電算システムHD Research Memo(11):ESGの領域ごとの取り組みを今後さらに充実させる方針
■サステナビリティの取り組み
電算システムホールディングス<4072>は、「サステナビリティで新たなイノベーションを起こします」という方針を大テーマとして掲げるとともに、「社会の課題から新しい価値を創造します。(ワクワクする未来)」「多くの絆を大切にし、オープンイノベーションを促進します。」という2つの副題を設定している。「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」の3領域における取り組みは以下のとおり。
(1) Environment(環境)の領域
地球温暖化対策と環境保全対策として以下を実施している。
・CO2排出量の削減
社内でのエネルギー消費量削減など、日頃より環境を意識した取り組みを行っている。同社のデータセンターにおいては、使用電力100%をCO2フリー電力(再生可能エネルギー由来の電力)に切り替え、これに伴うCO2排出量削減効果は年間約387トンに相当する。今後も持続可能な社会実現に向けて、省エネルギーなど環境負荷を低減する取り組みを継続する方針である。
・働き方改革
残業時間の削減、効率的な業務の推進など、働き方の見直しによって環境負荷の削減を進めている。毎月開催するコンプライアンス委員会において労働時間の状況について社内幹部間で共有のうえ、各事業部で時間外労働削減に向けた課題や対策を検討し、具体的な取り組みを実施している。また、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入により業務が効率化され、作業時間が従来から大幅に縮減した。
・ペーパーレスの取り組み
オフィスの紙使用量削減に積極的に取り組んでいる。例えば、役員会では議題資料はペーパー資料ではなく、タブレットやノートパソコンでの確認としている。日常の社内会議においてもなるべく紙を使用しない取り組みを進めている。
(2) Social(社会)の領域
・人的資本
同社グループは、「ワクワクしながら行動や挑戦をする姿勢が、未来を共に創る」という考えのもと、人財育成方針及び社内環境整備を定めている。特に人財については、顧客に対して価値を提供し、信頼を直に得られるような人財の育成を追求している。具体的には、従来の集合研修をはじめ、オンライン研修やeラーニング研修などの導入に留まらず、リスキリング、DX人財の育成など幅広く行っている。また、部門や組織を横断したワーキンググループが開催されていることも特徴の1つで、2024年3月期には110回以上、1,320名以上が参加した。
・ダイバーシティ推進
有給休暇の取得促進はもちろんのこと、女性のみならず男性の育児休業の取得も促進している。多様な人財が力を発揮できるよう、働き方についても多様性を持たせている(時短勤務、フレックスタイム制、テレワーク勤務等)。採用段階では「新卒及び中途採用者の女性比率を45%以上」、管理職については「課長代理級の女性比率を2割以上」という目標を掲げ、多様性を確保した組織づくりに努めている。また、障がい者雇用促進という点では、障がい者が同社グループの福利厚生専門スタッフとして農園で野菜などを栽培している。収穫された野菜は社内で配布され、社員の健康づくりに役立っており、グループ全体の活力にもつながっている。
・社会(地域)貢献
岐阜市を代表する祭りの1つである岐阜まつり協賛 道三まつりへの参加のほか、株主優待として岐阜県内の特産品を贈呈している。地元企業を含めた地域を盛り上げるとともに、岐阜の魅力を全国の人々に知ってもらう一助となっている。そのほか、自然災害による被災者と被災地への支援や寄付、全国選抜小学生プログラミング大会岐阜県大会への協賛や、日本プロサッカーリーグ所属のFC岐阜のオフィシャルスポンサーを務めるなどの社会貢献も行っている。
(3) Governance(ガバナンス)の領域
同社のコーポレート・ガバナンスに関する取り組みの基本的な考えは、企業価値の継続的な増大・最大化を目指して、経営執行の透明性の確保と経営の健全性を担保できるよう、経営体制及び内部統制システムを整備し、必要な施策を実施していくことである。近年重要度が増しているコンプライアンスの面については、「役職員行動規範」及び「法令遵守(コンプライアンス)規程」を制定し、法令遵守の姿勢を明確にしている。そのほか、情報セキュリティ、個人情報保護についても各種法令等遵守に努めている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
《HN》
提供:フィスコ