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1518 三井松島HD

東証P
3,440円
前日比
+265
+8.35%
PTS
3,419円
23:20 05/02
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
2.9 0.63 2.91 32.21
時価総額 449億円
比較される銘柄
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決算発表予定日

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三井松島HD Research Memo(4):生活関連事業とエネルギー事業を展開(2)


■三井松島ホールディングス<1518>の事業内容

(4) 事務機器用品
a)明光商会
2019年4月に株式取得した明光商会が、シュレッダーを中心とする事務用設備の製造・販売・保守を行っている。1960年に日本初のシュレッダー製造販売を開始して以来、独自の技術・ノウハウを蓄積し、シュレッダーのリーディングカンパニーとしての地位を確立している。国内オフィス用シュレッダーの市場シェアは約75%(同社調べ)と圧倒的である。代表的な製品としては、用途に応じたラインナップが豊富な「MSシュレッダー」のほか、WEB機能により3密対策を実現した受付自動案内システム「MSボイスコールNEO」、対面の会話で発生する飛沫を吸収し紫外線照射でウイルスを抑制する「AIRVIO/AIRVIO+」などがある。また、営業・サービス拠点が日本全国をカバーしていることも強みとなっている。

総務省「令和2年版情報通信白書」によると、日本企業がパーソナルデータの収集に当たって最も重視する点として「収集するデータのセキュリティの確保」と回答する割合が高まっている(2017年の15.7%に対して2020年は28.7%)ことからも、情報セキュリティに対する意識が高まっていることがうかがえる。明光商会のシュレッダーには、細断サイズが10mm2以下と世界最小の商品もあり、昨今のセキュリティ対策に対応できていると言える。

b)MOS
2023年2月に株式取得したMOSが、レジスター機用レシートとして使用するレジスター・POSロール紙、食券や各種入場券等に使用する券売機ロール紙、来客順に対応するための番号札の用途で使用する順番待ち受付番号用ロール紙など、各種サーマルロール紙を取り扱っている。サーマルロール(感熱紙)とは、熱を感知することで変色し、インク不要のため維持費が安く、レシートをはじめとする様々な用途に使用されている記録紙である。1962年創業の同社は特に、感熱レジロールの加工販売において高い市場シェアを有している。経済産業省が2023年4月に公表した調査結果によると、キャッシュレス決済の比率は、2010年の13.2%から2022年には36.0%になっている。その中でもクレジットカードが30.4%と多くの割合を占めている状況である。政府が2025年までにキャッシュレス決済比率を4割程度にするという目標を掲げているため今後も増加することが予想される。クレジットカード決済の際に発行されるレシートは利用者用、カード会社用、店舗用の合計3枚と現金決済に比べて多く、今後も同社の感熱レジロールに対するニーズは堅調に推移することが予想される。

(5) ペット
2020年4月に株式取得したケイエムテイが、予防医学に基づいた高品質プレミアムペットフードの企画・販売を行っている。ヒューマングレードの原材料を使用し、添加物・着色料・副産物不使用などペットの健康に配慮した商品を展開している。全国のペットブリーダーや動物病院からも高い支持を得ており、高品質な健康プレミアムペットフード市場において強いブランド力と高いシェアを有している。

市場環境については、2人以上世帯のペットフードへの支出額がコロナ禍の2021年でも7,787円と前年比微減(375円減)でとどまり、2022年には増加傾向に回帰していること、ホームセンターにおけるペット・ペット用品の販売額は2022年に前期比マイナスとなったものの、底堅く推移すると弊社では見ている。

(6) 住宅関連部材
2021年2月に株式取得したシステックキョーワは、ドアストッパーや耐震ラッチ等の住宅関連部材の企画・製造・販売を行っている。タイに自社工場を保有していることから、企画から金型、成形、組立まで一貫してグループ内で生産を行うことができ、業界内で高いシェアを誇る。また、大手住宅・建材メーカーと直接取引により強固な関係を構築しており、商品の共同開発や特許の共同出願も行っている。

市場環境については、2022年の住宅着工件数※は859,529戸と、コロナ禍前の2019年(905,123戸)の水準には戻っていないものの、回復基調であることから、将来的には底堅く推移すると弊社では見ている。

※出所:国土交通省「建築着工統計(年計)」。


(7) 電力関連資材
2022年5月に株式取得した日本カタンが、鉄塔と送電線を連結する送電線用架線金具を取り扱っている。

国内で架線金具の構成部品すべてを製造できるメーカーは2社のみとなっており、日本カタンは国内高圧送電線用架線金具市場でトップシェアを誇る専門メーカーである。顧客である電力会社の製品規格に対応できる技術力を有し、他社が強固な顧客基盤を構築するには相応の時間を要するため、今後も高いシェアが継続すると見込まれる。また、政府は再生可能エネルギー普及のため次世代送電網整備計画の策定を検討しており、送電設備の工事需要の高まりも期待される。

2. エネルギー事業
同事業は、祖業の石炭関連事業に該当する石炭生産分野及び石炭販売分野と、2012年に開始した再生可能エネルギー分野からなる。各分野の売上構成比(2023年3月期)は石炭生産分野98.8%、石炭販売分野0.5%、再生可能エネルギー分野0.7%と、石炭生産分野が大半を占める。

(1) 石炭生産分野
MITSUI MATSUSHIMA AUSTRALIA PTY.LTD.が、Glencoreとジョイント・ベンチャーとして豪州NSW州リデル炭鉱の操業を行っており、出資比率(32.5%)に応じた炭鉱権益を得ている。高品質の一般炭(全体の約90%)及び原料炭が生産されており、主に日本向けに出荷している。

なお豪州リデル炭鉱については、州政府から許認可を得ている採掘エリアが2024年3月期中に終掘予定となっている。そのため隣接地域への鉱区延長に係る環境許認可の申請を行ったが2022年10月に現地当局より否決された。これにより、石炭生産は2024年3月期をもって終了する見通しである。

(2) 石炭販売分野
2018年10月の純粋持株会社移行に伴い新設分割された分野で、三井松島産業(株)が日本国内の電力会社や鉄鋼会社へ石炭を販売している。取扱数量に応じたコミッション(口銭)を収益としていることから、石炭価格の変動による利益の影響は限定的である。なお、豪州リデル炭鉱が2024年3月期中に終掘の予定となっていることを受け、同事業に関しても2024年3月期をもって終了する見通しである。

(3) 再生可能エネルギー分野
MMエナジー(株)が、福岡県福津市内にある同社所有地を利用して6MWの太陽光発電所「メガソーラーつやざき発電所」を運営している。年間発電量は、一般家庭約2,000世帯分の年間消費電力に相当する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《SI》

 提供:フィスコ

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