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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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3940 ノムラシス

東証S
132円
前日比
+1
+0.76%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
27.3 1.98 2.46 5.49
時価総額 61.3億円
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決算発表予定日

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ノムラシステム Research Memo(1):2023年12月期は減益を想定、将来の成長を見込むための踊り場に


■業績動向

ノムラシステムコーポレーション<3940>は1986年2月に設立。企業のオープン化コンサルティング業務、それに関連するソリューション提供業務などを展開し、発展を遂げてきた。ITが急速に進化する時代の流れにうまく乗り、ソフトウェア設計・制作請負中心の事業構造から、ERP(Enterprise Resource Planning:基幹系統合システム)パッケージ導入におけるコンサルティング業務に経営資源をシフトしている。

同社の次世代戦略事業部では、ライセンス販売を積み重ね、システム更新需要等で安定的に収益を上げるビジネスのストック化を目指す。ストックビジネスが増えれば、中長期的に着実に業績がアップするシナリオが描けるようになる。民間調査機関が試算した国内ERP市場は、年平均成長率が8%。さらに、クラウド市場やビッグデータ市場も拡大が見込まれており、コンサルティング企業として同社の成長余地は大きい。

同社の事業内容はSAP導入コンサルティング、SAP保守サポートセンター運営、Webシステム開発コンサルティング、情報サイトコンサルティングなどによって構成されているが、2001年にSAP<SAP>とサービスパートナー契約を結んだことが飛躍するきっかけになった。2009年にはSAPのチャネル・パートナーとなり、SAP ERPのスペシャリスト集団として収益を伸ばし、2016年9月に東京証券取引所(以下、東証)JASDAQ市場への上場を果たし、2018年3月には同2部市場に上場。2018年6月には早くも1部市場に指定替えとなり、2022年4月の東証市場再編では最上位のプライム市場に上場するなど、着実にプレゼンスを上げたことにより、信頼度が高まり受注が拡大している。

2022年12月期決算は、売上高が2,696百万円(前期比3.4%減)、営業利益が352百万円(同26.0%減)、経常利益371百万円(同24.8%減)、当期純利益256百万円(同26.8%減)と前期比で減益となったものの、期初に立てた会社計画を上回った。

受注は順調に推移している。医療器具メーカーからSAP SuccessFactors Inc.による人事システム構築プロジェクトを追加受注。さらに、進行中のものとしては、大手テレビ局グループからの案件であるSAP S/4HANA導入プロジェクトが注目される。2020年11月から開始したこのプロジェクトは、全4フェーズ中4フェーズの納品が完了した。業界においては納期どおりに終わることなく1~2年の遅れは通常だが、同社はこれを期限どおりに納入した。今後はグループ会社への横への広がりが期待されている。

総じて見ると、プライム※案件にシフトする一方、既存のFIS(Function Implement Service)が減少する傾向が続いている。FIS案件は外注コストがかかるため、売上高全体は伸びが鈍化したものの、近年では利益率が改善傾向にある。全体の売上高に占めるプライム比率は従来35%前後だったが、直近では約40%に上昇しており、これがさらに高まれば、一段の利益率向上が期待できそうだ。

※クライアントから直接受注し、全工程を同社のコンサルタントが担当する。


一方、次世代戦略事業部のDX事業への先行投資に力を注いでいるが、DX事業への前向きな投資分によるコストアップについては、今後の成長につながるため不安材料とはならない。

2022年12月期は減益を余儀なくされたが、期初の計画を上回った。これは、当初見込んでいた人材が確保できず、結果的に人件費が減少したため。通常なら、こうした上方修正は歓迎されるものの、今回に限っては投資が先送りされ、喜ばしい結果ではなかったという。2023年12月期も減益を予想しているが、人材投資の費用がかさむことが大きい。これが一巡する2024年12月期以降は再び成長路線に回帰するものと想定される。

今後については、利益率改善を図るために、プライム案件、準プライム案件の比重を高めていく方針だ。従来型のFIS案件のように、プライムベンダーから依頼を受け、支援する形で部分的に対応することと比べて、売上総利益率に10ポイントほどの差が生じることになることから、当面はプライム案件の受注確保が業績向上のポイントだ。

さらに、2022年12月期は恵比寿ビジネスタワーへの本社移転を22年ぶりに実施。これは同社自身のDX戦略に絡むが、当期の収益圧迫要因となった移転費用などは、先行投資の位置付けとなる。引っ越しの効果は人材採用にも好影響を及ぼしたという。

2023年12月期は減益を見込んではいるものの、前述したように、投資と位置付けている人材投資がかさむためである。売上高2,760百万円(前期比2.0%増)、営業利益275百万円(同21.9%減)、経常利益275百万円(同25.9%減)、当期純利益187百万円(同26.7%減)を予想している。

受注は順調に拡大する見込みながら、5年後の飛躍を見込んで、投資を活発化させる。具体的には、引き続き人材投資に力点を置く考えだ。2023年12月期通期の数値については上振れの余地が大きいと見られる。同社の想定はどちらかと言えば、保守的に提示する傾向があり、受注やプロジェクトの進行が順調となっている点を踏まえれば、増額の可能性は高いと言えよう。

収益向上のカギとなるプライム案件は着実に積み上がる見込みだ。今後も「高付加価値ソリューションの提供」を目指し、1)「SAP S/4HANA」のリプレース需要を取り込むため、SAP認定コンサルタントの資格取得を推進し技術力を強化、2)「SAP SuccessFactors」拡販のためのクラウドソリューション強化を重点施策とする。また、既存のシステムについてクラウドを導入していない企業が多いため、クラウドへの置き換えを進めるといったビジネスチャンスが広がりそうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)

《NS》

 提供:フィスコ

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