貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

4307 野村総合研究所

東証P
4,074円
前日比
+20
+0.49%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
26.7 5.88 1.42 3.75
時価総額 23,662億円
比較される銘柄
NTTデータ, 
ビプロジー, 
SCSK

銘柄ニュース

戻る
 

PBシステムズ Research Memo(2):システム仮想化技術に精通したクラウド基盤構築力が強みの独立系SIer


■ピー・ビーシステムズ<4447>の会社概要

1. 事業概要
中堅企業をメインターゲットとしつつ、SaaS事業者、公共団体向けに各種情報システムを構築する、システム仮想化技術に精通したクラウド基盤構築力が強みの福岡を地盤とする独立系SIerである。身近なところではデジタルワーク推進から、サイバーセキュリティに絡んだレジリエンス構築やDXの実現までをクラウド技術力でトータルにサポートするセキュアクラウドシステム(SCL)事業を中核とする。VR空間を生み出す、体験共有型VRシアター「4DOH」シリーズを製造販売するエモーショナルシステム(EMO)事業との2軸構成でビジネスを推進しているが、新たにメタバース事業を育成中である。

2. 経営理念
「勇者たらんと。」

小さな僕等が持ち得るものは、一人一人の知恵と勇気と、諦めない強い心だけだ。
どんな時でも、「その一歩」が踏み出せるように。勇者たらんと。

業務効率化を目的とした際、手軽で一定のレベルが担保されている汎用パッケージシステムをクラウド上で利用する方向に企業は進んでいく。しかし、単純にそうした対応を取れば、個々の企業の独自の経営ノウハウ、技術、文化(生産方法や営業手法、経営管理方法、顧客サービス手法等)を反映させることはできない。そういった「競争力」と「最新技術」を取り入れながら最適なシステムを構築・運用していくことは、理想である反面、実際は簡単ではないのが現実だ。同社は、その道がたとえ困難であっても、一歩踏み出す勇気を持つことを企業ポリシーとしている。


技術と実績を磨き続け、卓抜した存在に成長
3. 沿革
同社は、現代表取締役社長である野村コンピュータシステム(株)(現 野村総合研究所<4307>)出身の冨田和久(とみたかずひさ)氏が1997年2月に創業した。2004年4月にはシトリックス・システムズ・ジャパン(株)と、シトリックス・ソリューション・アドバイザー/プラチナ契約を締結して、技術と実績を磨き続け、シトリックスソリューションを筆頭に、システム仮想化やクラウド基盤の構築等において、卓抜した存在に成長している。

また、2010年12月にはエモーショナルシステム(EMO)事業を開始した。その後、2019年9月に福岡証券取引所Q-Boardに株式を上場すると、2020年に株主優待制度を導入、東京営業部も設置するなど、今後のステップアップを見据えて、順調に上場企業として成長を続けている。


サイバー攻撃被害の急増はビジネスチャンス
4. 事業環境
まず、同社の主力事業であるセキュアクラウドシステム(SCL)事業が対象としているクラウドサービス市場について概観しておく。令和3年版情報通信白書によれば、2020年の世界のクラウドサービス市場規模は約37兆円(3,281億米ドル)だ。詳細を見ていくと、アジア太平洋地域が約9兆円(782億米ドル)となっている。また、中国情報通信研究院のCloud Computing White Paperによれば、中国の2020年における同市場は約3.5兆円(2,091億元)とされており、これを鑑みると日本国内のクラウドサービス市場は概ね2兆円後半レベルと推定でき、非常に大きな市場が広がっていることがわかる。

また、令和3年版情報通信白書には2023年までの同市場の推計値まで記載があり、各地域で成長が続くことで、全体としては約66兆円(5,883億米ドル)まで拡大が見込まれている(アジア太平洋地域は約15兆円(1,357億米ドル))。アジアにおいては、中国の爆発的な成長が中心となることは想定内だが、日本についても成長性が豊富であることは疑いようがなく、基本的に良好な成長市場であると弊社は見ている。

また、サイバー攻撃(サイバーセキュリティ)の状況についても確認する。同社は直接コンピューターウイルス対策製品などを手掛けているわけではない。しかし、クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は、令和3年版の情報通信白書によれば、2020年で68.7%であり、2016年の46.9%と比較して、利用率が年々拡大していることが明らかだ。このように、ビジネスにおけるクラウドの重要性が増すと同時に、サービスの安定的な稼働、つまりセキュリティに気を配った基盤構築の必要性が不可避的に増しているというわけだ。

実際、サイバー攻撃の状況がどのようになっているのかを国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)がまとめた「NICTER 観測レポート 2021」を参考に見ておく。同レポートでは、「1IPアドレスあたりの年間総観測パケット数」をインターネットにおけるサイバー攻撃関連活動の活発さを表す指標として考えている。この数値を見ると、クラウドサービスの状況を確認した際に情報通信白書で見た2016年では約52万パケットが観測されていたが、2021年には約174万パケット、つまり約3.3倍の数値となっており、サイバー攻撃が近年どれだけ活発化しているのかが一目瞭然だ。実際、上場企業も多数サイバー攻撃のターゲットとなり、多くの被害が報告されている。

こうした状況の中、サイバー攻撃はもちろん、自然災害や事故等によって引き起こされるシステム障害からの回復力、システム自体の強靭化、つまり「レジリエンス」に対する実務レベルでの深い知見と豊富な実績を持っている同社を巡る事業環境は近年良好さを増しつつある。なお、同社はこうした状況を踏まえて2022年にEmotet対策・サイバーレジリエンス構築サービスの提供を開始している。

最後に簡単にメタバース市場に触れておきたい。米国ではより顕著だが、国内においても既に巨額の投資資金がメタバース関連の領域に流入していることは明白だ。足元で社会的な関心が急激に高まっていることもあり、各調査会社が市場規模を推計しているが、いずれを見ても超巨大市場に成長することを示唆している。なお、同社のメタバース市場への関わりについては、本レポート「今後見通し」の「2. 注力施策」を参照されたい。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《FA》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均