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3244 サムティ

東証P
2,675円
前日比
-35
-1.29%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.8 1.25 3.24 6.17
時価総額 1,246億円

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サムティ Research Memo(2):成長と安定のバランスの取れた事業構成(1)


■会社概要

1. 事業概要
サムティ<3244>の事業セグメントは、1) 不動産開発事業、2) 不動産ソリューション事業、3) 海外事業、4) 不動産賃貸事業、5) ホテル賃貸・運営事業、6) 不動産管理事業に分類される。同社では、さらに1)~3)をキャピタルゲインビジネス、4)~6)をインカムゲインビジネスにグルーピングしたうえで、「資産保有型」ビジネスへの転換により、安定収益であるインカムゲインの拡大を目指している。

また、2015年3月にはSRRを設立し、同年6月に東証J-REIT市場に上場させた。同社グループは、SRRへのスポンサーとしての役割(物件供給)とアセットマネジメント業務等を担っている。SRRの現在の資産規模は178物件で1,626億円と着実に成長を続けている(2022年8月2日時点)。また、2021年11月にはホテル特化型REITも設立しており、上場に向けた準備を進めている。

全国の拠点は、大阪本社/大阪営業部(大阪市淀川区)※1のほか、東京本社/東京支店(東京都千代田区)※2、札幌支店(札幌市中央区)、名古屋支店(名古屋市中村区)、広島支店(広島市中区)、福岡支店(福岡市博多区)にあり、地方大都市圏を中心として全国に展開する体制が確立されている。

※1 神戸営業所を有する。
※2 東京支店の配下に東関東オフィス(2022年8月1日開設)、北関東オフィス(同年7月4日開設)を新たに開設し、首都圏は4拠点体制(東京支店、東関東オフィス、北関東オフィス、横浜営業所)となった。


同社グループは、同社及び連結子会社24社、持分法適用関連会社1社※によって構成されるが、土地・建物及び信託受益権を取得・保有・開発するスキームに関連して設立または出資しているSPCや一般社団法人が16社含まれている(2022年5月末時点)。主な連結子会社には、サムティアセットマネジメント(株)(アセットマネジメント等)、サムティホテルマネジメント(株)(ホテル運営等)、サムティプロパティマネジメント(株)(物件管理等)、SAMTY ASIA INVESTMENTS PTE.LTD.(シンガポール子会社)などがある。

※ホテルの再生・開発に強みを持つデベロッパーであるウェルス・マネジメント<3772>(以下、WM)。2021年5月25日付けで、ホテル開発事業等における協業などを目的とした資本業務提携契約を締結し、持分法適用関連会社とした。


2. 各事業の概要
(1) 不動産開発事業
1) 自社ブランド「S-RESIDENCE」(不動産ファンド向け賃貸マンション)の企画開発・販売のほか、2) ホテル・オフィスの企画開発・販売(以下、ホテルその他)も手掛けている。

主軸となる1) 「S-RESIDENCE」は、各エリアのニーズを捉えたコンセプト・意匠により、解放感溢れるエントランスや内廊下等を採用し、高いデザイン性や居住性を有する主に単身者・DINKsをターゲットとするマンションである。SRRに対して優先交渉権を付与しており、基本的にはSRRへの物件供給を中心に据えている。2020年11月期からは「資産保有型」ビジネスへの転換に向けて、開発パイプラインを大幅に拡大する一方、一定期間(3年程度)保有した後に売却する方針としており、「不動産賃貸事業」の拡大にも寄与するものである。もっとも、外資ファンド等を中心とする取得旺盛なマーケットトレンドを踏まえ、開発後の保有を推進するコンセプトを意識しつつも、個別不動産の特性や市場動向を勘案しながら、機動的かつ柔軟に事業を推進していく考えだ。

2) 「ホテルその他」は、自社ブランドホテル「S-PERIA」シリーズの企画開発や外資系ホテルチェーンとの共同事業を通じて、上場準備中であるホテルREITへの物件供給を中心に据えるとともに、「ホテル賃貸・運営事業」の拡大にも寄与するものである。

(2) 不動産ソリューション事業
収益不動産等の取得・再生・販売を行っている。取得した収益不動産に対して、リーシング(賃貸付け)やバリューアップノウハウの活用、設備改修によるグレードアップなどにより、稼働率の向上等を図り、保有期間中の収益確保につなげるとともに、最終的には投資物件としてSRRや不動産ファンド、事業会社等に販売することによる売却益の獲得を目的としている。最近では、竣工前物件を対象として外部から取得する、フォワードコミット案件も増えているようだ。また、SRR向けのウェアハウジング※も行っている。なお、保有期間中の賃料収入は「不動産賃貸事業」に計上される。

※REITに組み入れるための物件取得。


(3) 海外事業
海外における投資及び分譲住宅事業を行っている。2016年にファンドを通じてホーチミンの不動産会社(開発・賃貸事業)へ出資したほか、2020年からはベトナム最大手の不動産デベロッパーであるVINHOMES JOINT STOCK COMPANY(以下、VHM)※1と共同で、ハノイ市西部での分譲住宅事業「THE SAKURAプロジェクト」※2を推進している。

※1 VHMは、2008年に創業したベトナム最大の複合企業Vingroup傘下の中核企業であり、ベトナム国内の不動産会社において、売上、利益、時価総額トップを誇っている。
※2 VinHomes Smart Cityの全58棟中4棟(総戸数3,620戸)の分譲住宅事業に参画したもの。


(4) 不動産賃貸事業
マンション、オフィスビル、商業施設の賃貸を行っている。関西圏及び首都圏のほか、福岡、札幌、名古屋等の政令指定都市を中心とした全国各地に175棟(たな卸資産、固定資産)を有するとともに、マンション、オフィスビル、商業施設等、多様な資産に分散投資を行っている。特に、景気変動の影響を受けにくいマンションの比率が高く、リーシングノウハウを生かすことで年平均95%付近の稼働率で安定推移している。保有不動産の規模はトータルで約1,800億円(簿価)に上るが、最終的に売却を目的とするたな卸資産(販売用不動産)約1,130億円と、自社保有を目的とする固定資産約670億円に分かれる(2022年5月末時点)。

(5) ホテル賃貸・運営事業
自社開発ホテル10棟を含む、合計18棟の賃貸・運営等を行っている(2022年5月末時点)。上場を準備しているホテルREITの資産拡大とともに、収益の積み上げを目指している。

(6) 不動産管理事業
マンション、オフィスビル、商業施設の管理を行っている。具体的には、同社がアセットマネジャーとして不動産の運用及び管理業務等を受託し、手数料収入(アセットマネジメント(AM)フィー)等を獲得するほか、子会社のサムティプロパティマネジメントによって、分譲マンション管理及び建設・リフォームなども行っている。運用資産残高(AUM)は約3,178億円(2022年5月末時点)に上る※。また、管理受託戸数はSRR向けを中心に約20,000戸(同)となっている。

※SRR向けとホテルREIT組成に伴う私募向けの合計値。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《YM》

 提供:フィスコ

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