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4396 システムサポート

東証P
1,852円
前日比
+4
+0.22%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
16.4 4.15 1.94 40.14
時価総額 192億円
決算発表予定日

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システムサポート Research Memo(9):クラウド市場の拡大を追い風に中期的に年率2ケタ成長目指す


■今後の見通し

2. 中期経営計画
(1) 中期経営計画の概要
システムサポート<4396>は、2022年8月に3ヶ年の中期経営計画を発表したが、1年を経過したことから内外の市場環境の変化に合わせて2026年6月期までのローリングプランを新たに策定した。『成長と更なるイノベーションの創出』という中期テーマに変更はなく、引き続き「顧客・社会のDX推進の基盤となるサービスの拡充」「多様な人材の成長と活躍」「ESG経営の強化」に取り組むことで、2026年6月期に売上高26,805百万円以上、営業利益2,407百万円以上、営業利益率9.0%以上を目指す。3年間の年平均成長率では売上高で11.6%、営業利益で18.2%を上回る成長となる。

1年前からの外部環境の認識については殆ど変化がなく、DX需要の高まり等により国内IT投資は拡大傾向が続く見通しであること、なかでもクラウド関連はオンプレミスからの移行需要に加えて、マルチクラウド対応が増加していることもあり高成長が続くと見ている。一方で、IT人材不足により人材獲得競争も激しい環境が続くとの認識だ。一方、内部環境については、成長ドライバーであるクラウドインテグレーション事業において、為替の円安が進行したこともあり想定以上にストック型売上となるリセール収入が拡大し、構成比が上昇したことを変化点として挙げている。

初年度となる2023年6月期の売上高は、クラウドインテグレーション事業がリセール収入の拡大を主因として計画を上回り、システムインテグレーション事業及びアウトソーシング事業が計画どおり、プロダクト事業が伸び悩む結果となり、全体では計画を上回ったが、営業利益については計画通りの着地となった。こうした実績を踏まえて、2025年6月期の売上計画についても前回数値(21,892百万円)に対して24,365百万円と上方修正したが、営業利益については2,189百万円と据え置いた。営業利益率を前回の10.0%から9.0%に引き下げているのは、相対的に利益率の低いリセール収入の売上構成比が上昇することによる。業績のけん引役がクラウドインテグレーション事業であることに変わりなく、前回計画よりもその傾向がより強まったものとなっている。

(2) 事業セグメント別成長戦略
a) クラウドインテグレーション事業
ITシステムのクラウドシフトが継続し、クラウドサービス市場の拡大が続くとの予測のもと、既存事業の伸長及び領域拡大に注力することで受注を拡大し、あわせてリセールによるストック型収益の積み上げを図る。売上高は2023年6月期の5,319百万円から2026年6月期には10,000百万円を上回る規模を目指しており、このうちストック売上の比率は31%から40%台前半まで上昇することを見込んでいる。3年間の売上増分の約5割をリセール収入で稼ぎ出すことになり、利益率は低下するものの収益の安定性は一段と向上する。

成長の源泉となる人材の採用・育成施策としては、1) 本社一括採用ではなく各拠点に採用担当を配置し、機動的な採用を行うとともに応募者とのミスマッチを防止していくこと、2) クラウド分野を中心としたベンダー資格取得を積極的に推進するなど技術者の育成を強化し、競争力の維持向上を図ること、3) 給与水準の向上を図るとともに働きやすい環境の整備(総労働時間の削減、育休取得率や女性社員比率の向上)を図ることで、人的リソースを拡充する方針だ。

b) システムインテグレーション事業
システムインテグレーション事業では、主力のERP関連やデータベース関連、RPA関連等の拡大に向けて技術者の採用・育成に取り組んでいくほか、顧客企業と密接な関係を築くことで既存顧客内のプロジェクト拡大や継続受注につなげ、年率1ケタ台の売上成長を目指しているようだ。また、品質・期間・コスト・リスクコントロールの観点からプロジェクトマネジメントを強化し、不採算案件の発生を抑制するとともにサービス品質を向上することで収益性の維持向上を図る。

c) アウトソーシング事業
アウトソーシング事業では、データセンターサービスにおいて大手クラウドベンダーの顧客層とは異なる顧客をターゲットに、新規顧客の開拓と既存顧客のデータ利用料の積み上げを図ることで、年率1ケタ台の売上成長を目指しているようだ。2022年以降、為替の急速な円安によりクラウドのサービス利用料の負担増が意識されるようになった。一部の企業ではプライベートクラウドを構築する動きも出てきており、こうした需要を取り込んでいく。また、データセンターの能力増強に関しては稼働状況に応じて徐々に実施することで、品質向上と収益性確保を両立する方針だ。そのほかSAP社のERP製品の保守については、2027年に向けてニーズが高まることが見込まれるため、金沢地区でのニアショア要員の育成を進め体制を強化する。

d) プロダクト事業
プロダクト事業では、新規顧客開拓のため代理店等の販路拡大や広告宣伝を強化するほか、既存顧客内の利用部門拡大によるユーザー数増加を図る。製品別では「建て役者」「SHIFTEE」のほか新製品となる「Smart Rabbit」の拡販に注力することで、堅実な売上成長を目指す。また、カスタマイズ案件を減らしていくことで、月額利用料等のストック売上比率を2023年6月期の57%から2026年6月期は70%弱の水準まで引き上げ、売上増が利益増に直結する利益率の高い収益構造に変える。また、他社プロダクトに対する競争力を向上すべく、継続的に機能強化に取り組む方針だ。

e) 海外事業
海外事業では、米国子会社にて北米に進出する日系企業に対するITインフラや人材採用、マーケティング等の支援サービスを行っていくほか、カナダの子会社において日本との時差を利用した日本企業へのリモート監視サービスの提供、並びに会計業務のアウトソーシングサービスを強化する。

(3) ESG経営の強化
同社は経営理念(社会への貢献、顧客サービス向上、価値の共有)に基づいたESG経営を通じて、社会課題の解決に取り組んでおり、今後は以下の取り組みを強化する。

「環境(E)」分野では、脱炭素社会の実現のためCO2排出量目標を設定し、さらなる削減策を実施していくほか、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に沿った開示体制を拡充し、CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)に対しては回答及びスコア向上を目指す。

「社会(S)」分野においては、DX人材の育成による地方ビジネス拡大及び経済活性化を目指す。具体的な取り組みとして、2022年8月に「金沢発、北陸地方IT都市化の実現」をコンセプトに開設した「Microsoft Base Kanazawa」の活動を拡充する。同施設では産学官民のDXに向けた無償のDX教育の提供や、最新テクノロジーの体験も可能な、クラウドを軸としたコミュニケーションの場を提供しており、地方ビジネスの拡大や経済活性化、新たなビジネスチャンスの創出を支援している。開設後の総受講者数は450名、受講団体数で56社となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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