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10月IPOスタート、「東京メトロ」を中心に秋相場を舞い上がるか <株探トップ特集>


―11社が新規登場、秋の日米政局相場を横目に独自の値動きに期待感も―

 10月突入とともに“秋のIPOシーズン”が本格的にスタートする。例年10月はその年の目玉となる新規上場企業が登場することが多く、IPO市場が熱気を帯びることが少なくない。今年もかねてから上場が噂されていた東京地下鉄 <9023> [東証P]がついに登場する。今月下旬に実施見込みの衆院選や来月上旬の米大統領選を控え、株式市場は様子見姿勢が強まる展開も予想されるなか、 IPO市場は独自人気に沸く展開が期待される。

●プライム市場に3社が上場、資金吸収額が大きい銘柄も

 10月IPOの第1号銘柄となったシマダヤ <250A> [東証S]が、きょう東証スタンダード市場に上場した。同社は麺類を幅広く手掛け、ゆでずに食べられる「流水麺」シリーズなどで知られる。メルコホールディングス <6676> [東証S]からの「スピンオフ」IPOだったが、初値は公開価格を6%下回った。10月はシマダヤを含めて11社が新規上場を果たす。その内訳は東証プライム市場に3社、同スタンダード市場に2社、同グロース市場に4社、名証ネクスト市場に1社、札証アンビシャス市場に1社というものだ。昨年10月に比べ1社の減少となる。全体的に、資金吸収額が大きい銘柄も目立つ。

 直近のIPO市場の動向をみてみると9月は7社が新規上場し、そのうち3社の初値は公開価格を下回った。ノンデスクワーカー向け転職プラットフォームを手掛けるROXX <241A> [東証G]は上場時の資金吸収額がやや大きく公開価格を下回ったが、「らぁ麺 はやし田」を運営するINGS <245A> [東証G]やデジタルトランスフォーメーション(DX)支援のグロースエクスパートナーズ <244A> [東証G]などは堅調なスタートを切った。

●東京メトロは高配当利回りや株主優待などで高い関心

 そんななか、10月のIPOシーズンに本格突入する。10月はその年の最も話題性のある企業が登場することが多く目が離せない。今年は10月下旬から11月上旬にかけ日本では衆院選が見込まれ、米国では大統領選がある。「不透明感から積極的な売買は仕掛けにくいだけに、新鮮味があり独自の値動きが期待できるIPO銘柄に関心が向かうことも期待される」(市場関係者)という。

 その10月IPOの目玉となるのが、23日にプライム市場に直接上場する東京メトロだ。国(財務大臣)と東京都が全体の50%の株式を売り出す。資金吸収額は3200億円前後、時価総額は約6400億円が見込まれており、2018年に上場したソフトバンク <9434> [東証P]以来の大型IPOとなる見込みだ。

 東京都区部を中心に9路線からなる地下鉄ネットワークを保有。コロナ禍を経て業績は回復基調を強めており、25年3月期の売上高営業利益率は約22%と高収益が予想されている。連結配当性向40%以上を掲げ、今期は前期比8円増の40円を計画。想定売出価格(1100円)から弾いた配当利回りは3.6%と高い。所有株数に応じて全線きっぷなどを発行する株主優待も注目されている。「高い収益率と配当利回りを兼ね備えた公益株」(市場関係者)と評価する声は少なくない。初値が飛ぶ展開は期待しにくいが、配当利回り重視の長期投資に向く銘柄として関心を集めている。

●インターメスティックは低価格アイウェア市場を開拓

 25日にプライム市場に上場するリガク・ホールディングス <268A> [東証P]の資金吸収額も1260億円程度と大きい。同社はX線技術などを用いた理科学機器の製造・販売を手掛ける。新株発行はなく売り出しのみで時価総額は2700億円前後。大株主で株式を売り出すAtom Investmentはカーライル<CSL>グループがその全株式を保有しており、今回のIPOは同グループによるエグジット(出口)の色彩が濃い。

 18日にプライム市場に上場するインターメスティック <262A> [東証P]の資金吸収額は180億円、時価総額は450億円前後の見込み。同社は「Zoff(ゾフ)」ブランドでメガネのSPA(製造小売業)を展開。強い商品開発力などを背景に、全世代向けロープライスアイウェア市場を開拓している。メジャーリーガーのラーズ・ヌートバー選手を起用したテレビコマーシャルでも知られている。足もとの業績は拡大基調にある。

●オルツ、Hmcomm、SapeetなどAI関連銘柄に関心も

 また、11日にはオルツ <260A> [東証G]が登場する。同社は、人工知能(AI)開発を手掛けており、メイン商品である「AI GIJIROKU」では、社内外で交わされる商談や会議の全データをテキストデータとして書き起こし、保管しそのデータを基に社内外のコミュニケーションをとることができる。業績は赤字基調で、資金吸収額は50億円強の見込み。16~22日のいずれかの日に日水コン <261A> [東証S]が上場する。同社は上下水道を中心とした水に関する建設コンサルティングを行っている。新株発行はなく売り出しのみでエグジット色が強い。資金吸収額は80億円強の見込み。

 22~28日のいずれかの日にSchoo <264A> [東証G]が上場する。同社は個人・法人向けオンライン動画学習サービスの提供を行っている。大企業社員のリスキリング(学び直し)需要などに対応している。業績は24年9月期に黒字転換し、今期大幅増益の予想。資金吸収額は30億円強の見込み。

 28日にはHmcomm <265A> [東証G]が登場する。「音」に着目したAIに関する研究開発から製品提供までを行っている。Web会議での議事録作成や、AIによる異音検知などを展開している。資金吸収額は9億円前後。29日にはSapeet <269A> [東証G]が上場する。同社はExpert AIを使ったAIプロダクト及びAIソリューションの提供を行っている。資金吸収額は5億円程度の見込みと小型だ。


■10月IPO一覧
     上場市場
上場日  ・コード  社名           主幹事
  1日  東S・250A シマダヤ         大和
  8日  名N・259A ケイ・ウノ        岡三
 11日  東G・260A オルツ          大和
 16~22日
     東S・261A 日水コン         野村
 18日  東P・262A インターメスティック   SMBC日興
 21日  札A・7118 伸和ホールディングス   アイザワ
 22~28日
     東G・264A Schoo        野村
 23日  東P・9023 東京地下鉄        野村
 25日  東P・268A リガク・ホールディングス 野村、三菱UFJ
 28日  東G・265A Hmcomm       SMBC日興
 29日  東G・269A Sapeet       SMBC日興

(注)東Pは東証プライム、東Sは東証スタンダード、東Gは東証グロース
   名Nは名証ネクスト、札Aは札証アンビシャス

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