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2715 エレマテック

東証P
1,895円
前日比
-28
-1.46%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.9 1.12 4.75 11.37
時価総額 802億円
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エレマテック Research Memo(3):商材と顧客の多様性を最終的に業績に落とし込む“5つのサービス・機能”


■会社概要

2. 同社の特長と強み
エレマテック<2715>の特長としてまず挙げられるのは、取引先と商材の多様性だ。同社は国内外に61拠点を擁し、仕入先約6,100社、販売先約7,200社との間で、電子材料や電子部品を中心に取引を行っている。2つ目の特長は、成長市場への柔軟な対応力だ。これら2つの特長が結び付いて、同社の最大の特長とも言える、“業績の安定成長性”や“高い業績安定性”の実現につながっているというのが弊社の理解だ。

しかし、これらの背後には、多数の商材や顧客網を顧客ニーズにマッチングさせることができる機能や仕組みがあるということが何よりも重要だ。

同社が提供しているのは、最適な部材の供給、信用供与・ファイナンス、納期・在庫の管理といったエレクトロニクス商社としてのベーシックなサービス・機能だけではない。加工サービス、調達代行サービスなど、より高度で付加価値の高いサービス・機能も提供している。同社は5つのサービス・機能を掲げているが、こうした機能があるからこそ、多様な商材をビジネスにつなげ、業績に落とし込むことができているということだ。

同社が掲げる5つの機能はそれぞれ重要だが、なかでも同社を特徴付けるものとしては、加工サービス機能や企画開発機能が挙げられる。また、後述する成長戦略との関係では海外ネットワーク機能も重要なポイントと言える。

(1) 加工サービス機能
同社は商社であり、取引先であるメーカーとの競合を避ける姿勢は一貫している。しかしその一方で、顧客(販売先)から加工した形での納品を求められることも多い。そうしたニーズに応えるために同社は、国内1ヶ所と海外(中国)2ヶ所の加工拠点を設けている。

国内では横浜市のエレマテックロジサーブ(株)が電気材料等の加工及び製造や、各種受入検査、環境関連物質測定などのサービスを提供している。また海外では、依摩泰電子(大連)有限公司において電子回路基板への部品実装等を、依摩泰無錫科技有限公司においてプラスチック板へのシルクスクリーン印刷、切削加工、組立て等をそれぞれ行っている。

同社が有する新製品開発情報や最新技術動向などの情報をもとに企画設計されたカスタマイズ品を提供する状況になって初めて同社が付加価値を生みだし、収益性も挙げていくことができる。

同社が目指す“モジュール化”はこのことを指している。モジュール化の推進は、後述する企画開発機能の推進と重なるところが多い。企画開発機能がワークして商談がまとまれば、おのずと同社にモジュール化の取引が発生するという関係だ。

同社のモジュール化ビジネスは、必ずしも自社加工拠点での製造・加工にこだわるものではない。しかし、やはり自社で加工・製造の技術を保有した上で外注することのメリットは大きい。加工サービスで経験・技術を蓄積して、自社加工拠点でのモジュール加工への展開を期待したい。

(2) 企画開発機能
企画開発の業務は顧客のニーズを的確に把握することからスタートする。顧客のエレクトロニクス、メカトロニクス、外装、デザインなど多岐にわたる様々なニーズに対して、同社は国内外約6,100社の仕入先の中から最適な商材を探索し、あるいはニーズに見合う製品を企画(場合によっては製品の試作も)し、顧客に提案していくのがこの業務の基本的な流れだ。

この業務においてはニーズの“把握力”と、ニーズの“実現力”の2つが必要となる。この2つを兼ね備えたライバル企業も決して多くはなく、この機能もまた、他社との差別化要因となっていると考えられる。また、同社の企画・設計に基づく新製品が採用されることは、顧客企業にとって同社がオンリーワンの存在になったことを意味し、顧客との取引関係強化という点で非常に有効だと考えられる。また前述のように、そうした新製品については同社がモジュール化の加工を行って納入することになり、同社としては収益性の高いビジネスとなると期待される。

同社は上記5つの機能をフル活用して付加価値を顧客に提供し、それによって顧客からの信頼を勝ち取り、自己を顧客にとって同社がなくてはならない存在とすることにつなげている。顧客と強固な信頼関係を構築できる背景には、取引先と商材の多種多様さが大きく貢献していると弊社では考えている。ニワトリか卵かのような関係になるが、商材・顧客の多様性と、顧客に付加価値を提供できる組織体制が“正の循環”となっている点が同社の最大の強みだと弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《MH》

 提供:フィスコ

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