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3656 KLab

東証P
251円
前日比
+10
+4.15%
PTS
254.2円
17:32 05/07
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.89 9.21
時価総額 103億円
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決算発表予定日

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KLab Research Memo(1):「ラブライブ!」など人気IPによるモバイルオンラインゲームを提供


■要約

KLab<3656>は、「世界と自分をワクワクさせろ」をビジョンに掲げ、スマートフォン向けアプリを中心にモバイルオンラインゲームの企画、開発を主力としている。また、売上の拡大及びボラティリティの低減を目的に非ゲーム事業も手掛けている。主要タイトルには、「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」(以下、スクフェス)、「BLEACH Brave Souls」(以下、ブレソル)などがある。日本の人気漫画やアニメーションをゲーム化し、運用するところに強みがあり、海外への展開にも積極的である。海外売上比率は約16%を占め、過去3年間で約3倍に拡大してきた。また、上位4タイトルで売上高の大部分を占めているが、特定のヒットタイトルへの依存度が高い業界においては、比較的バランスのとれた構成と言える。ここ数年は、スマホゲーム市場全体に停滞感が漂うなかで、新規タイトルの不振や方針転換等に伴うリリースの見送りなどにより、業績の伸び悩みが見られるが、人気IPを含む11タイトルの開発パイプラインが進行中であることに加え、足元では運営力及びマーケティング力の強化にも一定の成果が出てきたこと、固定費の圧縮や変動費化が進んできたことなどから、再び成長軌道に乗るための体制が整ってきたと言える。

1. 直近の業績動向
2016年12月期の業績は、売上高が前期比6.3%減の19,599百万円、営業利益が同42.0%減の1,274百万円と減収減益となり、最終赤字に転落した。2015年リリースタイトルの不振や方針転換等に伴う新規タイトルのリリースを見送ったことにより減収となった。また、2015年より開始したイベント事業の不振も業績の足を引っ張った。また、利益面では、人件費の削減や海外拠点の閉鎖などにより販管費の圧縮を図ったものの、売上原価率の大幅な上昇(イベント事業による一過性の要因)や減収による収益の押し下げにより営業減益となった。さらに、最終赤字となったのは、円高に伴う為替差損、不振タイトルの減損損失、関係会社整理損の計上などが理由である。

2. 新規タイトルのヒットに期待
同社は、2017年12月期よりレンジ形式による「通期業績予想開示」を採用しており、売上高を17,500百万円~22,500百万円、営業利益を600百万円~2,900百万円と見込んでいる。レンジ上限を達成した場合には、過去最高の売上高及び営業利益を更新することになる。新規タイトル(2本から5本をリリース予定)が業績貢献する前提である。また、レンジ設定の想定は、既存タイトルの売上ライフサイクル(自然減)及び新規タイトルのヒット度合いを反映したものである。弊社では、第1四半期が好調に滑り出したこと(高い進捗率)や、これからリリース予定の新規タイトルのうち、少なくとも「キャプテン翼」と「うたの☆プリンスさまっ♪」を題材とした2タイトルは高い確率でリリースされ、一定のヒット率は期待できるものと想定していることから、通期業績予想のレンジ上限を達成する可能性は高いとみている。

3. 事業ポートフォリオの分散により安定経営と成長の両立を担う
同社の中期的な成長戦略の方向性は、これまでの内部開発によるゲーム事業中心から、外部開発/パブリッシングによるゲームタイトル数を増加させるほか、非ゲーム事業の推進により、三分鼎立(さんぶんていりつ:3つの事業のバランスがとれた状態)を目指すものである。スマートフォンゲームを取り巻く環境変化が激しいなかで、事業ポートフォリオの分散や収益構造の柔軟性(費用の変動費化)を高めることにより、安定的に黒字経営ができる体質に転換しながら、成長を加速する戦略と言える。

弊社では、スマートフォンゲーム市場の先行きに不透明感があるなかで、海外への展開、残存者利益の享受(外部リソースの活用を含む)が同社の成長を支えるものとみており、その動向に注目している。また、事業の拡大や収益体質の安定化に向けて、非ゲーム事業を推進する戦略にも合理性がある。日本のIPを展開していくノウハウや独自のマーケティング力を生かして、いかに同社ならではの新たな価値を創出していけるかが成功のカギを握るだろう。

■Key Points
・人気IPによるヒットタイトルの創出を得意とするモバイルオンラインゲーム会社
・独自のマーケティング力や海外展開力にも強み
・2016年12月期は新規タイトルの見送り等により減収減益
・2017年12月期は新規タイトルのリリースにより業績拡大を目指す
・外部開発/パブリッシングや非ゲーム事業の拡大によりバランスをとりながら安定と成長の両立を実現する方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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