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4270 BeeX

東証G
2,842円
前日比
-42
-1.46%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.5 2.67
時価総額 63.2億円
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BeeX Research Memo(8):事業環境は良好。契約先拡大と高付加価値サービス拡充を推進


■BeeX<4270>の成長戦略

1. 事業環境
DX・クラウド関連市場は基幹システムのクラウド化・モダナイズ化需要の高まりなど、中長期的には拡大基調が予想される。さらに同社にとって特に追い風となるのは、SAPの現在の主力製品であるオンプレミス型「SAP ERP 6.0」及び同製品を同梱した「SAP Business Suite」の標準サポートが2027年、延長サポートが2030年に終了することである。このため、これらの製品を利用しているユーザーはクラウド化や、SAPの次世代ERP製品である「S/4HANA」への移行を迫られる。また「S/4HANA」については毎年新バージョンがリリースされ、5~7年サイクルでアップグレードが必要となるため、継続的なアップグレード需要が発生する。同社が強みとしているSAPシステムのクラウド化移行需要が今後本格化する見込みであり、SAPを含めた大規模システムのクラウド移行需要によってクラウドインテグレーションの売上拡大が期待されるだけでなく、その後のストック型収益となるクラウドライセンスリセールとMSPの売上拡大につながることも期待される。このように、同社にとって事業環境は良好と考えられる。

2. 契約先拡大と高付加価値サービス拡充を推進
同社は中期経営計画を公表していないが、成長戦略として認知度向上、販路開拓、クロスセル・アップセル戦略などによって既存サービスの契約先拡大を推進するとともに、DXを実現するプラットフォーム構築やアプリケーション開発など高付加価値な新サービスの拡充、クラウドライセンスリセール及びMSPにおける新サービスの拡充などに取り組むことで、収益の継続的な拡大を図る方針だ。

SAPシステムについては、既述のとおりクラウド化への移行需要が今後本格化する見込みであり、クラウド化・S/4HANA化支援体制を強化する。DXを実現するプラットフォーム構築やアプリケーション開発では、DXを実現するうえで重要となるデータ分析・連携基盤の構築や、生成AIも活用したモダンアプリケーション開発を強化する。データ連携基盤構築の導入事例としてはロッテがある。基幹業務システムと販売計画をつなぐデータ連携基盤構築を通じて、エンジニアの育成・アプリケーション開発の内製化を支援した。

クラウドライセンスリセール及びMSPの分野では、マルチクラウド対応マネージドサービス「BeeXPlus」において、DXを推進するための3つのカテゴリー(オブザーバビリティ、セキュリティ、自動化)のサービスを拡大するなど、新たな機能・サービスの追加を推進している。

セキュリティ関連サービスでは、2023年5月にクラウドセキュリティ分野のリーディングカンパニーである米国Okta,Inc.とパートナー契約を締結し、従業員向けアイデンティティ管理ソリューション「Okta Workforce Identity Cloud」と、顧客向けアイデンティティ管理ソリューション「Okta Customer Identity Cloud」の導入支援サービスを開始した。

オブザーバビリティ分野では、これまでのサービスはシステムが問題なく動いているかを監視するモニタリングに留まっていたが、今後はサービスが継続的に提供できているかを監視するとともに、異常が発生した場合にその原因を知ることができる状態(オブザーバビリティがある状態)が求められるため、2023年8月にオブザーバビリティ分野のリーディングカンパニーである米国New Relicとパートナー契約を締結し、SAPオブザーバビリティサービスの提供を開始した。

また企業のクラウド移行やDX推進を支援する新サービスとして、2024年4月には企業が生成AIを安全かつ効率的に利用できる「生成AI環境構築支援サービス」を開始した。Azure OpenAI Serviceを基盤として、情報収集の迅速化と業務効率の大幅な向上を支援する。2024年6月には「AWSクラウド伴走支援サービス」を開始した。3つのサービス(継続的改善サービス、FinOps実践支援サービス、内製化支援コンサルティング)で構成され、エンタープライズ企業のクラウド移行後のシステム改善、開発・運用の内製化、及びDXの推進を包括的に支援し、企業のクラウド活用及びDX促進に貢献する。

3. 株主還元策
株主還元策については、業績や事業環境などを総合的に勘案し、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施することを基本方針としているが、現在は成長過程にあり、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先することが株主への最大の利益還元につながるものと判断し、創業以来、配当を実施していない。そして今後の配当実施の可能性及びその時期等については未定としている。

4. サステナビリティ経営
サステナビリティ経営については、現時点では具体的なマテリアリティを設定していないものの、先進テクノロジーの活用・実装を通じてサステナブルな社会の実現に貢献することを目指し、経営会議のメンバーで構成されるサステナビリティ推進会議を設置している。そして人的資本投資を重要課題と認識し、積極的な人材採用、成長機会の提供、人事・評価・報酬制度の充実、健康経営など人的資本への投資と育成を推進する方針だ。


高成長を評価

5. 弊社の視点
同社は2016年3月の会社設立以来、2024年2月期までの8期で売上高77億円規模、営業利益・経常利益6億円規模にまで成長するとともに、APNにおける最上位レベルの「AWS プレミアティアサービスパートナー」認定を取得した。事業環境が良好であること、テラスカイのAWS事業を承継したことなどを考慮しても、この高成長の継続は、同社のクラウドテクノロジーに特化したプロフェッショナル集団としての強みが発揮されている証と考えられ、弊社では高く評価している。今後の課題としては、人材採用・育成など需要増加に対応するための体制構築、高付加価値サービス拡充等による利益率向上などが挙げられるが、収益拡大に向けてM&A・アライアンスも検討する方針を示しており、高成長を継続するための経営戦略の進展状況に注目したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《HN》

 提供:フィスコ

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