【特集】窪田朋一郎氏【上昇加速の東京市場、史上最高値がすぐそこに】 <相場観特集>
窪田朋一郎氏(松井証券 投資メディア部長 シニアマーケットアナリスト)
―目先過熱感も、個別銘柄のテーマ買いの動きに衰え見えず―
13日の東京株式市場では日経平均株価が上げ足を加速、3万7000円大台に乗せた後、1000円超の上昇幅で一気に3万8000円台まで駆け上がる大幅高を演じた。いよいよ1989年の年末につけた史上最高値3万8915円の奪回も視野に入ってきた。このまま日経平均は上昇トレンドを続け、青空圏へと飛翔するのか。ここからの相場展望と物色対象について、個人投資家動向に詳しく先読みにも定評のある松井証券の窪田朋一郎氏に意見を聞いた。
●「早晩史上最高値更新へ、AIと半導体関連が牽引」
窪田朋一郎氏(松井証券 投資メディア部長 シニアマーケットアナリスト)
日経平均の上昇が止まらない状況となっているが、この背景には人工知能(AI)市場の急拡大に伴う半導体を含めた関連銘柄への投資資金流入がある。日経平均の急騰と個人投資家のマインドとはやや隔たりがあり、きょうも日経平均が約1000円の上昇で3万8000円台目前まで一気に水準を切り上げた一方、東証グロース市場指数やスタンダード市場指数の上昇は小幅にとどまっており、手当たり次第に買われているわけではない。プライム市場でみてもTOPIXは日経平均よりは上昇率で大分劣る。
更に言えば日経平均の構成銘柄でみても上昇銘柄の方が多いのは当然としても、パフォーマンスにかなりの差が出ている。日経平均寄与度の高い半導体関連株などハイテクセクターの銘柄が全体相場を押し上げている。つまり、これは AIをテーマとした局地的な物色人気が盛り上がっていることが上げ相場の実態で、業態によっては人気の枠から外れ音無しとなっている銘柄も少なくない。
半導体セクターが牽引する形で全体相場は上値指向が強く、日経平均は3万8915円の史上最高値を更新して一段の上値を目指す公算が大きい。ただ、短期的には過熱感が強いことも事実で、最高値更新後は3月上旬のメジャーSQに向けて、いったん押し目形成場面に移行する可能性が高い。その場合、売り仕掛けを絡めた深押しがあれば3万6000円近辺まで下値を試す可能性はありそうだ。もっとも、大勢上昇波動に変化はなく、SQ通過後に再び切り返す展開が想定される。
個別の物色対象としてマーケットの関心はAIと半導体周辺銘柄に絞られそうだ。引き続き半導体製造装置関連の主力銘柄であるレーザーテック <6920> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]、ディスコ <6146> [東証P]、アドバンテスト <6857> [東証P]、SCREENホールディングス <7735> [東証P]のほか、AI分野への積極投資の姿勢を鮮明化させているソフトバンクグループ <9984> [東証P]は要マークといえる。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券に入社後、WEBサイトの構築や自己売買担当、顧客対応マーケティング業務などを経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。日々のマーケットの解説に加えて、「マザーズ信用評価損益率」や「デイトレ適性ランキング」「アクティビスト追跡ツール」など、これまでにない独自の投資指標を開発。
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