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3392 デリカフHD

東証S
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デリカフHD Research Memo(3):2023年3月期第2四半期の売上高は過去最高を更新、経常利益も黒字転換


■業績動向

1. 2023年3月期第2四半期累計業績の概要
デリカフーズホールディングス<3392>の2023年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比28.2%増の23,227百万円、営業利益で71百万円(前年同期は709百万円の損失)、経常利益で114百万円(同611百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益で108百万円(同768百万円の損失)となり、売上高は第2四半期累計として3期振りに過去最高を更新し、各利益も3期振りの黒字化を達成した。

コロナ禍の影響が続くなかでも事業ポートフォリオの変革に取り組んできた成果により、量販・小売業界向けなど外食業界以外の売上が順調に拡大したほか、外食業界向けについても市場の回復に加えて、主要顧客先での取引シェア拡大が進んだことで、期初会社計画(19,500百万円)を上回る増収となった。

一方、経常利益はコストアップ要因として約7.8億円(電気料金値上げの影響1.1億円、輸入品のコスト増4.5億円、人件費増1.8億円、物流費の増加0.4億円)があったものの、売価の改善交渉に取り組んだ結果、ほぼ同額分を吸収することができ、会社計画(100百万円)を上回る利益を確保した。輸入品のコスト増については円安の影響に加えて、中国委託先工場がロックダウンの影響で稼働停止となり、調達先を代替したことによる一時的なコスト増2.3億円が含まれている。

売上原価率が前年同期の81.9%から76.4%と5.5ポイント低下したが、このうち490百万円は物流子会社のコストを販管費に振り替えた影響によるもので、実質ベースでは3.4ポイントの低下となっている。原価率の改善要因は増収効果と販売ミックスの改善効果による。販管費率は前年同期の22.1%から23.3%と1.2ポイント上昇したが、売上原価からの振り替えの影響を除けば、1.0ポイント低下したことになる。人件費や物流費が増加したものの増収効果で吸収した。また、営業外収支が前年同期比で56百万円悪化したが、主に雇用調整助成金収入の減少によるものとなっている。なお2022年9月末時点の従業員数は前年同期末比41名増加の681名、臨時雇用者数は同195名増加の2,011名といずれも過去最高水準となっている。

(1) 商品別・業態別売上動向
商品別売上高を見ると、カット野菜は前年同期比21.7%増の10,523百万円、ホール野菜は同36.7%増の9,003百万円、その他(ミールキット含む)は同28.2%増の3,700百万円とすべての部門で2ケタ増収となった。カット野菜(加熱野菜含む)は、人手不足と簡便に調理できる利便性の高さを背景に外食業界で利用が広がっているほか、量販・小売業界向けや給食事業者向けでの採用も進んでおり、コロナ禍前の水準を上回った。ホール野菜についてもコロナ禍前の水準近くまで回復しており、伸び率としてはカット野菜を上回った。主要顧客である大手ホールセールクラブ(会員制倉庫型小売)向けの取引量が拡大したことが主因となっている。

また、その他部門のうち、ミールキット事業の売上は前年同期比41.0%増の1,024百万円と想定を上回るペースで拡大した。2021年より開始したミールキットの製造工場(デリカフーズ長崎)の売上が好調だった。自社ブランドである「楽彩」の売上についてはまだ小さいものの、販売ネットワーク(商品受取店舗)は2022年4月の12店舗から10月に146店舗(うち、JR東日本グループのNewdaysで101店舗、キャンプ場を運営する(株)Recampで18拠点、フィットネスクラブ等)に拡大し、スマートフォン公式アプリも2022年8月にリリースするなど、事業拡大に向けた先行投資を推進した。特に、Recamp向けについてはキャンプ場検索・予約サイトの「なっぷ」から施設を予約する際、同時に「キャンプ飯」も予約できる仕組みとなっており、注文数は順調に伸びている。下期以降は認知度向上に向けたプロモーションを実施する予定である。

業界別売上高増減率を同社が開示している売上構成比率から試算すると、主力の外食業界向けは前年同期比46.2%増と急回復した。主要顧客先である大手ファミリーレストランや焼肉、居酒屋チェーンなどで客足が戻り、店舗あたりの売上が回復してきたことに加え、対象エリアが全国に広がるなど顧客先での取引シェアが拡大したことが増収要因となった。顧客先でも仕入コスト低減施策として、2社購買を1社購買にするなどの動きが出てきており、全国規模で高品質かつ安心・安全な物流サービスを展開している同社の強みが生かされた格好だ。

また、コロナ禍に強い外食向けについては前年同期比2.7%増と微増にとどまった。外食する機会が増えたことによりテイクアウトやデリバリーのニーズが伸び悩んだことが影響した。ただ、外食業界全体では同34.6%増と大きく回復したことに変わりはない。量販・小売業界向けは前述した大手ホールセルフクラブ向けが好調で同15.5%増となり、給食事業者向けもコロナ禍以降獲得した新規顧客からの売上が増えたことで同25.7%増となった。一方で、中食向けが同1.4%減、CVS向けが同14.5%減とそれぞれ減少した格好だが、全体の受注量が拡大するなかで採算の低い取引の見直しも同時に進めていることが要因と見られる。

(2) 事業セグメント別業績
青果物事業の売上高は前年同期比28.1%増の22,943百万円、セグメント利益(経常利益)は54百万円(前年同期は667百万円の損失)となった。前述したように外食業界を中心に売上高は大幅増となり、利益についてはコストアップ要因があったものの、売価改善に取り組んだことのほかDX推進による業務効率の向上等に取り組んだこともあり黒字に転換した。

物流事業の売上高は前年同期比15.3%増の1,871百万円となり、セグメント利益は同7百万円増加の9百万円となった。売上高についてはグループ内取引が拡大したことに加え、外部顧客向けについても同37.3%増の235百万円と増収基調が続いた。トラックの空きスペースを利用した受託物流サービス(他社商材の配送)も提供しており、増収要因となった。同社では今後も受託物流サービスを積極的に拡大するため、顧客開拓のための営業人員の増強を進めている。

研究開発・分析事業の売上高は前年同期比1.5%増の50百万円、セグメント損失は2百万円(前年同期は4百万円の利益)となった。売上高は大手企業からの検証試験受託やJAXA補助事業※、コンサルティング事業などが順調に推移したが、人員増に伴う人件費増が利益の圧迫要因となった。

※JAXA補助事業とは、「資源循環社会に向けた自立循環型水耕栽培システム(地産地消型探査技術)」共同研究事業のことで、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、国立研究開発法人産業技術総合研究所、千葉大学、菱熱工業(株)の産官学4機関と連携した共同研究プロジェクトとなる(事業実施期間は2020年11月~2022年10月)。同社グループでは、野菜残渣の提供、残渣分解装置の設置・稼働、野菜残渣や液化堆肥、環境浄化型植物等の評価・分析を行った。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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