【市況】【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 混沌の時代に成長へ導くコンサル企業に注目!
株式アドバイザー 北浜流一郎
「混沌の時代に成長へ導くコンサル企業に注目!」
●懸念材料解消で、市場の視線は株価押し上げ要因に
9月相場入りを目前にして、大きな懸念材料が一つ、また一つと解消してくれたのが嬉しい。その一つが半導体のスター企業、米エヌビディア<NVDA>の24年5-7月期決算発表だった。引き続き業績は絶好調と見られてはいたが、ピークアウトを懸念する見方もあって、日米市場ともに身動きとれずにいたことはご承知の通りだ。
しかし、28日に発表されたエヌビディアの決算は素晴らしいものだった。何しろ売上高が前年同期比2.2倍の300億4000万ドル(約4兆3500億円)、純利益が2.7倍の165億9900万ドルで、通常の感覚ではまさに文句のつけようがない。しかし、株価は不満を表明する形になった。同社株は28日の時間外取引で8%超も急落してしまい、この原稿を執筆している時点でも回復していない。
だが、私にいわせると、短期の市場反応は短絡的なものとなるため間違うことが多く、エヌビディアの株価下落についても同じことがいえよう。それに決算発表の場でエヌビディアのフアン最高経営責任者(CEO)は、
・生成AI(人工知能)は全産業に革命をもたらす。
・データセンターを最新鋭にしようとする動きが活発で、記録的な収益になった。
・8-10月期の売上高は325億ドル前後になるだろう。
・今後投入する次世代AI半導体「ブラックウェル」はとてつもない需要がある。
こう語っていた。今後について明るい材料を提供して決算発表を締めくくったのだ。これはフアンCEOの自信の表れと見てよく、期待が持てる。それにエヌビディアの決算発表前には、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のジャクソンホールでの講演があった。そこで議長は、9月の利下げを匂わせる発言を行った。これももちろん9月相場の押し上げ要因となる。
ただ、米国の利下げは改めて説明するまでもなく円高・ドル安要因。これは確かに東京市場にとってネガティブ材料となるのだが、為替の変動は市場がそれを織り込んでしまえば、さほど影響はなくなる。この点、いまは140~145円の変動幅なら市場は許容することになるだろう。
加えて、9月は3月期決算企業の中間配当月でもある。いまは「1に配当、2に配当」の配当取り投資ブームの時代である。特に増配銘柄でなくても買いが入りやすくなるため、多くの銘柄が浮上するだろう。
●日本企業の増収増益・成長を支える企業群
こんな状況を考えると、いわゆる高配当株への投資をお勧めすべきだろうが、正直、高配当銘柄は誰が選んでも似たりよったりになるので、ここでは視点をまったく変えてコンサルティング企業に目を向けたい。
というのは、私自身もコンサルタントをしている(私は株式投資に限るが)ため、コンサル企業の仕事ぶりが気になるからだ。この混沌の時代に、各社どんな指針を与えて企業の増収増益&成長に寄与しているのか……と。
そこで、まず注目はコンサル業界大手の野村総合研究所 <4307> [東証P]になる。金融機関や流通企業を主要顧客として、コンサルだけでなくシステム開発、金融ITソリューションへ展開し、堅調に収益を伸ばし続けている。株価は目先高値をつけたばかりで足もとはやや軟調ながら、適度な押しが入っているとの判断になる。
中小企業向けの成長支援で定評がある船井総研ホールディングス <9757> [東証P]も、顧客の信頼を集め続けており収益は好調だ。株価は続伸が見込めよう。なお、船井総研を創業された故船井幸雄氏には生前懇意にしていただいたが、そんな私情は排しての注目になる。
デジタル技術や生成AIなどの導入による経営のDX(デジタルトランスフォーメーション)化に強いコンサル企業となると、ベイカレント・コンサルティング <6532> [東証P]を忘れてなるまい。DX、AIともに企業発展のためには不可欠と分かりながらも、実装が遅れている企業が多い。そんな企業にとって頼れる存在が同社だ。当面この分野でのナンバーワン的地位は変わらないと考えられるため、株も期待が持てる。
ITシステムのコンサルや開発に強い企業はもちろん他にもある。フューチャー <4722> [東証P]もそんな企業の一つ。アパレル、製造業向けなどの分野で実績豊富で、EC(電子商取引)への投資も行っていて、年々売上、営業利益ともに伸ばし続けているのは心強い。
最後に、山田コンサルティンググループ <4792> [東証P]を。経営全般のコンサルとともに、事業継承やM&Aに積極的。しかも、日本企業の北米進出、逆に北米企業の日本進出支援のシステムを整えていて、今後の発展が楽しみな経営戦略となる。
2024年8月30日 記
株探ニュース