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TDSE Research Memo(4):23年3月期第1四半期は6割増収、営業損益は黒字に転換


■業績動向

3. 2023年3月期第1四半期の業績
TDSE<7046>の2023年3月期第1四半期の業績は、売上高506百万円(前年同期比59.9%増)、営業利益41百万円(前年同期は11百万円の損失)、経常利益41百万円(同11百万円の損失)、四半期最終損失は8百万円だった。前期の上期から注力してきた新規顧客開拓と既存顧客の深耕による「大規模×長期化」に向けたフロー型ビジネスは今第1四半期においても継続性を維持しているほか、ストック型ビジネスでは「NetBase」の新規顧客獲得が進んだ。外注費や事業強化を目的とした技術社員の増強といった成長投資を進めながらも、売上げの大幅増によって各段階利益は前年同期から大きく改善。通期計画に対する売上高の進捗率は25.0%、営業利益は18.6%となり、順調な進捗と言える。

第1四半期での特徴的なポイントとしては、これまでの下期偏重による第1四半期での落ち込みがなくなった点である。これは安定成長を目指してきたフロー型ビジネスの案件長期化に向けた様々な施策が功を奏しているものと考えられる。また、東証プライム市場にある大企業顧客を抱えることで彼らのDX戦略を担うAIベンダーとしての信頼度が高まってきたことも要因の1つであろう。なかでも前期から続く小売・流通業界における案件の大規模化が業績向上を牽引していることが大きい。売上高の大幅増収によって、2020年3月期以降第1四半期としてはマイナスとなっていた営業利益は黒字に転換した。


ガイアックス、ゴンドラと「NetBase」販売パートナー契約を締結し、日本市場での販売網を強化。シミックソリューションズとは「Cognigy」販売パートナー契約を締結し医療DXを推進
さらに、フロー型ビジネスの拡大とともに、前述のとおりストック型ビジネスにおける「NetBase」の新規顧客獲得が進んだことで増収につながった。同社は今後の業容拡大に向けた成長戦略の柱として、既存AI製品の代理店拡大を進めており、その一環として2022年7月13日に、ガイアックス<3775>とSNSマーケティング分野での協力的な関係を築くことを狙いとして、AI製品であるソーシャルアナリティクスツール「NetBase」の販売パートナーとして契約締結した。

「Netbase」は、欧米の先進AI市場調査を経て、グローバルなハイテク企業が密集する米国シリコンバレーにて発掘してきた製品である。本製品は、国内最大の対応メディア数(グローバル3億ドメイン以上)、50言語に対応したNLP(自然言語処理)を有しており、グローバル規模では、世界的に著名なコカ・コーラ、ウォルマート、ラルフ・ローレン、SONY、BOSE、T-モバイル、メットライフなどが挙げられ、国内においても食料品、放送、自動車、流通業界大手など、グローバル展開を繰り広げる企業で導入が進んでおり、他社との差別化を図る戦略策定に生かしている。また、インバウンド市場の復興を狙いとした地方創生ビジネスに向け、企業や自治体などの導入が進んでおり、同社ではストックビジネスの主力AI製品として位置付けている。

ガイアックスは、ソーシャルメディアとシェアリングエコノミー領域を中心とした事業を展開しており、顧客の事業を連続的に生み出すスタートアップスタジオとして、新規事業のアイデア出しからグロースまで、起業前のフェーズから徹底した支援を提供している。多くの企業を顧客に持ちマーケティング分野において高い信頼度を誇るガイアックスとの協業を通じて、SNSマーケティング分野における企業のDX実現に向けたシナリオ策定支援を行うなど、企業内に新たな付加価値を導くことも狙いとしている。

また、7月29日にSNSマーケティング分野での協力的な関係を築くことを狙いとして、パイプドHD<3919>の子会社である(株)ゴンドラと、AI製品であるソーシャルアナリティクスツール「NetBase」の販売パートナーとして契約を締結した。ゴンドラは、カスタマーエンゲージメントの向上を目指しながら、顧客のマーケティング課題に対し、広告とCRMを軸にビジネスの戦略設計から集客、Webサイト制作、さらには顧客との関係構築までを一気通貫でサポートすることを強みとしている。

今回の提携によりソーシャルメディア分析やライセンス販売を推進していくことになるが、単に分析することに留まらず、ユーザー企業のカスタマーエンゲージメントの最大化を実現する取り組みを行っていく計画である。

そして、8月12日にはシミックホールディングス<2309>の傘下で、医薬・医療業界において画期的かつ多様なヘルスケアソリューションを提供するシミックソリューションズ(株)と医療領域のDX推進強化を狙いとして、「Cognigy」の販売パートナー契約を締結した。医療業界は、利用者に高齢者が多いことを背景に従来からITシステムの導入が進んでいないうえ、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により現場の医療従事者への負担が高まっており、DX/AIの導入が以前にも増して求められている。「Cognigy」は、問合せ対応や診療受付など様々な業務の自動化を実現できる対話型AIプラットフォームである。具体的には、人間のオペレーターにシームレスに引き継ぎが可能であったり、電話、LINEなどにも対応したシステムを構築可能なため、DX/AIに抵抗感をもつ高齢者にも利用しやすいサービス提供が期待できる。今回の両社の業務提携は医療業界が抱える負担を軽減できる取り組みと言えるだろう。今後、「Cognigy」導入事例を積み重ね、AIツールとしての有効性が証明されれば、「Cognigy」の売上は拡大するものと弊社では見ている。同社は、「AI×ヘルスケア」を注目領域として位置付けており、今後は自治体への展開も進めていくとともに、引き続き「AI×ヘルスケア」への取り組みを推進していく考えだ。

団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」による医療や介護などの社会保障費の急増への懸念や、慢性的な医療従事者の人材不足に対し、シミックソリューションズが強みとする多様化するヘルスケア分野のニーズに的確に対応するヘルスケアソリューションに「Cognigy」を組み合せることにより、医療業界が抱える負荷を軽減させる。

また、「Cognigy」は音声自動対話もできるAI機能も搭載しており、将来的には音声対話型AIと組み合わせたデジタル問診やバーチャル診療などのサービスを実現する想定だ。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《SI》

 提供:フィスコ

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