ASMLショックも売り一巡後はこう着【クロージング】
16日の日経平均は5営業日ぶりに大幅反落。730.25円安の39180.30円(出来高概算16億1000万株)で取引を終えた。前日の米国市場で半導体関連株を中心に売られた流れを受け、ハイテク株を中心に売りが先行した。日経平均は寄り付きを高値に下げ幅を広げ、取引開始後ほどなくして39062.85円まで水準を切り下げた。ただ、心理的な節目である39000円を割り込まなかったことから自律反発を狙った買いも散見され、売り一巡後は下げ渋りを見せた。
東証プライムの騰落銘柄は、値下がり銘柄数が1200を超え、全体の7割超を占めた。セクター別では、保険、建設、電気ガス、不動産の4業種が上昇。一方、精密機器、電気機器、化学、機械など29業種が下落した。指数インパクトの大きいところでは、ファーストリテ<9983>、フジクラ<5803>、ZOZO<3092>、大林組<1802>がしっかりだった半面、東エレク<8035>、ソフトバンクG<9984>、レーザーテック<6920>が軟調だった。
米国市場では、オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングが2025年通期の業績予想を下方修正したことを受け、エヌビディアなど他の半導体関連株に売りが広がった。東京市場でも東エレクが売り気配から始まるなど、指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均を押し下げる形になり、日経平均の下げ幅は一時800円を超えた。また、安達日銀審議委員が講演で「金融政策が正常化プロセスに入る条件はすでに満たしている」と述べたことを背景に、円安が一服したことも投資家心理を圧迫させたようだ。
日経平均は大幅に反落したが、前日に一時4万円の大台を回復するなど、反動安と受け止める向きが多く、当然の調整と言えるだろう。また、ASMLの業績下方修正を受けて、半導体関連企業全般が不振に陥るとみるのは早計との声も聞かれる。日経平均は寄り付き直後につけた価格レンジ内で推移しており、大幅な下落とはなったが、寄り付き後は狭いレンジでの膠着だった。仕掛け的な売買も手控えられており、冷静に押し目を拾うスタンスになりそうだ。今後は決算発表が本格化してくることもあり、業績を手掛かりとした個別対応になろう。
《CS》
提供:フィスコ