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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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3826 システムインテグレータ

東証S
367円
前日比
-2
-0.54%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
36.8 1.09 1.36 36.12
時価総額 40.7億円
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SI Research Memo(6):ERP事業は製造業向けを中心に好調を継続


■システムインテグレータ<3826>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) Object Browser事業
Object Browser事業の売上高は前年同期比0.1%減の344百万円、営業利益は同4.8%増の78百万円となり、おおむね会社計画(売上高360百万円、営業利益74百万円)どおりとなった。売上高は「Object Browser」シリーズの伸び悩みにより微減となったものの、利益面では「OBPM Neo」の契約件数増加により増益となった。

「Object Browser」シリーズは、ソフトウェア開発の生産性を向上させるツールとして業界で幅広く利用されており、同社の安定収益源となっている。2022年7月には、最新バージョンである「SI Object Browser for SQL Server 22」をリリースした。Windows11、Windows Server2022、SQL Server2019に対応したほか、顧客から要望が多かった機能を追加するなど利便性向上を図っている。

統合型プロジェクト管理ツール「OBPM Neo」は、2021年3月よりクラウドサービス(月額課金サービス)へのリニューアルを実施した。既存顧客(オンプレミス型契約)のリプレイスが順次進んでいることもあり、一時的に売上高が伸び悩む状況が続いているものの、導入社数は前期末の220社から238社と順調に増加した。オンプレミス型の契約件数は前期の約5割から4割弱まで低下しているが、一部カスタマイズ機能を加えて提供している大口顧客の切り替えについては、「OBPM Neo」で同様の機能を追加後に移行作業を進める予定にしている。このため、完全にクラウドサービスに切り替わる時期は2025年3月以降を目途としている。新たな取り組みとしては、2022年6月より初期導入費用が無料となる「セルフプラン」※1の提供を開始したほか、同年7月には顧客のプロジェクトをオンラインで監視し、問題を早期発見・改善するサービス「リモートPMOサービス」※2の提供を開始した。IT業界ではエンジニアだけでなくPM人材の不足も課題となっており、「リモートPMOサービス」はこうした課題を解決するソリューションとなる。

※1 顧客自身で導入作業を行うプランで、契約から最短3日でサービスの利用が可能となる。月額料金(税抜)はライセンス数(10~30ライセンス)により5万円、7.5万円、9万円の3プランを用意している。
※2 「OBPM Neo」のユーザー限定サービスとなり、月額料金(税抜)はサポートするプロジェクト数により、30万円、55万円、95万円の3プランを用意している。


ソフトウェア設計支援ツール「OBDZ」は、2019年6月からクラウドサービスとして販売を開始し、設計作業の生産性を大幅に向上させるツールとして拡販に取り組んでいる。しかしながら、導入社数は40社超の水準にとどまるなど伸び悩んでおり、機能強化が課題となっている。このため、事業の継続の可否を含めて今後検討していく。

(2) E-Commerce事業
E-Commerce事業の売上高は前年同期比27.3%減の442百万円、営業利益は同61.1%減の89百万円となり、会社計画(売上高490百万円、営業利益94百万円)に対しても下回る結果となった。既述のとおり、前期に受注した大型案件が顧客事由により中断となったことに加えて、新規受注案件の成約に至るまでの期間が長期化していることも一因となった。

新たな取り組みとして、2022年5月にアドビとデジタルコマース基盤「Adobe Commerce」の国内販売に関するソリューションパートナー契約を締結し、営業活動を開始している。「Adobe Commerce」は単一のプラットフォームでBtoCとBtoBの両チャネルに対応できるほか、マルチブランドの運営もスムーズに行えるなど利便性の高さが特徴で、国内ではまだ販売実績が少ないものの、海外ではBtoBやBtoCのグローバル企業に多数採用されている。同社では当初、BtoBやBtoCの中小企業をターゲット顧客として想定していたが、展示会に出展したところ中堅企業や大企業からの引き合いも多かったことから、現在はターゲット顧客を広げて営業活動を行っている。「Adobe Commerce」はカスタマイズすることも可能だが、同社では手離れの良い標準品として販売し、カスタマイズの希望がある顧客には自社製品を提案する考えで、今後3年間で10億円の売上目標を掲げている。

(3) ERP事業
ERP事業の売上高は前年同期比9.3%減の1,345百万円、営業利益は同72.3%減の36百万円となったが、会社計画(売上高1,180百万円、営業利益17百万円)に対してはいずれも上回った。既述のとおり、2023年2月期は下期に納品予定となっている案件が多いため、第2四半期までの売上高は前年同期を下回る水準となったものの、受注環境は製造業を中心に引き続き旺盛で、開発リソース不足により見積もり提案を辞退するケースも出ているほどだ。2021年以降、サプライチェーンリスクの高まりもあって、部材の調達や生産及び在庫管理などの重要性が増しており、ERPの導入や刷新を検討する企業が増えていることが背景にある。

このような状況を受け、同社では新卒採用数を増やしたほか、福岡支社を開設し開発体制の強化に取り組んだ。積極的な人材投資を行った結果、利益面では一時的に減益要因となったが、今後これらの人材が戦力化することで収益は拡大していくものと期待される。なお、同社では新卒社員が平均的な利益を生み出すまでに3年程度の経験が必要と見ている。利益貢献するまでの期間が長いようにも思えるが、ERPの開発では顧客ごとに要求される事項が異なるため、一定の開発経験が必要なためだ。

(4) AI事業
AI事業の売上高は前年同期比191.6%増の18百万円、営業損失は31百万円(前年同期は54百万円の損失)となった。会社計画(売上高39百万円、営業損失21百万円)に対しては未達となったものの、着実に売上高が増加している。AIによるディープラーニング外観検査システムとして「AISI∀-AD」の検証考察(PoC含む)件数が増加したほか、製造ラインへの導入が1件開始され増収要因となった。引き合いのある対象検査物としては、フィルム製品のほか輸送機器用部品、ペットボトルのキャップ、電設資材など幅広く、本番運用に向けた開発導入も複数着手しているようで、下期以降の売上増が期待できる。

(5) その他
その他の事業の売上高は前年同期比19.4%増の22百万円、営業損失は56百万円(前年同期は53百万円の損失)となり、会社計画(売上高31百万円、営業損失54百万円)に対しては売上高が未達となった。プログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」は、アルゴリズム能力を問う「TOPSIC-PG」に加えて、2021年2月よりデータベース言語であるSQLのスキルを判定する「TOPSIC-SQL」のサービス提供を開始したことで、契約社数が着実に増加し増収となった。また、2021年秋に販売を開始した「VOICE TICKETS」「IDEA GARDEN」については、それぞれ1百万円程度の売上計上となった。利益面では、開発費用の負担により損失計上が続いている。なお、収益力の強化を目的に、今後も収益化が困難と判断した新規事業については撤退または売却することを2023年2月期中に決定する方針を明らかにしている。

トピックスとしては、Salesforce AppExchangeでアプリを提供している約200のサービス事業者に向けて、アプリ上でVoC(顧客の声)を収集できる「ボイチケ for Salesfoece」の提供を2022年6月に開始した。また、「IDEA GARDEN」では経営コンサルティング会社を通じて拡販活動を進めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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