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4100 戸田工業

東証S
2,054円
前日比
-23
-1.11%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.63 20.37
時価総額 125億円
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決算発表予定日

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戸田工業 Research Memo(4):経常利益は20.0%減益も、親会社株主に帰属する当期純利益は4.9%増益


■業績動向

1. 2023年3月期の業績概要
戸田工業<4100>の2023年3月期の連結業績は売上高34,934百万円(前期比1.1%減)、営業利益1,367百万円(同45.7%減)、経常利益3,349百万円(同20.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,268百万円(同4.9%増)となった。2022年5月13日の期初計画に対し、11月10日は利益増額、2023年2月10日は連結子会社であった戸田聯合の出資持分を譲渡したことなどにより、売上高及び営業利益並びに経常利益を減額修正した。この2月10日修正予想に対し売上高では66百万円未達とほぼ計画線も、営業利益は233百万円、経常利益は51百万円未達、一方で親会社株主に帰属する当期純利益は戸田聯合の出資持分譲渡に伴う関係会社出資金売却益などもあり268百万円増額で着地した。

2. 電子素材事業
電子素材事業は売上高20,210百万円(前期比7.2%減)、セグメント利益2,389百万円(同27.3%減)となった。売上面では磁石材料が11,400百万円(同16%増)と、子会社化した射出成形磁石などの製造販売を行う江門協立による増収効果1,500百万円が大きい。但しこの増収効果と戸田磁鉄(深セン)有限公司の解散、戸田フェライトコリアの工場閉鎖による400百万円の減収影響を除いて見た場合、既存事業でも8,400百万円から8,900百万円に6%増加している。これは世界最高水準の磁気特性を持つ希土類ボンド磁石材料が自動車用のモーター用途として伸長したことが大きい。一方、誘電体材料は1,000百万円(同33%減)と、半導体不足、スマートフォンやPCの販売不振でセラミックコンデンサーの在庫調整が影響、特に下期は前年同期比半減となり、大きく減少を余儀なくされた。LIB用材料も5,800百万円(同30%減)と、LIB正極材料に用いられる前駆体を製造するカナダの戸田アドバンストマテリアルズが販売先電池メーカー向けの不振から15%減と低調に推移し、市況悪化も影響し大幅減収となった。利益面では収益性の高い(過去に営業利益率30%以上を計上)江門協立の通年寄与があったもののこちらも利益率が低下、LIB用材料、誘電体材料の減収影響、市況悪化に加え、原材料・エネルギー価格高騰の影響もありセグメント利益率が3.3ポイント低下し11.8%となり、大幅営業減益を余儀なくされた。

3. 機能性顔料事業
機能性顔料事業は売上高14,723百万円(前期比8.6%増)ながらセグメント利益は2,001百万円(同5.8%減)となった。売上面ではコロナ禍からの回復で主に複写機・プリンター向けトナー用材料等が伸び、路面・建材の着色塗料向け材料等も堅調に推移、環境関連も触媒向け材料などが好調に推移した。一方で利益面は原材料・エネルギー価格高騰の影響に対し価格是正が追いつかず、円安効果による売上の伸びに対して数量の伸びが高くなく、加えてMIX変化などが影響し減益となった。


財務状況は緩やかに改善するも、引き続き財務体質強化が必要
4. 財務状況
2022年3月期までの過去10期間で6度の最終損失を記録したこともあり、自己資本比率は2015年3月期末の46.5%から2021年3月期末には19.5%まで低下していたが、2022年3月期に過去最高の最終利益を計上し、2022年3月期末は24.2%に改善、2023年3月期は30.5%と改善が進んできた。キャッシュフローにおいては極力投資を抑制、収益が厳しい中でキャッシュの流出を抑えている。なお利益回復が進み、ネットD/Eレシオが2021年3月期の2.04倍から2023年3月期末は1.09倍に改善を見せているが、全体として有利子負債残高が25,729百万円と依然として高水準であり、バランスシートの改善には時間を要するとみられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)

《SI》

 提供:フィスコ

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