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9684 スクエニHD

東証P
6,164円
前日比
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PTS
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12:58 12/18
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
26.4 2.27 1.15 0.63
時価総額 7,553億円
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ソフトバンクGのファンドが出資する赤字のアメ株に、7600万円も投資するワケ

すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 志水雅己さんの場合-最終回

登場する銘柄
イオンキュー<IONQ>、スクエニHD<9684>

取材・文/真弓重孝、高山英聖

イラスト:福島由恵
■志水雅己さん(仮名・50代・男性)のプロフィール:
専業投資家。日米株式と投資信託で3億2000万円を運用している。メーンは日本の個別株。配当を安定的に出している大型株や国策テーマの関連銘柄を長期保有している。長らくITエンジニアとして勤務した経験から、先端技術に関する事業領域への関心が強い。投資を本格的に始めたのは2018年。「株探-個人投資家大調査-2024」の回答者で、投資スタイルは「テーマ重視」、日本株投資の腕前は「初級者」となる。

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日本株では安定志向の志水雅己さん(仮名)だが、アメ株は対極の戦略で挑んでいる。赤字が継続している新興グロース銘柄に集中投資しているのだ。

それが、量子コンピューターの開発を手掛けるイオンキュー<IONQ>だ。同社は2021年10月にニューヨーク証券取引所に上場した米スタートアップになる。彼らにはソフトバンクグループ<9984>傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンドも出資する。

イオンキューの通期業績は倍のペースで増収が続くも、営業損失は拡大する状況だ(下のグラフ)。損失は、量子コンピューターを大量生産するまで続く見込み。そのイオンキューに対し、志水さんは金融資産の4分の1となる7600万円を配分する。

本格的な実用化はまだ先と見込まれる量子コンピューターの開発ベンチャーに、安定・安全を旨とする志水さんが大きな資金を投じるのは、なぜなのか?

■イオンキューの通期業績の推移
【タイトル】
出所:イオンキューのIR資料、注:決算期は12月

米主要3指数に見劣り

志水さんがイオンキュー<IONQ>の取得を開始したのは、23年1月。株価は取得単価の5ドルから足元で7ドル台に上昇し、評価額7600万円に対し1900万円の含み益が生じている(1ドル=144.3円換算)。

とはいえIPO(新規株式公開)したばかりの同社株はボラティリティー(株価の変動率)が高く、上場後からの直近パフォーマンスはNYダウ、S&P500そしてナスダックのアメ株・主要3指数に大きくアンダーパフォームしている(下のチャート)。

■イオンキューと、米主要3指数の株価パフォーマンス
【タイトル】
注:2021年10月1日終値=0%、週足ベース

量子は、国防が絡む重大テーマ

そんなイオンキューを、志水さんが「ガチホ」するのは、量子コンピューター技術が切り開く未来にワクワクするからだ。

量子コンピューターの開発は、米国をはじめ日本や中国、欧州先進国など世界中で開発競争が繰り広げられており、技術は日進月歩だ。国防にも密接にかかわる領域であるため、その重要性は簡単には変わらないと志水さんは認識している。

米国企業で量子コンピューターの開発に名乗りを上げているのは、IBM<IBM>やアルファベット<GOOGL>、マイクロソフト<MSFT>といった巨大IT企業がいる。

資本力に技術力、そして経営実績で群を抜くこれらの企業を差し置いて、志水さんが新興のイオンキュー<IONQ>に投資するのは、その独自性に魅力を感じているからだ。

イオンキューは「手軽に使える量子コンピューター」の開発を目指している。本人の分析によれば、同社の特徴は、

①小型化・低コスト化に適した設計
②主要クラウド経由で利用可能
③ビジネス用途の需要取り込みに注力

――の3つになる。

特徴は、お手軽感

上の①の小型化・低コスト化が可能なのは、イオンキューが「イオントラップ方式」という設計方式を採用しているからだ。この方式では、小さな粒子であるイオンを量子ビットとして使用し常温稼働させられるので、既存方式のような大型冷却装置が不要で、コストや設置スペースを削減できる。

②については、アマゾン<AMZN>、マイクロソフト<MSFT>、アルファベット<GOOGL>が提供するクラウドサービスで使用できる。クラウドでの利用は他社の量子コンピューターでも可能だが、主要の3サービスにすべて対応しているのは、「イオンキューが唯一」と同社はいう。

エアバス、現代自動車などが活用中

③のビジネス用途の取り込みについては、すでに航空機大手の欧州エアバスが貨物積載を最適化する量子アルゴリズムの開発や、韓国の現代自動車が自動運転における画像認識の機械学習に利用している実績がある。

志水さんは、多くの同業他社が研究施設向けに量子コンピューターを提供している中で、イオンキューの独自性に注目している。

一方で、同社は23年9月に米空軍研究所(AFRL)に同社製品の納入を発表しており、ビジネス用途に限らず国防・安全保障分野での需要開拓は、同社製品の品質や信頼性などブランド力を上げるのに役立つと本人は、判断している。

イオンキューに投資するために「自分ルール」を適用

ただし、現時点の量子コンピューターは、試作機レベルの域を超えていない。文部科学省によれば、量子コンピューターが実用化レベルに到達するには、量子コンピューターの性能の目安となる「量子ビット」数が、100万以上になる必要がある。

イオンキューの量子ビット数は数十にとどまり、2028年にようやく1000を超えるレベルだ。米国内で開発をリードするIBMでも、足元では100以上にとどまっている。

実用化までには、今後も巨額の資金と時間を必要とする点で、資本力が競合より小さいイオンキューは不利になる可能性もある。そのリスクを取ってでも、志水さんがイオンキューに投資するのは、自身にあるルールを課しているからだ。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



 

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