貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

2733 あらた

東証P
3,380円
前日比
+40
+1.20%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
10.9 1.06 2.74 7.41
時価総額 1,219億円
比較される銘柄
ハリマ共和, 
ドウシシャ, 
デンキョーG
決算発表予定日

銘柄ニュース

戻る
 

あらた Research Memo(6):新規カテゴリーの拡充等の成長戦略を実行し、更なる成長を目指す


■今後の見通し

2. 中期経営計画
(1) 中期経営計画の概要
あらた<2733>は2002年に日用・雑貨品の卸商社3社が経営統合して設立された会社だが、この15年間は収益力の向上、業務改革、統合統一を主軸として、次世代型卸商社としての経営基盤の強化に取り組んできた。同社は同期間をファーストステージとして位置付けている。前述したように、2017年3月期までの中期経営計画は当初の目標を上回る成果を上げており、その取り組みは順調に進んでいると言える。

こうした成果を受けて、新中期経営計画では「10年後を見据えて、卸売業の新たな可能性を追求」していくセカンドステージとして位置付け、更なる成長戦略を推進していく方針とした。10年後の目標としては、「企業価値を倍増する」「SCMの中核を担う企業へと成長する」「様々な領域でのNo.1を目指す」ことを掲げている。このうち、企業価値の倍増とは顧客や社員、株主、社会に対して満足度を倍増していくことで、それを遂行していくために経営密度やマネジメント密度を倍増させていく。経営指標としては、売上規模や経常利益率を倍増することを目指している。

(2) 基本戦略
a) 成長戦略を描き続ける
新中期経営計画の基本戦略の1つとして、成長戦略を描き続けることを挙げている。カテゴリー別では、M&Aも活用しながら、既存の各カテゴリーの売上を拡大していくほか、新たなカテゴリー(一般用医薬品等)への進出も計画している。また、企業別では年率2ケタ成長が続くEC市場に対応するためのシステムや物流体制の検討を進めていく。同社のネット関連・越境EC事業者向けの売上高も年々増加傾向をたどっている。同領域を強化することでEC市場の成長を取り込んでいく考えだ。エリア別では、東名阪エリアでのシェア拡大に注力していく方針となっている。また、業態別での取り組みとして、各業態ともに小商圏化が進み、業態間の垣根がなくなりつつあることから、同社では企画提案力を強化し、これら小商圏化への対応を進めていくことで、売上高を伸ばしていく方針となっている。

b) 未来への布石を打つ
当中期経営計画期間において、未来の成長に向けた布石も打っていく。第1に、収益事業の育成が挙げられる。商品開発においては自社ブランド商品である「アドグッド」商品の開発を強化し、売上高を拡大していく計画となっている。売上規模としては2017年3月期実績で約23%増となり、まだ全体に占める比率は小さいが、自社開発商品となるため利益率は高く、同商品の売上高が伸びれば利益率の向上に寄与することになる。また、海外事業の育成にも注力していく。タイでは販売先を日系小売企業だけでなく、現地小売企業へ拡大していく取り組みを進めていく。取扱商材についても現在はDHCの商品のみだが、取扱商材を増やしていくことを考えている。一方、中国ではペット商品を中心に卸販売を行っているが、新たなビジネスを模索している段階にある。海外事業についてはまだ収益化できていないものの、中長期的には成長市場であることから、投資を継続しながら収益化していく計画となっている。

第2に、投資戦略として3年間で100億円の設備投資を計画している。このうち、物流センターとしては鹿児島に2018年春を目途に新物流センターを開設する計画となっている。設備投資額としては約21億円となる。九州には物流センターが福岡県の1ヶ所のみであり、これを2ヶ所に増やすことで自然災害が発生した場合のリスクヘッジの機能を果たすことになる。また、人手不足に対応するため、物流センター内での自動化投資やITを活用することで生産性の向上を進めていく。さらには、人材育成の強化にも取り組んでいく。教育・研修制度を充実させ、中間管理職の育成を進めていくほか、キャリアパス制度など新しい人事制度の導入も検討していく予定となっている。

c) 経営基盤の更なる強化
経営基盤の強化を継続して進めていく。前述したように組織体制をスリム化することで、市場変化にスピーディに対応していく体制を構築していくほか、グループ会社間でのリソースの共有や最適化に取り組んでいく。具体的には、各子会社で独自に行っていた資金管理を一本化し、資金効率をさらに高めていく計画である。また、ペット用品について従来は同社と子会社のジャペル(株)で並行して事業を行ってきたが、中期計画期間内にジャペル(株)に段階的に移管していく方針とした。ジャペル(株)はペット用品だけでなくペット周辺ビジネスへと事業領域を拡大し、ペット関連の総合企業として更なる成長を目指していくことになる。

(3) 経営目標値
中期経営計画の最終年度となる2020年3月期の経営目標値は、連結売上高で7,600億円、経常利益で100億円、ROE9%台とした。今後3年間の平均成長率で見ると、売上高は2.6%増、経常利益は8.4%増となる。弊社では今後、国内の経済環境が悪くならなければ、同数値目標は既存事業での売上拡大や生産性向上施策等によって十分達成可能な水準であり、これにM&A効果等も加われば前倒しで達成できる可能性もあると見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《MW》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均