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4396 システムサポート

東証P
1,852円
前日比
+4
+0.22%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
16.4 4.15 1.94 40.14
時価総額 192億円
決算発表予定日

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システムサポート Research Memo(3):クラウドインテグレーション事業を中心に5つの事業を展開(1)


■会社概要

2. 事業内容
同社グループは、システムサポート<4396>と連結子会社6社で構成されている。2023年6月期より事業セグメントを、中期的に注力するクラウドインテグレーション分野の進捗をより明確に示すことを主目的に、従来のソリューション事業、アウトソーシング事業、プロダクト事業、その他という区分から見直した。具体的には、ソリューション事業をクラウドインテグレーション事業(ServiceNow、Microsoft Azure、AWS、Google Cloud等のクラウドサービスの導入・利用支援やライセンスの再販)とシステムインテグレーション事業(ERPパッケージの導入・利用支援、Oracleデータベース等のインフラ構築、ITシステム開発)に分割した。また、アウトソーシング事業に計上していたニアショアではない運用保守サービスをシステムインテグレーション事業に移管したほか、カナダの子会社で行っていた会計業務のアウトソーシングサービスを新設した海外事業へと移管し、その他売上として計上していた海外子会社の売上(現地日系企業向けの人材紹介サービスやマーケティング支援サービス等)についても海外事業に含めた。プロダクト事業については従来どおりとなる。

2023年6月期の事業セグメント別構成比を見ると、売上高ではシステムインテグレーション事業が58.7%と過半を占め、クラウドインテグレーション事業が27.6%、アウトソーシング事業が9.2%、プロダクト事業が3.6%と続く。一方、営業利益についてはクラウドインテグレーション事業が54.3%と最も高く、システムインテグレーション事業が14.5%、アウトソーシング事業が14.0%、プロダクト事業が13.1%となっており、海外事業についてはわずかとなる。システムインテグレーション事業の利益構成比が低いのは、販管費の共通費用部分を各事業セグメントの売上原価に比例して配分しているため、売上規模の大きいシステムインテグレーション事業の配分比率が高くなっているためだ。売上総利益の構成比率で見ると、システムインテグレーション事業が51.2%と最も大きく、クラウドインテグレーション事業が28.4%となるなど売上高構成比と大きな差はない。

(1) クラウドインテグレーション事業
クラウドインテグレーション事業では、ServiceNowやAWS、Microsoft Azure、Google Cloud、Oracle Cloud Infrastructureなど各種クラウド基盤の導入・利用支援やライセンスの再販(リセール)を行っている。2023年6月期の売上構成比を見ると、ServiceNow関連が34.9%と最も高く、AWS関連が32.9%、Microsoft Azure関連が12.4%、Google Cloud関連が10.6%と続く。また、ストック型ビジネスとなるリセールの売上比率は31.0%となっている。

クラウド関連の受注案件は、クラウド事業者からの紹介が多いため、各クラウド基盤の認定技術者を数多く育成し顧客満足度の高い開発実績を積み重ねていくことが、受注拡大のための重要なポイントとなっている。このため、同社は認定技術者の採用・育成に注力しており、こうした取り組みの結果、Microsoft Azure、AWS、Google Cloud、Oracle関連などのAwardで数多くの表彰を受けている。収益性は比較的安定しており、なかでもServiceNow関連については、国内でいち早く参入して多くの開発実績を積み重ねてきたこともあり、クラウド関連のなかではもっとも収益性の高いビジネスとなっている(2023年6月期の売上総利益率は44.5%で事業セグメント全体の28.1%を上回る)。

なお、AWSのクラウドサービス利用料となるリセールについては、クラウド事業者からドル建てで同社に請求が送られ、それを同社が円換算して一定のマージンを上乗せしたうえで円建てで顧客に請求している。このため、為替が円安となった場合は売上高や売上総利益の増加要因となるが、顧客側の支払い負担が増加するため利用量を抑制する動きが出る可能性もある。また、決済期間は平均で1~2ヶ月程度であるが、この間に急激に為替が円安に振れた場合はドル建て債務に関する為替差損が発生するケースもある。

(2) システムインテグレーション事業
システムインテグレーション事業は、企業のITシステムのコンサルティング・設計・開発・運用保守のほか、ERPパッケージの導入・利用に係る技術支援、Oracleデータベース等のインフラ構築等が含まれる(Oracle Cloud Infrastructure関連はクラウドインテグレーション事業に含む)。2023年6月期の売上構成比は、ITシステム開発が55.8%と過半を占め、ERP関連が28.2%、データベース関連が15.9%と続く。

金融機関向けシステム開発やERP構築など大規模プロジェクトについては、納期遅延などによる不採算発生リスクを避けるため、直接受注ではなく二次請けで受注している。採算性は低くなるが、大規模プロジェクトは長期間にわたって売上に貢献するため、エンジニアの稼働率を一定水準維持する役目を果たしている。

(3) アウトソーシング事業
アウトソーシング事業は、子会社のイーネットソリューションズが運営している国内2ヶ所のデータセンター(東京、金沢)における運営サービスが売上高の81.5%を占め、残り18.5%をデータ分析・入力、ニアショアによるシステム運用保守で占めている。

データセンターについては、企業のプライベートクラウドのインフラ用あるいはBCP対策・データバックアップ管理用として主に利用されており、顧客数は1,000社を超えている。データセンターの顧客獲得施策として、2006年から地震情報と連動して社員の安否確認メッセージを自動で配信する緊急通報・安否確認サービス「Safetylink24」の提供を開始したほか、2010年に電子ワークフローシステム「ActionPassport」、2017年に日本アイ・ビー・エム(株)の「IBM Watson Explorer」(AIを活用した検索・分析プラットフォーム)を月額料金制で利用できるサービス「Magic Insight」を開始するなど付加価値サービスの提供を行っている。データセンターサービスは、顧客数の増加及び顧客の利用業務拡大により月額売上も積み上がるストック型の収益構造となっていることが特徴で、サーバー等の能力増強投資は需要に応じて適宜実施している。

(4) プロダクト事業
プロダクト事業では、同社グループによるプロダクト(ソフトウェア)の開発及び販売、サービス提供を行っており、顧客ニーズに応じたカスタマイズ開発にも対応している。現在の主力製品は4つで、建築業向け工事情報管理システム「建て役者」と卸・小売業界向けを中心としたモバイル受発注システム「MOS」がそれぞれ売上高の3割強を占めており、クラウド型シフト管理システム「SHIFTEE」と勤怠・作業管理システム「就業役者」がそれぞれ1割強を占めている。不定期にカスタム開発案件を受注するほか、導入時にハードウェアの売上を計上することもあるが、クラウド(SaaS型)サービスによる月額課金が売上の約57%を占め、契約件数の積み上げによって収益が増加するストック型ビジネスモデルとなる。販売については直販が多いが(「建て役者」はOEMが多い)、販売力強化のため代理店施策にも注力している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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