貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

3468 スターアジア

東証R
62,500円
前日比
0
0.00%
PTS
-円
業績
単位
1株
PER PBR 利回り 信用倍率
21.3 1.17 4.86 30.34
時価総額 1,483億円
比較される銘柄
iS米債7H, 
星野Rリート, 
東急RE

銘柄ニュース

戻る
 

スターアジア不動産投 Research Memo(2):賃料ギャップの解消や稼働率の向上など、内部成長の着実な推進


■概要

1. 同REITの運用スタイル、投資方針及び資産ポートフォリオ
スターアジア不動産投資法人<3468>の特徴的な運用スタイルは、投資主利益の最大化に資すると考えられる施策については、既成概念や前例にとらわれずに検討し実行するアクティブマネジメントである。上場以降これまでに数多くの投資主利益の最大化のための施策を実行してきたが、代表例として、ポートフォリオの強化及び売却益の獲得等を狙った2度の資産の入替えの実行、上場投資法人としては初となるメザニンローン債権投資が挙げられる。同REITは、今後もアクティブマネジメントを展開し投資主利益の最大化を追及する、としている。

<投資方針及び資産ポートフォリオ>
(1) 東京圏への集中
同REITとしては、人口集積度が高く日本の経済活動の中心である東京圏においては、様々な用途における不動産の利用ニーズは高く、安定的な収益を見込むことができるとして運用資産の取得価格ベースで70%以上を東京圏へ投資する方針である。第5期期初(2018年2月初旬)に実行した6物件の追加取得後(全29物件、取得価格総額860億円のポートフォリオ)においては東京圏比率が80.1%に達する。東京圏以外の投資対象エリアとしては、大阪、名古屋、福岡、札幌、その他政令指定都市を挙げており、それぞれのエリアにおいて厳選して投資を行う方針としている。現在のポートフォリオにおいては、大阪5物件、福岡2物件が組み入れられている。

(2) アセットタイプの分散
同REITは、複数のアセットタイプを組入れることで、経済環境の変化による影響を受けにくく安定した収益が期待できるとしてオフィス、商業施設、住宅、物流施設及びホテルを投資対象アセットタイプとしている。現在のポートフォリオには商業施設が組入れられていないが、各アセットタイプの構成比で50%以下という原則の中で、収益の成長性と安定性を兼ね備えたポートフォリオを追求する。同REITの位置付けでは、現在組入れられている資産の中でオフィスとホテルが収益の「成長性を重視」したアセットであり、物流施設と住宅が収益の「安定性を重視」したアセットである。2018年2月初旬の時点では、成長性を重視するオフィス(構成比30.8%)及びホテル(構成比12.7%)で43.4%を占め、安定性を重視する住宅(構成比20.6%)及び物流施設(構成比36.0%)で残りの56.6%が構成されている。今後も各アセットタイプの組入れバランスに配慮しつつ、安定性と成長性を取り込むポートフォリオの構築を追及する。

(3) ミドルサイズアセットを中心とした投資
同REITは、流動性が高く良質な中規模物件を集積させることにより、資産入替え等のポートフォリオの柔軟性確保やテナントの分散により退去や賃料の減額に伴うポートフォリオ収益への影響を極小化することを目指している。2018年2月初旬の時点では、保有する29物件の平均取得価格は29.7億円であり、すべての物件が100億円未満であることからこの投資方針が実践されていることがわかる。アセットタイプごとに特性はやや異なるが、複数のテナントが入居する(できる)中規模物件を中心としてポートフォリオを構成することで、徹底したリスクの分散を志向するのが基本戦略だ。今後もミドルサイズアセットを中心とした投資を展開する方針である。

2. 内部成長の実績と今後の戦略
同REITは、積極的に内部成長(収益の拡大、費用削減等)に取り組んでおり、アセットタイプ別に力点が異なる。オフィスに関しては、賃料ギャップの解消がメインとなる。運用中のオフィスビルにおいては、契約賃料の方が周辺相場賃料よりも低いテナントが多く(第4期末時点で72.0%)であり、第3期末に6.8%(月額契約賃料総額と周辺相場賃料に置き換えた場合の月額賃料総額との差額の比率)だった賃料ギャップは第4期末に5.2%に減少し順調に賃料ギャップの解消を進めている。今後も賃料ギャップの解消に一層注力する方針である。物流施設に関しては、個々のテナントの状況に応じて賃貸借契約の再契約等の交渉に臨む。今期(第5期)に賃貸借契約が終了する2テナントに関しては、賃料を増額した上で再契約を締結した。今後も保有する物件の周辺相場賃料や建物の状況、テナント満足度などを勘案し、可能な限りの賃料増額を達成したいとしている。住宅に関しては、第4期中に稼働率の上昇を達成した。今後は上昇した稼働率を維持していくことに取り組む。運用会社においては、投資運用部に物件の管理運営に精通している人材2名を採用(2018年1月)し、これまで以上に物件毎の特性に応じた内部成長施策を実施する方針である。また、スターアジアグループでは2017年7月にコンストラクションマネジメント部を設置し、恒常的にスポンサーグループより建物価値の維持向上に資する助言を受けることができ、同REITが取得を検討する物件に係る資本的支出や修繕計画の立案、保有する物件に係るテナントへの訴求性の高いリニューアル工事や、より戦略的な修繕計画の策定等において従前にも増してサポートが期待できるようになった。

3. 外部成長の軌跡と今後の戦略
同REITは、2016年4月の上場以降、2度の資産の入替え、2度の公募増資を伴う資産の取得を通じて、上場当初の資産規模614億円(取得価格ベース)から860億円へと規模を拡大してきた。今後もビジネスライン(事業領域)を拡張するスターアジアグループからの物件取得を中心として、加えて同REIT独自ネットワークの強化(新任投資運用部長の招聘)による案件発掘を加速し2020年に資産規模2,000億円の達成を目指す。

4. スターアジアグループのビジネスライン(事業領域)の拡張及び同REITへのサポート
スターアジアグループは、マルコム・エフ・マクリーン4世氏及び増山太郎(ますやまたろう)氏によって設立され、2007年に投資を開始した、両名により投資判断が行われるファンド及びその運用会社並びにそれらファンドの投資先で構成される不動産投資グループである。主として米国の大学基金、財団や年金基金などの長期運用を志向する投資家の資金を、日本を始めとするアジアの不動産等関連資産により運用する。現在は日本以外への投資を行っておらず、継続的に日本の不動産マーケットにおいて投資実績を積み上げている。様々なアセットタイプの不動産への直接的な投資はもとより、債権及び株式への投資を通じた不動産の取得など他の不動産投資家とは一線を画す多面的なアプローチにより機動的に投資を行うという特徴がある。こうした投資案件の発掘においては、スターアジアグループの持つ金融や不動産マーケットにおける広範なリレーションシップが活用されている。これまでの不動産等への投資実績は、累計で3,220億円(2017年9月末現在)を超える。

スターアジアグループは、不動産関連債権への投資からスタートし、不動産マーケットの状況に応じて実物不動産投資へと軸足を移してきた。現在はスペシャルシチュエーションファンド4の投資活動を行っている。2017年9月末現在での運用資産残高は、物件の鑑定評価額ベースで551億円であり、東京圏への投資比率が高く、またオフィスを中心としつつもアセットタイプが分散している。これらの物件群は、スポンサーサポート契約により同REITが取得を検討できる体制となっており、今後の同REITの外部成長を支える重要な要素と言える。加えて、スターアジアグループは、不動産投資に関連する機能をグループ内に取り込む機能拡充と投資対象アセットクラスの多様化を図っている。機能拡充としては、主として不動産の管理運営機能を内製化すべくスターアジア・アセット・アドバイザーズ(株)を傘下に納め、開発機能を付加するためにスターアジア総合開発(株)をグループ内に迎え入れた。今後はスターアジア・アセット・アドバイザーズ(株)からの物件情報の入手やスターアジア総合開発(株)が手がける開発案件の取得検討などが期待できる。更に、投資対象アセットクラスの多様化を図るべく、スターアジアグループはオペレーショナルアセットへの投資も開始した。前述のGSAグループと協働したHAKUSAN HOUSEの開発への投資が事例として挙げられる。HAKUSAN HOUSEは、文京区白山において開発が進められ2018年2月に竣工した学生専用レジデンスであり、175室/364ベッドという規模となっている。共用のキッチンやダイニング、多目的ルームの設置など共用部を充実させ、またコンシェルジュサービスの提供、居住者向けのイベントの開催など、これまでの日本には見られなかった国際水準の学生専用レジデンスと言える。今後もスターアジアグループとGSAグループが共同出資するGSAスターアジア(株)が中心となり、同様の学生専用レジデンスの提供を継続する予定であり、供給目標としては20,000ベッドとしている。前述の通り、同REITはHAKUSAN HOUSEについて竣工後18ヶ月間の優先交渉権を得ており、同REITへの組入れが期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)

《MW》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均