rakumo Research Memo(3):Google・Salesforceのグループウェアを機能拡張
■事業概要
1. 事業概要
rakumo<4060>はITビジネスソリューション事業の単一セグメントで構成される。なかでもサブスクリプション型のビジネスモデルであり、継続成長率の高いSaaSサービスが2024年12月期第2四半期売上高の95.4%を占める主力サービスである。Google及びSalesforceとのパートナーシップを有しており、両社のクラウド上で「Google Workspace版rakumo」「Salesforce版rakumo」を提供している。クライアントはベンチャー企業から大企業まで業種、規模を問わず展開、2024年6月末時点での利用クライアント社数は2,468社へ着実に増加している。
Google Workspace版「rakumo」ではGoogleが提供するグループウェア「Google Workspace」と連携し、機能拡張したアドオンツールとして提供している。もともとGoogle Workspaceが一般ユーザー向けに提供が開始されたこともあり、「rakumo」は企業がGoogle Workspaceを利用する際に不足する機能の補完、より使いやすい画面の設計、より便利に利用できる機能を持っている。具体的には、共有スケジューラー「rakumoカレンダー」、共有アドレス帳「rakumoコンタクト」、電子稟議システム「rakumoワークフロー」、電子掲示板「rakumoボード」、経費精算システム「rakumoケイヒ」、勤怠管理システム「rakumoキンタイ」の6つのサービスに分類される。同様にSalesforce版「rakumo」では共有カレンダー「rakumoソーシャルスケジューラー」とカレンダー同期サービス「rakumo Sync」を提供している。
また、「rakumo」のサービス価格はプロダクトごとに細分化されており、「rakumoカレンダー」では1つのIDにつき月額150円(税抜き、以下同)、「rakumoコンタクト」は同100円、「rakumoワークフロー」は同300円、「rakumoボード」は同200円、「rakumoケイヒ」は同300円、「rakumoキンタイ」は同300円となっている。また、複数のプロダクトをまとめて購入するパッケージプロダクトも取り揃えており、「rakumoカレンダー」「rakumoコンタクト」「rakumoワークフロー」「rakumoボード」の4つの機能が利用できる「rakumo Basicパック」は同490円となっている。同様に全機能が利用できる「rakumo Suiteパック」も揃えている。昨今はSaaSサービスを手掛ける事業者においても値上げを実施する企業が増えているが、同社も2024年4月1日より一部製品の利用料金改定を発表しており、新規契約に関して4月1日以降は全て新料金体系へ、既存契約については2024年4月1日以降に契約更新のタイミングを迎えたものから順次新料金体系へ切り替わる。今回利用料金改定を実施するのは「rakumoカレンダー」「rakumoコンタクト」「rakumoボード」の3つの基本製品に加え、それらを含む「rakumo Basicパック」「rakumo Suiteパック」のパッケージプロダクト2つの合計5製品となる。
2. 「rakumo」サービスの特徴
同社の「rakumo」事業における大きな土台部分にGoogle及びSalesforceとのパートナーシップがあり、2社と良好な関係を築くと同時に、彼らの仕様に合わせた製品開発及びメンテナンスが重要となる。ただ同社の既存のサービスラインナップはカバー範囲や顧客数が一定規模に達しており、これが参入障壁となっている。同社が提供するGoogle向けSaaSサービスはGoogle Workspace上で提供される業務支援ツールで、カレンダーや経費精算などプロダクトのカバー範囲も広く、多種多様な顧客のニーズに対応することが可能となっている。また、製品間のシステム連携ができるため、顧客は重複入力や重複対応がなくなり、効率性の向上や作業ミスの低減につなげることができる。企業にとっては、多くの独立したデジタルツールが運用されるとツール間の互換性に乏しい場合が多く、Google Workspace及び「rakumo」を導入することで、デジタルツール使用料のコストダウンの実現や社員が業務を円滑かつセキュアな環境で実施することが可能となるため、導入によるメリットは大きい。
3. ビジネスモデル
主要サービスである「rakumo」の収益構造は、サービス料金を顧客企業の使用期間及びユーザー数に応じて定期定額契約(サブスクリプション)として課金することで、継続的な収益(リカーリングレベニュー)を得ることができる「サブスクリプション型リカーリングレベニューモデル」である。切り売り型ではなく、継続的なサービス提供が前提である。継続的な収益が積み上がっていくストック型ビジネスとしての安定性がありながら、新規契約数の増加に伴う高い成長も目指すことができるビジネスモデルである。年間契約が主体であり、契約金額を一括前払いで回収しているため、キャッシュ・フロー安定性が高いことも特徴として挙げられる。
また、販売チャネルにも特徴がある。販売代理店(販売パートナー)との密な連携や、クライアントからのインターネット経由によるアプローチ(インバウンド)を主体とした直接販売チャネルにより、効率的な販売促進を可能とする仕組みを構築している。さらに販売パートナーへの卸値が同社の売上高計上額となるため、販売パートナーへのマージンが営業費用として計上されず、SaaSサービスの追加売上高の多くがそのまま粗利として計上される仕組みとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
《HN》
提供:フィスコ