ケアネット Research Memo(3):主力の医薬営業支援サービスの好調で2016年12月期は2ケタ増収増益に
■業績動向
1. 2016年12月期の業績概要
ケアネット<2150>の2016年12月期の連結業績は、売上高が前期比14.9%増の2,196百万円、営業利益が同26.7%増の194百万円、経常利益が同34.6%増の197百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同19.9%増の158百万円と2ケタ増収増益となり、期初会社計画に対しても親会社株主に帰属する当期純利益を除いてすべての項目で上回って着地した。前期は主力顧客の広告自粛の影響で業績が低迷したが、当期は当該顧客の売上高が回復したほか、その他顧客からの引き合いも活発化したことが好業績の要因となった。新規事業の立ち上げ費用などもあって、売上総利益率は前期の62.6%から61.6%に低下したものの、販管費の抑制に努めたことで、営業利益率は8.0%から8.8%に上昇した。
セグメント別の業績を見ると、医薬営業支援サービスは売上高が前期比17.0%増の1,819百万円、営業利益は同20.2%増の669百万円となった。販売体制強化等の取組みを推進したことで、既存顧客からの受注案件数が増加したことが主因となっている。
また、2016年7月にオープンした臨床医学動画メディア「MEDuLiTe」を活用したサービスも順調な立ち上がりを見せている。同サービスは、オンコロジー分野を中心としたスペシャリティ医薬品の販売承認前における製薬企業の活動を支援するサービスとして位置付けられる。ターゲットとなる医師に「新たに発売する医薬品に関連する疾患領域を印象付け、期待感を醸成し、処方に向けての準備をしてほしい」という製薬企業のニーズに対して、教育用動画コンテンツを配信することで実現していくサービスとなる。販売承認前の薬剤情報の提供は禁止されているため、MRによる医師へのコンタクトは難しい。こうしたなか、新薬の販売を承認後にスムーズに進めていくためには、担当医師に対して事前に啓蒙活動を進めていくことが、専門性の高いスペシャリティ医薬品では特に重要となってくる。欧米市場では既に普及しているサービスであり、今後、新薬の大半がスペシャリティ医薬品となる日本でも、普及していくことが予想されている。
同社では米国で同様のサービスを展開しているWebMDと業務提携しており、既に海外で配信しているコンテンツを日本向けに編集して配信しているほか、自社でも顧客企業からの依頼を受け、コンテンツを制作し配信を行っている。まだ売上規模は小さいものの顧客企業からは高い評価を得ており、今後の成長が期待される。
一方、医療コンテンツサービスは売上高が前期比5.6%増の376百万円、営業利益は同10.6%増の113百万円となった。医師向け教育コンテンツ「ケアネットDVD」及び「その他」の売上高が前期比3.7%減の176百万円と減少したが、医療教育動画サービス「CareNeTV」の売上高が会員数の増加によって同15.3%増の200百万円と好調に推移したことが増収増益要因となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《TN》
提供:フィスコ