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3038 神戸物産

東証P
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前日比
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PTS
3,426円
23:59 05/02
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
35.3 6.72 0.67 14.15
時価総額 9,404億円
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神戸物産 Research Memo(5):業務スーパー事業が好調持続、過去最高業績を更新


■神戸物産<3038>の業績動向

2. 事業セグメント別の動向
(1) 業務スーパー事業
業務スーパー事業の売上高は前期比12.8%増の446,908百万円、営業利益は同8.0%増の34,139百万円と過去最高を連続更新した。店舗数の拡大に加えて、既存店向け商品出荷が好調を維持したこと、グループ会社の収益も総じて回復したことが要因だ。

2023年10月期末の「業務スーパー」店舗数は、前期末比41店舗増の1,048店舗と計画を1店舗上回った。期中に12店舗の退店があったものの53店舗を新規出店した。エリア別では引き続き、九州エリアで13店舗増、北海道エリアで7店舗増と伸びが目立ったほか、その他の地域でも万遍なく出店数が増加した。増加ペースは前期の57店舗からやや鈍化したが、建築コストが高騰するなど新規出店が難しい環境のなかでは順調だったと評価される。

「業務スーパー」の既存店向け商品出荷額は前期比7.7%増となった。上期が前年同期比5.6%増だったのに対して下期は同9.4%増と伸びが加速した。2023年4月以降、NB商品の値上げが相次ぎ、節約志向の高まりから「業務スーパー」の客数が増加したほか、顧客当たり平均購入額も上昇したことが主因だ。食品スーパー業界全体の既存店売上高についてはNB商品の値上げにより下期は4%弱の伸びとなったが、「業務スーパー」はNB商品で競合スーパーよりもリーズナブルな価格設定を行ったため、NB商品目当ての新規客が増加したようだ。PB商品よりもNB商品の値上げ率のほうが大きかったこともあり、PB商品の売上比率は前期の34.74%から34.57%と若干低下したが、PB商品の販売も好調だった。

PB商品について、輸入商品では、前期に引き続きインドネシアの伝統的な大豆発酵食品である「テンペ」が好調に推移したほか、コロナ禍の収束に伴い学園祭や各地域の祭りが復活したことで、焼き鳥の鶏もも串の販売も秋口に急増した。国内グループ商品としては前期に牛乳パック入りデザートの新製品として投入した「とろけるキャラメルプリン」のほか各種冷凍食品、新商品として投入したチキンカツ(のり塩味)やチーズチキンカツなども好評だった。

そのほか、新たに関東初となる直営店(横浜いずみ店)を2023年10月にオープンした。同店舗は売り場面積が約450坪と標準店舗(150~220坪)と比較すると大型店舗となり、生鮮食品などの販売も行っている。セルフレジを導入するなど新しい取り組みのテストやSVの教育の場として運営する方針であり、今後FCでも物件があれば大型店舗を展開する事も検討するようだ。

物流費の効率化に向けた取り組みとしては、前期に福岡と四国に3PLセンターを開設したのに続き、2023年10月期は中部エリアにも開設した。特に、福岡に3PLセンターを開設したインパクトが大きかったようだ。従来、九州エリアの店舗には神戸の物流センターから商品を配送していたが、福岡にセンターを開設したことで一定の在庫を保有できるようになり物流効率が改善したほか、商品の品切れによる売上機会ロスも減少した。

(2) 外食・中食事業
外食・中食事業の売上高は前期比49.5%増の10,950百万円、営業利益は512百万円(前期は119百万円の損失)と4期ぶりに黒字転換し、過去最高業績を更新した。「馳走菜」や直営展開している「プレミアムカルビ」の店舗数拡大による増収に加えて、「神戸クック・ワールドビュッフェ」についても行動制限の解除や外国人観光客の増加などにより売上高は回復した。利益面でも「馳走菜」の増益が続いたほか、「プレミアムカルビ」や「神戸クック・ワールドビュッフェ」も事業本部のコストを吸収し、黒字に転換した。

「神戸クック・ワールドビュッフェ」の出店状況は、出店が3店舗、退店0店舗で前期末比3店舗増の14店舗となった。メニューの改廃などによる顧客満足度の向上に取り組み、既存店売上高はコロナ禍前の8割程度の水準まで回復した。地方の店舗についてはまだ回復は鈍いものの、直営店の神戸ハーバーランド店については期の途中から過去最高売上を記録するなど完全に回復している。

焼肉オーダーバイキングの「プレミアムカルビ」は4店舗を出店し、前期末比4店舗増の20店舗となった。食材コストや光熱費が上昇するなか、期間限定フェアの開催や食べ放題プランを2プランから3プランに拡充したことなどが奏功し、売上高は好調を持続した。食べ放題プランでは最上位プランとなるスペシャルコース(税込5,038円)が好評だった。

中食業態である「馳走菜」の出店状況は、出店が29店舗、退店が2店舗(業務スーパーを脱退したFCオーナーの店舗)で、前期末比27店舗増の114店舗となった。原材料価格の高騰が続くなか、一部商品の価格改定やメニューの改廃、調理オペレーションの効率化などに取り組み、価格優位性を維持した。また約40品の新メニューを開発、なかでもデザート類の売上が好調で既存店売上高も伸長し、大幅増収につながった。「業務スーパー」の集客力向上へのシナジーが高く、加盟店の出店意欲も引き続き旺盛な状況となっている。2022年12月には新たにドラッグストア内への出店も開始した。福岡に拠点を置く(株)新生堂薬局が運営する「くすりのハッピー潤野店」で、「馳走菜」オープン前と比べて店舗の客数及び売上高が増加するなど出店効果が確認されたことで、その他の店舗での追加出店の検討も進めている。また、新生堂薬局は新たに業務スーパーのFC加盟も行ったようで、今後「業務スーパー」と「馳走菜」を同時出店する可能性もある。

(3) エコ再生エネルギー事業
エコ再生エネルギー事業の売上高は前期比15.7%増の3,646百万円、営業利益は同38.8%増の938百万円と過去最高業績を更新した。2022年6月に稼働を開始した約18.9MWの太陽光発電所(福島県西白河郡西郷村)が通年で寄与したことが増収増益要因となった。また、2023年10月18日より約30.0MWとグループ最大規模の太陽光発電所(宮城県東松島市)が売電を開始したことにより、2023年10月期末の発電能力は前期末比30.0MW増の87.2MW(太陽光発電所が19ヶ所で約81.0MW、木質バイオマス発電所が1ヶ所で約6.2MW)となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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