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田部井美彦氏【強気になり切れない東京市場、9月相場の展望は】(2) <相場観特集>


―日経平均3万9000円台回復後に軟化、上昇一服ムードも―

 週明け2日の東京株式市場は日経平均株価が朝方は大きく買い優勢で始まったものの、その後は伸び悩む展開となり、後場に入るとマイナス圏に沈んだ。しかし、取引終盤に切り返し再び上昇に転じた。寄り付きでフシ目の3万9000円台を回復したのだが、目先達成感からの売りに押し戻されるなど強気相場入りにはまだ若干の距離があるようだ。果たして9月相場はどういう展開となるのか。株式市場や日本経済についての分析・予想で定評のある市場関係者2人に今後のマーケットの展望を聞いた。

●「相場は落ち着いた局面に、電力設備投資やIP関連株など注目」

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

 8月相場は大波乱となったが、9月は落ち着いた状況が期待できるとみている。8月下旬の「ジャクソンホール会議」で確認されたように、米国が金利低下基調に入るのは確実視されており、今後は不透明感も晴れてくるだろう。ただ、米国の雇用が予想以上に悪くリセッションが警戒される状況になれば、為替は円高に振れることも予想されるだけに注意は必要だとみている。

 一方、日本は利上げ方向にあり、これまで追い風となっていた円安は期待しにくい。しかし、売り上げの伸びが期待できる企業は少なくない。1ドル=145円前後のような一時に比べれば大幅な円高水準でも、業績を上方修正してくる企業は出てくるだろう。この先、10月下旬から本格化する決算発表に向けた期待は膨らんでくると思う。

 今後1ヵ月程度の日経平均株価の予想レンジは3万7000~4万円前後を見込んでいる。当面は、3万9000円から上の水準は重いかもしれないが、相場は年末に向けた上昇が見込めるとみている。

 個別銘柄では、生成AIの普及などによる電力需要の拡大で電力設備投資関連株などの活躍が期待できそうだ。SWCC <5805> [東証P]や住友電気工業 <5802> [東証P]のほか、大成建設 <1801> [東証P]など大手ゼネコン株も注目できる。また、日本が強みを持つ アニメなどに関連して東映アニメーション <4816> [東証S]やIGポート <3791> [東証S]、サンリオ <8136> [東証P]といった知的財産(IP)関連株にも期待したい。更に、半導体需要は堅調でありアドバンテスト <6857> [東証P]などの押し目は狙えると思う。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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