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9331 キャスター

東証G
967円
前日比
-2
-0.21%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
1.72
時価総額 19.0億円
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キャスター Research Memo(8):既存事業の強化とセグメント拡大の両輪により成長を加速する方針


■今後の成長戦略

1. 環境認識と成長ポテンシャル
(1) 環境認識
中小企業を中心に人手不足問題が深刻化※1する一方、コロナ禍をきっかけとしたリモートワークの浸透とそれに伴う働き方に対する考え方の変化などを背景に、キャスター<9331>サービスに対するニーズは求人側(顧客企業)及び求職側(ワーカー)の双方から高まっていくことが予想される。特に中小企業の場合は、大きなロットが必要となるBPOの利用も進んでいない※2。人材不足に伴うニーズの増大は同社サービス(WaaS)にとっては追い風となる。

※1 2040年に不足する労働供給の数は1,100万人という予測がある(出所:リクルートワークス研究所「未来予測2040」)。
※2 同社アンケート調査(2022年8月実施、サンプル数2,810社、Fastaskを利用)によると、BPOの利用状況は、大企業(従業員数300名超)が61.0%、中小企業(従業員数300名未満)が39.9%となっている(出所:事業計画及び成長可能性に関する事項)。


(2) 対象市場と成長ポテンシャル
同社は全国の中小企業を対象として、現在のバックオフィス中心の領域から、さらに企画業務領域全般へ、そして市場の大きなIT業務領域にまで拡張していく方針であり、同社試算によれば、同社サービスへのアウトソーシングニーズのTAM(可能性のある最大市場規模)は2.7兆円、SAM(対応可能な市場規模)は1.1兆円、SOM(既存領域の市場規模)は8,000億円、コアターゲットは1,700億円に及ぶ。もちろん一定の前提を置いたフェルミ推定の域を出ないが、同社の視野(見ているところ)や方向性を知るうえで参考になるとともに、中小企業の多くが人手不足(IT人材はさらに深刻)に悩み、DX化の流れにも十分に対応できない状況を踏まえれば、1つの考え方としての合理性はあると判断できる。

2. 成長戦略の方向性
同社は、具体的な中期経営計画を現時点で公表していないが、既存事業の強化とセグメントの拡大の両輪で売上成長を加速させる方向性を打ち出している。既存事業については、バックオフィス領域の中でも、専門性が高く人材不足が顕著である経理・労務領域を強化する。一方、セグメントの拡大に向けては、現在のバックオフィス領域から、コンサルティングやマーケティング、エンジニアリング領域など、既に顧客からのニーズが寄せられている領域への進出を検討している。また、事業領域の拡大及びチャネル拡充にあたっては、これまでのWaaSからBPaaSへと進出し、人材供給のサードパーティとしての立ち位置により、各種プラットフォーマーとの業務提携を推進していく戦略である。

3. 弊社アナリストによる中長期的な注目点
弊社でも、対象領域の拡大により新たな市場を切り開き、成長の角度を引き上げていく戦略は、「リモートワークを当たり前にする」というミッションの実現に向けて必然的な方向性と捉えている。これまでもセグメントの拡大が同社業績を押し上げてきたことを勘案すれば、理にかなっていると言えるだろう。ただ、現在のバックオフィス領域から、コンサルティング、マーケティング、エンジニアリングとより専門性が高い領域へ展開するにあたって、これまでの成功体験やノウハウがどの程度生かせるのか、ビジネスモデル自体をいかにチューニングさせていくのかがポイントになると考えられる。もちろん、創業以来、細かい経験値を積み重ねることで、ビジネスモデルの精度を高めてきた同社にとっては十分承知のうえだろう。そういう意味では、今回のBPaaSへの進出は今後の事業拡大に向けた戦略を具体的に示すものとして注目に値する。各領域のクライアントを束ねる各種プラットフォーマーとの連携は、事業の拡大やノウハウの蓄積の面でも明らかに成長のスピードを高めることになるだろう。また、AI技術の活用でも具体的な動きが活発化しており、将来に向けて同社がやろうとしている姿がいよいよ形となってきた。いずれにしても、着眼点の良さと強い信念で市場を切り開いてきた同社ではあるが、今後さらに事業を発展させ、社会にインパクトを与えるためには、ここからが経営手腕の見せどころと言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《SO》

 提供:フィスコ

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