、家庭用衛生用品の新ブランド「クリニクル(CLEANICLE)」シリーズの販売を開始したこともあって、同103.7%増と大幅増収となった。特に、メガネケア製品については、一時は品不足になるほどの売れ行きを見せ、出荷数量で同6倍増と急伸した。

海外市場向け販売(自動車分野)は前期比1.3%増と堅調に推移した。コロナ禍の影響で主力市場であるロシアや中国向けが減少したものの、ECチャネルの販売に注力したことで欧州や韓国、マレーシア、ミャンマー、ベトナムなどの国でガラス撥水剤等の製品が好調に推移し増収となった。また、ブラジル向けについても、現地代理店の積極的な販売プロモーションや現地語パッケージの推進によって、ガラス撥水剤等を中心に販売が増加した。

TPMS(自動車分野)の売上高は前期比0.3%増と微増にとどまった。乗用車向けOEM製品が減少した一方で、トラック・バス等を保有する運輸運送会社向けの販売好調によりカバーした。

電子機器・ソフトウェア開発は前期比4.4%増となった。遠隔監視システム等で現在一般的に仕様されている3Gの無線通信サービスが2026年3月末に終了することが決まったことを受け、3Gから4G対応の通信システムへの切り替え需要が発生し、増収要因となっている。なお、その他売上が2020年3月期に192百万円のマイナス計上となっているが、これは冬用タイヤチェーンが記録的暖冬に伴いほとんど売れず、返品扱いとなったことによるものだ。

(2) ポーラスマテリアル事業
ポーラスマテリアル事業の業績は、売上高が前期比10.7%増の6,287百万円、営業利益が同2.6%減の714百万円と増収減益となった。このうち、第3四半期から連結対象に加わったアズテックの売上高が3.6億円となっており、既存事業の増収率は4%程度だった。また、営業利益ベースではアズテックののれん償却額68百万円を計上したことが減益要因となっており、既存事業ベースでは増益だったと見られる。アズテックの子会社化を主因として、売上総利益率は31.8%(前期比0.4pt減)、営業利益率は11.4%(同1.6pt減)にそれぞれ低下した。

売上高の内訳を見ると、産業資材部門は前期比13.1%増の4,778百万円と7期連続の増収、過去最高を更新した。このうち、国内向けは同12.5%増となったが、アズテックを除く既存事業では同5%程度の減少となった。主力の半導体製造用途がメーカーの設備投資遅延の影響で出荷が後ろ倒しとなり、前期並みの水準にとどまったほか、プリンタ用途向けがペーパーレス化の流れを受けて大きく減少したことが主因だ。ただ、医療用については、インフルエンザ検査キット用吸液材が新型コロナウイルス感染症の検査用途にも採用されたことで、前期の1.1億円から1.6億円に拡大した点は注目される。

一方、海外向けについては前期比13.8%増と好調に推移した。半導体の世界的な需要拡大を背景に、主要顧客となる台湾や韓国、米国の大手半導体メーカー向けが増加したほか、HDD研磨用製品についてもデータセンター向けHDDの需要拡大を背景に増加した。

生活資材は前期比3.7%増の1,508百万円と2期ぶりの増収に転じた。国内向けについては、コロナ禍による巣ごもり消費の拡大を受けて、家庭用製品を中心に同7.9%増と好調に推移した。海外向けは、米国向けが下期に入って回復傾向となったものの、インドネシアや韓国向けの落ち込みにより同2.3%減となった。

なお、アズテックの2020年10月~2021年3月の収益状況については、コロナ禍で病院の手術件数が減少した影響や、新規顧客開拓のための営業活動が制限されたこともあって、前年と比べると厳しかったようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YM》

 提供:フィスコ

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