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JBR Research Memo(9):24年9月期にサービス契約数5,471千件、営業利益2,500百万円を目指す


■今後の見通し

3. 中期経営計画
(1) 中期経営計画の概要
ジャパンベストレスキューシステム<2453>は2022年9月期から3ヶ年の中期経営計画をスタートしている。経営戦略として、営業・業務の両面で「パートナーシップ戦略」を推進し、営業戦略として既存事業の成長と新規事業の育成を図っていく方針を打ち出している。既存事業については市場環境の変化に機微に対応しながら、提携先の拡大やM&A等も活用することで収益基盤をさらに強固なものとし、持続的な成長を目指していく。また、新規事業についてはM&Aやスタートアップ企業との連携、共同開発等によって創出していくことにしている。

業務戦略については、コールセンター業務や各カンパニーで行っていた業務を、新たに組織化する業務本部に一元化することで、業務品質の向上と効率化を図っていく。また、新ERPシステムの導入による業務の標準化や効率化を推進していくほか、人材育成の強化や施工パートナー等のサービスインフラの拡充も進めていく計画である。新ERPシステムでは、最終的に受注から販売、決済、顧客管理までグループのすべてのシステムを統一することになっており、事業部間連携による重層営業の効果も一段と上がるものと期待される。

管理・財務戦略については、2022年4月の東京証券取引所市場再編に伴うプライム市場への移行に伴い、ガバナンス体制の強化や各種委員会の設置等に取り組んでいく。既に監査等委員会設置会社へ移行したほか、サステナビリティへの取り組みの推進と中長期的な企業価値の向上を目指すため、2022年5月の取締役会でサステナビリティ委員会の設置及びTCFD※提言への賛同表明について決議している。今後、SDGs等の取り組みについても積極的に開示していく予定である。

※TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures):G20 の要請を受け、2015 年に主要国の中央銀行や金融規制当局などが参加する国際機関である金融安定理事会(FSB)によって設立。企業に対して気候変動関連のリスク・機会の評価と財務への影響について開示することを提言している。


(2) 事業戦略
同社では現在の各事業を、収益性の高い成長・成熟事業、育成事業、課題事業の3つに整理し、それぞれの戦略を推進していく。収益性の高い成長・成熟事業は主に、会員事業、保証事業、保険事業となるが、これらは契約件数を積み上げていくことで持続的な成長を図っていく。特に、会員事業においてはアクトコールを子会社化したことにより、集合住宅向け生活トラブル解決サービス市場450万世帯のなかで、約39%のシェア(同社調べ)を握ることとなった。第2位の事業者は約7%のシェアになっていると見られ、残りの大半は不動産管理会社が内製化しているが、不動産管理会社ではコスト削減のためアウトソーシング化する傾向となっており、こうした需要を同社で今後取り込んでいくことも可能と見ている。また、集合住宅市場では残り約1,800万世帯の未開拓市場が残っているほか、今後はパートナーシップ戦略により戸建住宅市場にも本格展開していく予定となっている。これら戦略が順調に進めば成長スピードも加速していくものと予想される。

また、アクトコールに関しては、2021年9月期の営業利益率が3%台と同社の会員事業の利益率23.6%を大きく下回っていたが、グループ化以降は外注費の削減や販売パートナー、施工パートナーとの条件を見直していくことで、10%超の利益率まで改善した。2022年10月1日付で同社が吸収合併することで、各種業務の共通化を図ることで利益率の一段の引き上げが可能になると見ている。

一方、保険事業は事業の性質上、極端に収益性を高めることは困難なため、収益性については若干の向上を図り、保険商品の拡充により売上規模を拡大していく戦略となる。資本業務提携先の伊藤忠商事のほか、レスキュー損害保険の株主でもあるミニミニグループ、日本生命保険などとも共同開発を進めており、これらが将来的に収益に貢献することになる。

新規事業に関しては、新たな提携先開拓に加え、社内外のリソースを活用しながら創出・育成していくことになる。また、課題事業としては、リペア事業と駆けつけ事業を挙げている。このうち、リペア事業については会員事業に統合し、会員サービスの一つとすることで収益化を図っていく。特に、今後市場開拓に注力していく戸建市場において需要があると見ている。一方、減収傾向が続いている駆けつけ事業については前述した通り、事業の継続可否も含めて議論を進めていくことにしている。

(3) 経営数値目標
中期経営計画における数値目標としては、2024年9月期に売上高22,000百万円、営業利益2,500百万円、経常利益2,650百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,800百万円を掲げている。3年間の年平均成長率は売上高で17.8%、営業利益で21.1%となり、2ケタ成長が続く見通しだ。また、営業利益率については2022年9月期にアクトコール等の子会社化で9.6%と一旦、低下する見込みだが、2024年9月期には11.4%まで上昇する計画となっている。

前提となるKPIを見ると、会員事業や保険事業のサービス契約件数は年率11.6%の成長で2024年9月期に5,471千件を目指す。この目標値には新規事業や提携先拡大による効果をほとんど見込んでいないため、達成する可能性は高いと弊社では見ている。また、従業員数は新ERPシステムの導入と組織体制の見直しによる業務効率向上によって、増員を抑えていく方針となっており、1人当たり生産性の向上が営業利益率上昇に寄与することになる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《ST》

 提供:フィスコ

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