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【特集】「経営は人なり」、人材戦略で銘柄を選んだら億り人に
第30回 日本株&アメ株で勝つ人
~個人投資家4800人の調査で判明!
(億り人・風林火山さんの場合その1)
今回紹介する風林火山さん(ハンドルネーム)は、成長株を対象としたキャピタルゲイン狙いの長期投資で「億り人」になった兼業投資家だ。35年前に30万円から投資を始め、元本を追加しながら、足元で日本株資産を1億5000万円に膨らました。
銘柄選びでは、有望な事業を抱える企業の中から「人材戦略が上手いか」「時流にマッチしているか」といった2つの軸を使い分けて成長性を見極める。少なくとも数カ月は保有し、足元で30銘柄ほどを抱える。
銘柄分析にかける時間は、現在では週10時間ほど。仕事を終えて平日は1時間、土日で5時間といった具合だ。決算シーズンになるとさらに忙しくなる。候補リストに挙がっている銘柄は、150を上回る。
「人材戦略」を重視したスタイルでは、人材活性化の施策や企業風土が成長の循環によい影響を与えそうかを吟味し、投資判断に結びつける。
このスタイルは、30年以上にわたり経営層向け人材紹介業に携わってきた経験から築いたもの。風林火山さんは、顧客企業から経営戦略と課題をヒアリングし、人材戦略を切り口とした解決案を提示してきた。
この知見を銘柄分析に活用している。第1回は、人材戦略を軸とした投資手法と事例を紹介しよう。
リクルート株で5000万円以上を獲得
人材戦略重視のスタイルで、これまで最もリターンを稼いだ銘柄が、リクルートホールディングス<6098>だ。
風林火山さんはリクルートの元社員で、上場前から従業員持ち株会を通じて株式を取得していた。退職後、同社が2014年に上場した直後に買い増し、ピーク時に約3万株抱えていた。
その後、一部を利確したこともあり、足元の保有株数は1万3000株になる。一部売却で得たリターンは5000万円以上になる。
■リクルートの月足チャート(2014年10月~)
上場した当時、風林火山さんが、同社の事業面で最も期待していたのが、買収した米国の人材サービス会社、「インディード」だ。国内の人材事業は少子化の影響などから縮小していく可能性がある中で、今なお人口が増加し、国内より転職が活発な米国に足場をおいた事業に注目した。
画期的だったのが、集客の仕組み。当時、既存サイトの多くが企業から広告料を得て求人を掲載する形式だった。それに対して「インディード」は、インターネット上で公開されている情報をかき集めて無料で掲載する。求人数が急速に増えれば、サイト閲覧者数も増えるはずなので「このサイトは急拡大すると確信した」(本人)
成長の持続性を見極めるにあたって注目したのは、リクルートが「時代の変化に対応できる会社」であるという組織的な強みだ。具体的には、
――の2つを挙げる。
1つ目は、リクルートで20年以上勤務して体感したことだ。会社ができてから数十年にわたり、1人ひとりの社員がビジネスの開拓に意欲的で、貪欲に仕事をこなしていく姿を見てきた。これは、ある種の風土として根付いているものだと言う。時代にマッチした事業を展開する上で、今後も武器になると期待する。
実際に新事業は次々に生まれている。有力視しているのが、店舗運営のIT支援ツールだ。「Airシリーズ」としてキャッシュレス決済や会計処理、予約管理システムといった業務区分ごとに特化したサービスをインターネット上で提供。マーケティングや人材採用と対応領域が広がり、課金収入が伸びていくだろうと見込む。
2つ目の「経営陣の若返り」では、経営体制や慣行が硬直的になるリスクを抑える効果を期待する。現在の出木場久征社長兼CEO(最高経営責任者)は47歳だ。
経営体制を刷新するとき、上場企業の中には「社長→会長→相談役…」といったように、先輩経営者が経営にかかわり続けるケースは珍しくない。それに対しリクルートは、トップ以外の役員を含めてスパッと退く傾向が見られるそうだ。本人は「この特徴は日本企業では珍しい」と語る。
役員・社員ともに「緊張感」を持たせる仕組みに着目
足元の保有銘柄で、含み益を膨らまし、売買益の期待も高いのが、ポンプ総合メーカーの荏原製作所<6361>だ。21年3月に買い出動し、足元(9/2終値)の株価は買値の約20%増となる5150円だ。
同社は、半導体関連やごみ処理プラントなど市場の成長が見込める事業をいくつか抱えている。そのポテンシャルから、株価は現値の2倍に伸びると見込んでいる。
成長が続く根拠としているのが、経営陣・従業員が緊張感を持って業務にあたる体制がとれていることだ。キーワードは「ROIC(投下資本利益率)経営」「ガバナンス」の2つだ。
■荏原製作所の週足チャート(2019年12月~)
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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~個人投資家4800人の調査で判明!
(億り人・風林火山さんの場合その1)
編集・構成/真弓重孝、取材/高山英聖(株探編集部)
風林火山さん(50代・男性・兼業投資家)のプロフィール:
30年以上にわたり人材紹介系の会社で働く傍ら、1980年代後半から株式投資を行ってきた。仕事柄、顧客企業の経営戦略に密接にかかってきたため、銘柄分析でもファンダメンタルズを重視して成長性を見極めていくのが特徴だ。足元の日本株資産は1億5000万円。累計元本の4倍以上となる。左の画像は「鷲羽岳」。息子が学校の登山部の活動で撮影した。
30年以上にわたり人材紹介系の会社で働く傍ら、1980年代後半から株式投資を行ってきた。仕事柄、顧客企業の経営戦略に密接にかかってきたため、銘柄分析でもファンダメンタルズを重視して成長性を見極めていくのが特徴だ。足元の日本株資産は1億5000万円。累計元本の4倍以上となる。左の画像は「鷲羽岳」。息子が学校の登山部の活動で撮影した。
今回紹介する風林火山さん(ハンドルネーム)は、成長株を対象としたキャピタルゲイン狙いの長期投資で「億り人」になった兼業投資家だ。35年前に30万円から投資を始め、元本を追加しながら、足元で日本株資産を1億5000万円に膨らました。
銘柄選びでは、有望な事業を抱える企業の中から「人材戦略が上手いか」「時流にマッチしているか」といった2つの軸を使い分けて成長性を見極める。少なくとも数カ月は保有し、足元で30銘柄ほどを抱える。
銘柄分析にかける時間は、現在では週10時間ほど。仕事を終えて平日は1時間、土日で5時間といった具合だ。決算シーズンになるとさらに忙しくなる。候補リストに挙がっている銘柄は、150を上回る。
「人材戦略」を重視したスタイルでは、人材活性化の施策や企業風土が成長の循環によい影響を与えそうかを吟味し、投資判断に結びつける。
このスタイルは、30年以上にわたり経営層向け人材紹介業に携わってきた経験から築いたもの。風林火山さんは、顧客企業から経営戦略と課題をヒアリングし、人材戦略を切り口とした解決案を提示してきた。
この知見を銘柄分析に活用している。第1回は、人材戦略を軸とした投資手法と事例を紹介しよう。
リクルート株で5000万円以上を獲得
人材戦略重視のスタイルで、これまで最もリターンを稼いだ銘柄が、リクルートホールディングス<6098>だ。
風林火山さんはリクルートの元社員で、上場前から従業員持ち株会を通じて株式を取得していた。退職後、同社が2014年に上場した直後に買い増し、ピーク時に約3万株抱えていた。
その後、一部を利確したこともあり、足元の保有株数は1万3000株になる。一部売却で得たリターンは5000万円以上になる。
■リクルートの月足チャート(2014年10月~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
上場した当時、風林火山さんが、同社の事業面で最も期待していたのが、買収した米国の人材サービス会社、「インディード」だ。国内の人材事業は少子化の影響などから縮小していく可能性がある中で、今なお人口が増加し、国内より転職が活発な米国に足場をおいた事業に注目した。
画期的だったのが、集客の仕組み。当時、既存サイトの多くが企業から広告料を得て求人を掲載する形式だった。それに対して「インディード」は、インターネット上で公開されている情報をかき集めて無料で掲載する。求人数が急速に増えれば、サイト閲覧者数も増えるはずなので「このサイトは急拡大すると確信した」(本人)
成長の持続性を見極めるにあたって注目したのは、リクルートが「時代の変化に対応できる会社」であるという組織的な強みだ。具体的には、
・ベンチャー気質が定着している
・経営陣の若返りが進んでいる
・経営陣の若返りが進んでいる
――の2つを挙げる。
1つ目は、リクルートで20年以上勤務して体感したことだ。会社ができてから数十年にわたり、1人ひとりの社員がビジネスの開拓に意欲的で、貪欲に仕事をこなしていく姿を見てきた。これは、ある種の風土として根付いているものだと言う。時代にマッチした事業を展開する上で、今後も武器になると期待する。
実際に新事業は次々に生まれている。有力視しているのが、店舗運営のIT支援ツールだ。「Airシリーズ」としてキャッシュレス決済や会計処理、予約管理システムといった業務区分ごとに特化したサービスをインターネット上で提供。マーケティングや人材採用と対応領域が広がり、課金収入が伸びていくだろうと見込む。
2つ目の「経営陣の若返り」では、経営体制や慣行が硬直的になるリスクを抑える効果を期待する。現在の出木場久征社長兼CEO(最高経営責任者)は47歳だ。
経営体制を刷新するとき、上場企業の中には「社長→会長→相談役…」といったように、先輩経営者が経営にかかわり続けるケースは珍しくない。それに対しリクルートは、トップ以外の役員を含めてスパッと退く傾向が見られるそうだ。本人は「この特徴は日本企業では珍しい」と語る。
役員・社員ともに「緊張感」を持たせる仕組みに着目
足元の保有銘柄で、含み益を膨らまし、売買益の期待も高いのが、ポンプ総合メーカーの荏原製作所<6361>だ。21年3月に買い出動し、足元(9/2終値)の株価は買値の約20%増となる5150円だ。
同社は、半導体関連やごみ処理プラントなど市場の成長が見込める事業をいくつか抱えている。そのポテンシャルから、株価は現値の2倍に伸びると見込んでいる。
成長が続く根拠としているのが、経営陣・従業員が緊張感を持って業務にあたる体制がとれていることだ。キーワードは「ROIC(投下資本利益率)経営」「ガバナンス」の2つだ。
■荏原製作所の週足チャート(2019年12月~)
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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