【特集】爆騰「ビットコイン」、新常識“有事の仮想通貨買い”が導く未来は <株探トップ特集>
リミックス <日足> 「株探」多機能チャートより
―イーサリアムなどオルトコインも急上昇、“ジャパンマネー猛威”で世界牽引―
「ビットコイン」を中心とする 仮想通貨市場が連日の急騰を演じている。ビットコイン価格はこの1年で、ドルベースでは5倍に上昇。特に、今年4月以降は上昇ピッチを速め青空圏を駆け上がる勢いだ。この急騰するビットコイン価格を主導しているのは、ジャパンマネーだという。今春の「改正資金決済法」施行も追い風となり、ビットコイン市場には日本の投資資金が流入。仮想通貨のインフラは今後、一段と整備される見通しでありビットコイン関連市場は今後、本格的に拡大しそうだ。
●初の2000ドル乗せ、地政学リスクが追い風に
インターネット上の仮想通貨である「ビットコイン」価格の上昇が止まらない。情報サイトのコインデスクによると、昨年5月下旬に1ビットコイン=450ドル前後だった価格は、今月に入り初の2000ドル台を突破、きょうは2300ドル台まで値を上げている。この1年間で価格は5倍に跳ね上がった。
円ベースでも、ビットコイン取引所のビットフライヤーによると昨年8月初旬の5万5000円前後が直近の今月23日には一時30万1000円台まで急騰した。特に、ビットコイン価格は今春以降、顕著な値上がりを示している。
ビットコイン上昇の背景には何があるのか。「これまでビットコインというと中国人の動向が注目されてきた。しかし、当局の規制もあり中国人の勢いは落ちている。むしろ主導しているのは日本人だろう」と仮想通貨取引所ビットバンクの廣末紀之社長はいう。
●「イーサリアム」は年初から20倍高、投機資金流入
今年4月から日本では「改正資金決済法」が施行された。ビットコインは通貨としてのお墨付きを得た格好となったことで、日本人のビットコインへの認知度は高まり、同市場への資金流入が加速した。
さらに「米トランプ政権不安や北朝鮮問題など地政学リスクが台頭したことも資金の逃避先としてのビットコイン買いを促したのだろう」と廣末社長は推測する。有事の際は「金買い」が伝統的な投資スタイルだが、最近は「有事のビットコイン買い」で同価格が上昇している。さらに、ビットコイン独自の「ハードフォークとソフトフォーク」と呼ばれる問題の懸念が後退したことも価格上昇要因に働いた様子だ。
また、仮想通貨への認知度の高まりとともに、「オルトコイン」と呼ばれるビットコイン以外の投資も膨らんでいる。ビットコインに次ぐ取引規模を持つ仮想通貨「イーサリアム」の価格は、年初から円建てで20倍強に急騰している。
●東京に仮想通貨市場が相次ぎ開設も、メガバンクが参入
そんななか、世界の仮想通貨市場で、最も熱い視線を集めているのが日本市場だ。この7月からはビットコインの購入に消費税がかからなくなる。また、SBIホールディングス <8473> は今夏にはビットコインなど仮想通貨取引事業に参入が見込まれている。マネーパートナーズグループ <8732> やカブドットコム証券 <8703> も参入準備を進めている様子だ。GMOインターネット <9449> の子会社も今月末からのビットコイン取引開始を予定している。三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> の三菱東京UFJ銀行は独自の仮想通貨「MUFGコイン」を来春にも同行の口座を持つ人を対象に提供を始める予定だ。みずほフィナンシャルグループ <8411> も同様の動きを進め、メガバンクも仮想通貨市場に乗り出し始めた。
国内にはビットフライヤーほか数社がすでにビットコイン取引所を開設しているが、今後、大手企業を含め新規の市場参入が活発化するとともに、日本人のビットコイン取引は一段と活発化する可能性がある。
●SBI、マネパ、セレス、インフォテリアなど
以下、ビットコイン関連企業を見てみると、ビックカメラ <3048> は4月から都内2店舗でビットコイン決済を開始した。日本最大級の格安航空会社ピーチ・アビエーションは、リミックスポイント <3825> [東証M]子会社のビットポイントジャパンと業務提携し、フライトから現地での買い物、宿泊、飲食までをビットコインでする旅を企画している。ぐるなび <2440> はレジシステム「ぐるなびポスタス」にビットコイン決済機能を今秋までに付加する見込みだ。
セレス <3696> はビットコイン海外送金サービス「sobit」を7月から開始する。同社は取引所のビットフライヤーやビットバンクと業務提携しているほか、ベンチャー企業の「ジャノム」と連携し同サービスを展開する。インフォテリア <3853> [東証M]はテックビューロなどと組み為替が安定した仮想通貨を志向したデジタルトークン「Zen」の展開を進めている。マネパGもテックビューロの運営する「Zaif」のビットコインを「マネパカード」を通じて世界で使えるサービスを4月から始めている。
●「過熱感」と「一段高期待」で強弱感対立
では、ビットコイン市場は今後、どう動くのか。ビットコイン価格には「バブル的上昇でいつ急落してもおかしくない」という声がある一方、「一年前にビットコインの価格が5万円に上昇した時も驚きの声が上ったが、すでに30万円近くに高騰した。市場規模拡大を考慮すれば、一段の上昇もあり得る」との見方もあり強弱感が対立している。
外為どっとコム総研の神田卓也調査部長は「今後のビットコイン価格の動向を予想することは難しい。ただ、気になるのは流動性。過熱感は否定できないだけに、ビットコイン市場への参入には十分な注意が必要だろう」とも指摘している。
株探ニュース