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4396 システムサポート

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PER PBR 利回り 信用倍率
16.4 4.15 1.94 40.14
時価総額 192億円
決算発表予定日

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システムサポート Research Memo(6):クラウドインテグレーション事業が前期比57%増収と急成長を遂げる


■システムサポート<4396>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) クラウドインテグレーション事業
クラウドインテグレーション事業の売上高は前期比57.0%増の5,319百万円、営業利益は同46.6%増の812百万円と大幅増収増益となった。営業利益率が前期の16.4%から15.3%に低下したが、これは相対的に利益率の高い「ServiceNow」関連※の売上構成比が同じく45.1%から34.9%に低下したことが主因である。

※「ServiceNow」関連の売上総利益率は前期の44.0%から44.5%に上昇している。


売上高の内訳を見ると、「ServiceNow」関連は前期比21.5%増の1,857百万円と好調を持続したほか、AWS関連が同51.9%増の1,748百万円、Microsoft Azure関連が同61.6%増の662百万円、Google Cloud関連が同147.2%増の564百万円、その他が同581.8%増の487百万円となり、すべてのクラウド基盤で売上が大きく伸長した。その他については主に Oracle Cloud Infrastructureが寄与した。データベース関連の大手であるOracleもサービスのクラウドシフトを進めており、同社もこれら案件を受注した。

「ServiceNow」関連については、増収率が前期の30.6%からやや鈍化したものの旺盛な需要に変わりなく、技術者の育成や外部パートナーの拡充に取り組んできたことで2ケタ成長を維持した。ServiceNow Japan(同)の発表資料によれば、同社の「ServiceNow」認定構築資格取得数は2020年11月の60件から2023年7月時点で353件に拡大し、国内では富士通 <6702>、アクセンチュア<ACN>に次ぐ3番手となっている※。市場の拡大に対応する格好で「ServiceNow」のパートナー企業数もこの3年間で30社から80社弱まで増加したが、すべての需要は賄いきれず売上成長は同社等上位企業のリソースに依存する格好となっている。同社の資格取得数のシェアは資格の対象範囲が広がったこともあり従来の10%強から7%台に低下したが、引き続き最上位のElite Partnerとしてトップクラスのシェアを維持していると推察される。対象顧客は大企業となるが、東京や大阪だけでなく名古屋や北陸エリアなど各拠点で売上が増加したようだ。

※2023年7月時点の資格取得数は富士通が522件、アクセンチュアが376件。


「ServiceNow」を除くクラウド基盤移行・利用支援関連では主要プラットフォームがそれぞれ高成長となった。長年培ったデータベース分野の技術力を強みに、クラウドでのデータベースやデータ分析基盤の移行・構築案件が伸長した。なかでもビッグデータ分析のサービスを得意とするGoogle Coudについては、技術者の育成に注力してきた効果もあり大きく伸長した。

なお、リセール収入は顧客アカウントのクラウドサービス利用料(主にAWS、Microsoft Azure)が積み上がるストック型ビジネスとなるため、導入顧客が増えるごとに売上高が増加するが、2023年6月期は為替が前期に比べて円安に進んだこともあって、前期比66.3%増の1,648百万円と大幅増となり、同事業セグメントの31.0%を占めるまでになった。利益率は低いが継続的に売上が見込めるため、今後も安定収益源としての成長が期待される。

(2) システムインテグレーション事業
システムインテグレーション事業の売上高は前期比7.8%増の11,315百万円、営業利益は同20.5%減の217百万円となった。増収にも関わらず減益となったのは販管費の増加が主因である。既述のとおり販管費の共通費用部分は各事業セグメントの売上原価に比例して配分するため、販管費が増加した場合、売上規模の大きいシステムインテグレーション事業の費用負担が重くなる。売上総利益ベースで見ると同9.7%増の2,695百万円と増益となっており、売上総利益率も前期から0.4ポイント上昇の23.8%となるなど、実際の収益状況は良好に推移したと考えられる。

売上高の内訳を見ると、ITシステム開発が前期比11.3%増の6,315百万円、ERP関連が同10.4%増の3,195百万円とそれぞれ好調に推移した一方で、データベース関連は同6.5%減の1,804百万円と減少した。主要顧客であるOracleの案件がクラウドサービスへシフトしており、クラウドインテグレーション事業の売上として計上されていることが要因だ。Oracle関連全体で見ると若干の増収となった。ERP関連についてはSAP社の既存製品の保守サポート切れ(2027年末)を控えて、「SAP S/4 HANA」へ移行する動きが継続しており、技術者不足が慢性化するなかで今後も繁忙状況が続く見通しである。

(3) アウトソーシング事業
アウトソーシング事業の売上高は前期比14.9%増の1,772百万円、営業利益は同11.0%増の209百万円と2ケタ増収増益となった。売上総利益ベースでも同15.8%増の559百万円となり、売上総利益率は同0.2ポイント上昇の31.5%となった。

売上高の内訳を見ると、データセンター関連が同12.4%増の1,444百万円、データ分析・入力及びニアショア等による運用保守サービスが同27.8%増の327百万円といずれも好調に推移した。データセンターサービスについては、新規顧客は若干の増加にとどまったが、既存顧客の1社当たり利用料増加に伴う月額利用料金の上昇が増収要因となった。月額利用料等のストック型収入については同11.8%増の1,294百万円となった。

(4) プロダクト事業
プロダクト事業の売上高は前期比3.4%増の693百万円、営業利益は同8.2%増の196百万円と堅調に推移した。売上高の内訳を見ると、「建て役者」が同11.0%増の215百万円、「SHIFTEE」が同9.2%増の78百万円とそれぞれ順調に拡大した一方で、「MOS」が同0.9%増の233百万円と微増にとどまったほか「就業役者」が同5.5%減の70百万円となるなど、サービスによって明暗が分かれる格好となった。

「建て役者」については新型コロナウイルス感染症拡大の影響がほぼ一巡し、対面型の商談が可能となったことで、商談から成約に至るまでのリードタイムが改善されたほか、展示会への出展再開により新規顧客の獲得が進んだことなどが増収要因となった。また、「SHIFTEE」についてはサービス業界を中心にシフト管理業務の効率化に取り組む企業が増えるなかで、簡便かつ低コストでシフト作成・管理を行える同製品の引き合いが増加した。「MOS」については新規導入件数が伸びたものの、1社あたりの利用者数(=売上高)の少ない顧客が多かったことや解約も一定程度発生したことが売上の伸び悩む要因になったと見られる。「就業役者」については新規導入に伴う機器販売が減少したことが減収要因となった。

利益面では、月額利用料等のストック売上高が前期比13.1%増の396百万円と順調に積み上がったことが増益要因となり、販売ミックスの変化により売上総利益率も前期の59.6%から61.9%に上昇した。ストック売上を除いた売上高は機器販売やカスタマイズ案件の減少により、同7%程度の減収となった。

(5) 海外事業
海外事業の売上高は前期比68.3%増の166百万円、営業利益は同75.0%増の61百万円となった。為替の円安進展に伴う業績の嵩上げ効果があったほか、給与・会計業務のアウトソーシングサービスが好調に推移したことが増収増益要因となった。売上総利益率も前期の52.4%から53.3%に上昇し、売上総利益では同71.4%増の88百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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