【市況】【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─値上げラッシュを逆手に、投資チャンスをつかむ!
株式アドバイザー 北浜流一郎
「値上げラッシュを逆手に、投資チャンスをつかむ!」
●値上げ・円安報道で懸念される世論の動向
私の事務所では、一日中テレビをつけっぱなしにしている。韓国ドラマ、映画、お笑い、ニュース、ワイドショー、そして通販のセールス番組……とありとあらゆる番組を流しているが、最近のワイドショーで必ずといってよいほど取り上げられているのが、食品やサービス価格の値上げだ。どの局もかなり力を入れており、あれこれと商品の値上げを報じている。
それを見ていると、アイスクリームを毎日食べたり、ビールやコーラはもちろん、カップヌードル、煎餅、餅などを日常的に食べていてもよいのだろうか、ケーキなどとんでもないのかも……などと考えたりしてしまう。
しかし、すぐにそんな思いは忘れてしまうもので、いつものようにそれらを消費してしまい、再び値上げのニュースに触れて反省する。最近はこの繰り返しなのだが、私が食品やサービス価格の値上げラッシュを伝える報道に接して気掛かりなのは、値上げの理由として時々、円安への言及があることだ。
円が1ドル=135円前後まで下げて20年ぶりの水準となっているため、問題視されるのも理解できるのだが、恐いのは円安要因として、「海外のほとんどの国が利上げに踏み切っているのに、日銀は異例の金融緩和を継続している。緩和解除を考えるべきだ」――こんな発言をする人がいることだ。
こうした発言で想起されるのは、1990年代のバブル崩壊とその後の長期にわたる景気低迷だ。当時、地価が急騰し、マスコミは日銀に対して金利の引き上げを促し、三重野総裁がそれに乗ってどんどん引き上げ、バブルが潰れただけでなく、日本経済は立ち行かなくなってしまった。
マスコミにリードされる世論は、その場の苦境を脱するために、政策の変更を迫ってくる。幸い、いまのところ黒田日銀総裁は賢明な対応をしているので(不適切な発言はあったが)、世論に簡単に乗ってしまうことはないだろうが、緩和継続を見直すと表明するだけでも東京市場は大失速してしまう恐れがあるため、世論の動向には敏感でありたい。
●値上げが収益向上につながる企業を選別
そこで、この局面での投資は、製品やサービスの値上げラッシュを逆利用することにしたい。製品やサービス価格の引き上げを実施する企業は、確かな競争力があれば需要は大きく落ち込むことなく収益が向上する。だから、そんな企業に投資すればよい。
具体的には、まずは分かりやすいところで、キリンホールディングス <2503> [東証P]やアサヒグループホールディングス <2502> [東証P]、サッポロホールディングス <2501> [東証P]がある。シーズン的にも需要拡大が見込める時期でもあり、株価は続伸の確率が高いと見てよい。
レストランでは、ハンバーグなど一部メニューで値上げをする「ロイヤルホスト」を展開するロイヤルホールディングス <8179> 。また、おとり広告が問題となったことで株価が小反落した、スシローを擁するFOOD & LIFE COMPANIES <3563> [東証P]を。
事務用鉛筆、色鉛筆など27品目を値上げする三菱鉛筆 <7976> [東証P]も、株価は地味な値動きながら堅調高が見込める。
玩具に強いタカラトミー <7867> [東証P]も、定番商品を中心に7月から値上げに踏み切る。株価は押し目を入れているところなので魅力的だ。
東京電力ホールディングス <9501> [東証P]をはじめ、地方電力各社も6月から利用料金の引き上げを実施しているため、株価の急騰はないものの、緩やかな浮上は見込める。
ガス各社はどうか。もちろん値上げするので、東京ガス <9531> [東証P]、大阪ガス <9532> [東証P]も着実高が見込める。この調子で紹介していくとキリがなくなるのでこの辺りで値上げメリット株の紹介を打ち切り、最後に他分野の銘柄を。
東レ <3402> [東証P]だ。航空機製造用の炭素繊維需要の拡大が見込め、当然株価も有望だ。
以上をまとめると、「値上げラッシュは、値上げ実施企業株で儲けてカバーしよう!」となる。
2022年6月10日 記
株探ニュース