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【特集】「外国人労働者関連」燃える株高へ、人材獲得に国策のアクセル全開 <株探トップ特集>

岸田首相が外国人材の受け入れ強化に向けた環境整備の重要性を訴えた。人口が減少し、民間企業における人手不足の状況も深刻度を増すなか、人材ビジネスなどの関連銘柄が再び脚光を集めるようになった。

―多文化共生社会の実現へ政財界が一体化、介護人材の規制緩和巡る新たな動きも加速―

 人手不足にあえぐ企業が増加の一途をたどっている。少子化が進み、人的資源がボトルネックとなって経済成長の足かせとなることが危惧されるなか、ここにきて 外国人労働者の受け入れ拡大に向けた議論が一段と活発化してきた。国策といえる潮流の恩恵を受け、中長期観点で業績拡大が期待できる銘柄を総ざらいしていく。

●外国人材巡るニュースフローが相次ぐ

 7月22日に開かれた政策提言組織「令和国民会議(令和臨調)」の発足1周年記念大会で、岸田文雄首相・自民党総裁は人口減少への対応を巡り、少子化対策が効果を発揮するには時間を要するとしたうえで、「外国人と共生する社会を考えていかなければならない」と発言。外国人材の受け入れ拡大に向けた環境整備に取り組むことが重要だとする認識が示された。

 直後の23日には日本経済新聞電子版が、「法務省は今秋にも専門学校に通う外国人留学生の就職先を大幅に広げる」と報じた。専攻分野での就職を求めてきたガイドラインを見直し、国の認定校の卒業者については、関連が薄い分野であっても就労を可能にする方針だという。

 更に24日には、厚生労働省で外国人介護人材の業務のあり方に関する検討会の初会合が開かれた。コミュニケーション上の問題から現在は認められていない訪問系サービスへの外国人介護人材の従事について、解禁の是非について検討し、年内をメドに方向性を示すとしている。

 外国人材の活用に向けた議論が一段と活発化しているが、その背景として、民間企業における人手不足の深刻化があるのは言うまでもない。人手不足を外国人材で補う企業も増えており、厚労省が今年1月に公表した2022年10月末時点の外国人雇用についての届け出状況によると、外国人労働者数は前年比5.5%増の約182万人と、届け出が義務化された07年以降で過去最高を更新した。

 外国人材を巡る規制緩和や、多文化共生社会の実現に向けた取り組みの加速が予想されるなか、関連するサービスを手掛ける企業の収益拡大期待が強まっている。

●本命視される人材派遣・請負関連企業

 国策ともいえる外国人材の受け入れ拡大で大きな恩恵を受けるとみられているのが、 人材派遣・請負事業を手掛ける企業群だ。製造派遣・請負大手のUTグループ <2146> [東証P]のグループ会社UTエイムは、半導体製品テスト開発業務とともに、外国人材の採用支援や労務管理代行事業などを手掛けている。UTの24年3月期の売上高は前期比17.2%増の2000億円、最終利益が同2.3倍の90億円と大幅な増収増益を計画。半導体業界向けビジネスとともに、外国人材の登用拡大の流れは同社の中期的な成長に大きく貢献しそうだ。

 製造派遣・請負のnms ホールディングス <2162> [東証S]は中期経営計画で、26年3月期に売上高1000億円(23年3月期実績は790億3300万円)、営業利益を42億円(同15億3700万円)に伸ばす目標を掲げる。このうちヒューマンソリューション事業においては、売上高を355億円(同232億6000万円)とする計画。海外人材の採用から定着までのワンストップ型プラットフォームを構築し、企業側の人手不足の解消に貢献する構えだ。

 アウトソーシング <2427> [東証P]は「外国人技能実習生等」の委託管理人数が22年1~3月期に底入れした後は増加トレンドの兆しをみせており、23年3月末時点で1万9226人と計画を26人超過した。同社のグループで外国人就労サポートを展開するORJは昨年9月、特定技能外国人向け多言語対応求人サイトの開設を発表。企業の採用ニーズの高まりに応じる体制を整えた。

●介護向け人材や日本語教育にも成長余地

 技術者派遣大手のアルプス技研 <4641> [東証P]は18年に、農業経営体に外国人材を派遣する特定機関として、政府の国家戦略特区である愛知県から全国第1号となる認定を受けた実績を持つ。他社に先駆けて外国人材事業に取り組んできた同社は、蓄積したノウハウを生かし、介護領域を含めてビジネスの更なる成長を図る。

 クックビズ <6558> [東証G]は昨年12月、子会社を通じてインバウンドテクノロジー(東京都渋谷区)が運営してきた飲食・介護事業者向けの外国特定技能人材紹介事業と登録支援事業の買収を発表。ライク <2462> [東証P]も介護関連での外国人材の受け入れを積極的に進める方針を掲げている。同じく人手不足が深刻化する電気・通信設備工事業界では、JESCOホールディングス <1434> [東証S]がベトナムをはじめアジアの理工系大学の人材や留学生を、日本企業に紹介する事業を展開している。

 外国人材の受け入れ拡大に伴って、日本語教育へのニーズも一段と拡大することが予想される。個別指導塾「明光義塾」を展開する明光ネットワークジャパン <4668> [東証P]は今年7月12日、ベトナム人看護師・介護福祉士候補者に対する訪日前の日本語研修事業の委託先として外務省から3期連続で採択されたと発表した。同社の日本語学校事業の23年8月期第3四半期累計(22年9月~23年5月)の売上高は前年同期比47.9%増の8億1600万円と大幅な増収。営業損益は1800万円の黒字(前年同期は1億7200万円の赤字)に転じるなど、新たな事業の柱の育成が進行中だ。

 学習塾運営のスプリックス <7030> [東証P]は昨年6月、中国人を中心に海外からの留学生に日本語教育と進学指導を行う和陽日本語学院(東京都世田谷区)の運営部門の買収を発表した。同業の京進 <4735> [東証S]や市進ホールディングス <4645> [東証S]も、それぞれ日本語教育事業に参入している。教師サイドでは、放送メディア事業のブロードメディア <4347> [東証S]が3月、日本語教師の養成に向けたeラーニング講座の開講を発表している。

●多文化共生社会へ新サービスが続々

 インバウンドテック <7031> [東証G]は24時間365日対応の多言語コンタクトセンターを運営。幅広い業種において、在留外国人とのコミュニケーションを円滑にする通訳ソリューションサービスを提供する。訪日外国人(インバウンド)の増加とともに、日本語習熟が途上段階の在留外国人の増加は、同社のサービス拡大に寄与するとみられている。

 JPMC <3276> [東証P]は3月、約24万人の在留外国人が登録する求人サイトを運営するYOLO JAPAN(大阪市浪速区)との資本・業務提携を発表した。同社が持つプラットフォームを通じ、JPMCが全国で運営する不動産物件への外国人の入居を促進。JPMCファイナンスが賃料や更新料、原状回復費用などを保証し、不動産オーナーや管理会社の心理的ハードルの低下につなげる。スルガ銀行 <8358> [東証P]は昨年5月、外国籍の顧客がスマートフォンで普通預金口座の開設ができる新たなサービスを発表。リテール事業の差別化につなげる構えをみせた。

 このほか、「名代宇奈とと」を展開しながら飲食業界向けの外国人採用の支援を手掛けるG-FACTORY <3474> [東証G]や、インドネシアで職業訓練校を設立して自社の介護施設への受け入れを進めるウチヤマホールディングス <6059> [東証S]、オンラインのビジネス日本語学校を運営するビズメイツ <9345> [東証G]なども関連銘柄として位置づけられそうだ。人材サービスのフルキャストホールディングス <4848> [東証P]やキャリアバンク <4834> [札証]、ウィルグループ <6089> [東証P]、ヒューマンホールディングス <2415> [東証S]などもマークしておきたい。

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