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3392 デリカフHD

東証S
583円
前日比
-2
-0.34%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.7 1.14 1.72
時価総額 95.5億円
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決算発表予定日

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デリカフHD Research Memo(6):2024年3月期の過去最高業績更新が射程圏内に(1)


■今後の見通し

2. 第4次中期経営計画の進捗状況
2022年3月期からスタートした第4次中期経営計画「Transformation 2024」(2022年3月期~2024年3月期)では、コロナ禍で大きく変化した市場環境において新たな食の生活様式に対応するため、デリカフーズホールディングス<3392>の強み(企業力、研究開発力、販売力、調達力)を生かしながら従前の延長線上にないビジネスモデルを構築する方針を掲げた。基本戦略は「事業ポートフォリオの変革」「青果物流通インフラの構築」「サスティナビリティ経営の推進」である。

(1) 事業ポートフォリオの変革
コロナ禍で主力市場としてきた外食業界の落ち込みをカバーすべく、2021年3月期より事業ポートフォリオの変革に取り組んできた。前述したようにコロナ禍に強い外食や、量販・小売、給食、中食業界での顧客開拓が順調に進んだことで、売上高については2024年3月期の目標値450億円を1年前倒しで達成できる見通しとなっており、一部収益性の低い取引については見直しを進める状況にもなっている。

新規事業となるミールキット事業についても、2024年3月期に売上高22億円強を目指していたが、OEMの販売好調により目標を超過する可能性が高まっている。冷凍野菜事業については、2024年3月期から本格的に量産を開始し、当面の目標として年間数億円規模の売上を目指す。

業界別売上構成比では、外食向け(コロナ禍に強い外食含む)が2020年3月期の82.9%から2024年3月期は63%に低下する一方で、その他業界向けが16.7%から25%に上昇し、新規事業のミールキット及びBtoC事業で12%を占める計画となっていた。2023年3月期第2四半期累計実績で見ると、外食業界向けが65.3%まで回復し、その他業界向けは27.8%、新規事業が7.1%となっている。BtoC事業を除いてはほぼ順調に進んでいるものと思われる。コロナ禍前までは外食業界向けが8割以上を占めていたが、事業ポートフォリオの変革により6割台の水準まで低下し、収益の安定性という点においては向上したものと評価される。

(2) 青果物流通インフラの構築
a) 新工場・物流センターの拡充と新エリアへの進出
同社は2024年3月期までに、新工場または物流センターを3ヶ所開設する計画を立てている。候補地としては、需要増加が見込まれる関東・関西エリアに加えて、直営事業所が空白地帯だった中国エリアに拠点を開設する予定である。

b) 幹線物流網の強化
同社は現在、幹線便として仙台~東京~福岡までのルートを構築しており、野菜の調達・販売機能の強化を図っている。今後はさらに北へのルートを伸ばす予定である。北海道から九州までをネットワーク化することで、資材・商材の共同購買及びフードロスを防ぐ在庫コントロール機能を強化する考えだ。配送の内製化率については2020年3月期の約30%から現状は約35%まで上昇しており、当面は現状の水準を維持することにしている。保有車両台数については2022年3月期末で108台と年々増やしてきたが、2023年3月期はトラックの供給不足から台数も前期並みに留まる見通しとなっており、回転率を高めることで物流量の増加に対応していく考えである。

c) 長期貯蔵システムの開発
天候不順によって青果物が生育不良となり市況価格の上昇がここ数年頻発するなか、同社は青果物を新鮮な状態で長期に貯蔵できるシステムの導入に向け、パートナー企業と共同開発に着手している。従来も大阪、埼玉、愛知に貯蔵センターを配置し、2~3週間程度の貯蔵を行い青果物の市況上昇が予見される際には事前に多く仕入れて、これら貯蔵センターに保管するなど対策はとってきたが、世界的にサプライチェーンリスクが高まっており、輸入品の仕入が長期に滞るリスクも想定して、より長く貯蔵できるシステムを開発し、リスク軽減を図る。技術的にはほぼ目途がついているようで、実用化に向けてコストの低減が課題となっている。

d) イノベーション・DXによる徹底した効率化の推進
AIやRPAの活用による業務の効率化を推進している。オンライン受発注システムの導入に続いて、在庫管理システムの高度化やBIツールの導入などを進める予定だ。新たに導入した受発注ECサイト「DELICA Connect」の利用店舗数は大口取引先を中心に250店舗超となり(2021年は150店舗超)、目標の200店舗をクリアした。また、社内でRPAを積極的に活用するために若手社員を中心にした勉強会を開催しており、社員レベルでのスキルアップも図っている。

(3) サスティナビリティ経営の推進
同社グループでは、青果物流ビジネスを通じてフードロスの低減や農業の支援に取り組み、健康社会を目指すことで持続可能な社会の実現を目指している。また、企業として持続的な成長を実現していくために、源泉となる人財の育成に注力しており、人事制度の見直しやエンゲージメント向上に向けた様々な取り組みを推進している。従業員の定着及び育成のための施策としては、契約社員の部門限定正社員への登用やパート社員の契約社員への登用、若手社員を対象とした飛び級制度※などを導入した。また、外国人雇用を見据えた国際人財室の新設や熟練職員へのインセンティブ制度も導入している。

※主任昇格時期が入社4年目以降だったものを、能力によって2~3年で昇格できるようにした。


そのほかにも、「女性活躍推進プロジェクト」を新たに立ち上げ、女性の働き方や活躍に関する社内アンケートを実施し、様々なキャリアを持つ女性社員が集まり座談会やミーティングを開催するなど、女性視点から職場環境の改善を提言するなどしている。また、2022年4月には個人の幸福と会社の繁栄をつなぐ人財育成環境の構築を目的に「キャリア推進室」を新設した。各階層の研修制度をより一層充実し、次世代リーダーを育成するとともに、全従業員を対象とした「人財」の育成にも取り組んでいる。階層別研修では、業務内容に関わることから人間力形成プログラムまで全160カリキュラムで構成され、1年間を通して研修を実施していく。

また、2021年12月には取締役の指名及び報酬に関連する手続きについて客観性・透明性を確保するため、「指名報酬員会」を新設してガバナンス体制の強化を図っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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