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【特集】“10年以上”減配なし、信頼度で群を抜く「高配当優良株」6銘柄精選 <株探トップ特集>

3月期決算の中間期末を前に高配当利回り株に注目。円高加速や米国経済の後退懸念など先行きに不透明感も漂うなか、業績好調かつ株主還元に前向きで減配リスクが少ない銘柄を選定した。

―減配なしの累進配当に照準、9月中間期末控え注目度上昇の高配当利回り株を追う―

 3月期決算企業の中間決算期末がおよそ1ヵ月後に迫ってきた。「株探」集計によると、3月期決算では有配企業の6割を超える1270社(8月23日現在)が9月に中間配当を支払う予定だ。今年から始まった新NISA(少額投資非課税制度)をきっかけとして長期保有を前提に配当を意識する向きなども多く、安定した配当収入が期待できる高配当利回り株への注目度が高まりをみせている。今回は中長期的な視点も踏まえ、減配せずに配当を増配または維持する“累進配当”を続ける企業群に焦点を合わせ、高水準な配当利回りが狙える有望株を探った。

●配当総額は過去最高を更新

 東京証券取引所による「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請などに後押しされ、上場企業は積極的な株主還元姿勢を強めている。日本取引所グループ(JPX)の統計データによると、東証に上場する2227社の24年3月期業績は、最終利益段階で49兆6486億円(前の期比18.4%増)に拡大して着地。好調な業績を背景に配当金総額は16兆5669億円(同10.6%増)と過去最高だった23年3月期の記録を塗り替えた。配当を前の期から増やした企業は全体の5割近くに上る。続く25年3月期も4割を超える企業が増配する計画で、今期も記録更新が期待できそうだ。一方、円高加速や米国経済のリセッション(景気後退)懸念など先行きを巡る不透明感は強く、業績下振れに伴う配当減額への警戒感もくすぶる。

 ここでは、安定した業績成長かつ減配なしの累進配当を維持する企業に注目し、(1)25年3月期に営業利益段階で最高益更新を見込む、(2)直近10年間に減配をしたことがない、(3)年間ベースの配当利回りが3%を上回る、といった条件を満たす6銘柄をピックアップした。なお、3月期決算銘柄の中間配当を獲得するには、権利付き最終日の9月26日に株式を保有していることが必須条件となる。

※配当利回りは8月26日終値ベースで算出。

【ダイダン】 配当利回り3.65%

 ダイダン <1980> [東証P]は空調・電気・水道衛生工事に強みを持つ総合設備大手。27年3月期を最終年度とする中期経営計画で、配当性向40%以上かつ純資産配当率(DOE)4%を下限とする新たな株主還元方針を示し、25年3月期の配当は104円と前期の株式分割を考慮した実質ベースで37.7%の大幅増配を見込む。今期業績は大型の半導体工場や車載用電池工場からの受注が好調に推移するなか、豊富な繰越工事を背景に完成工事高が大幅に増加し、営業利益150億円(前期比37.9%増)と実に31期ぶりの最高益更新を計画する。足もとでは工場やデータセンターを中心に受注獲得が進み、24年6月末の繰越工事高は2704億円(前年同期比28.5%増)に膨らんでおり、最高益路線への復帰に向けて視界は良好だ。

【宮地エンジ】 配当利回り4.61%

 宮地エンジニアリンググループ <3431> [東証P]は前期に資本コストや株価を意識した施策として、1株から2株への株式分割実施や総還元性向の目安を従来の30%から60%に引き上げる方針を打ち出した。更に、業績予想と配当計画を上方修正したことも評価され、24年3月末の株価は4385円と1年前と比べて2.3倍に跳ね上がり、PBRも0.72倍から1.5倍へ急上昇した。25年3月期に入ってからも35万株(発行済み株式数の2.6%)の自社株買いを実施したほか、9月末に株式2分割を予定するなど企業価値向上に向けた取り組みを持続している。また、業績も好調で今期は営業利益95億円(前期比20.2%増)と2期連続の最高益更新を狙う。配当は195円(株式分割を考慮した実質ベースで前期比3円増)の計画とし、配当利回り4.6%台と高水準で依然として投資妙味は大きい。

【ライト】 配当利回り3.54%

 ライト工業 <1926> [東証P]は法面保護や地盤改良など特殊土木工事のパイオニア。台風やゲリラ豪雨の発生が増加するなか、防災関連として注目を集める。配当は安定感のある業績や強固な財務基盤を背景に14年3月期から増配を続けており、25年3月期は前期比5円増の75円を計画する。今期から中間配当を導入し、9月末は30円を実施する予定だ。また、自社株買いにも積極的で、今年は2月から365万株(発行済み株式数の7.60%)または70億円を上限に実施するなど、株主還元の切り口での魅力は高い。足もと4-6月期の業績は一部工事の着工に遅延が生じたものの、工事採算の向上などで補い、営業利益20億9800万円(前年同期比21.3%増)と2ケタ増益を確保した。通期で3期ぶりの最高益更新に向けて好調なスタートを切っている。

【エスリード】 配当利回り4.01%

 エスリード <8877> [東証P]は近畿圏のマンション供給戸数でトップクラスの実績を有する森トラスト系のディベロッパー。25年3月期業績は関西や名古屋を中心にマンションの引き渡しなどが増加する計画で、売上高985億円(前期比22.7%増)、営業利益142億円(同22.1%増)といずれも過去最高を大幅に更新する見通しだ。これにあわせて配当も前期比20円増の170円(中間期と期末に85円ずつ)を予定する。配当に加えて、3月末には100株以上を保有する株主を対象に、一律3000円相当のカタログギフトを贈呈する株主優待制度も実施しており、株主優待と配当を合算した利回りは4.7%に上る。一方、指標面では予想PER7.5倍、PBR0.93倍と見直し余地は大きい。

【リケンテクノ】 配当利回り3.50%

 リケンテクノス <4220> [東証P]は塩化ビニル樹脂コンパウンドのトップメーカー。中期経営計画でPBR1倍超の目標を掲げており、足もとで株主還元姿勢を強めている。23年3月期に配当性向を従来の30%から35%程度へ引き上げたうえ、24年3月期は約70億円(発行済み株式数の13.2%)と大規模な自社株取得と消却に踏み切った。続く25年3月期は売上高、営業利益ともに4期連続の過去最高を見込み、配当は34円(前期比2円増)と4期連続の増配を計画。7月末には4-6月期の大幅増益決算とともに、30億円を上限とする自社株取得枠の設定を発表している。株価は8月5日の急落後は戻り歩調にあるが、予想PER10倍、PBR0.79倍と指標面での割安感は強く上昇余地がありそうだ。

【菱友システム】 配当利回り3.24%

 菱友システムズ <4685> [東証S]は三菱グループの総合情報サービス会社。筆頭株主である三菱重工業 <7011> [東証P]向けの売上高が全体の半分を占める。25年3月期業績は企業の旺盛なIT需要を追い風に、売上高、営業利益ともに過去最高を3期連続で更新する計画だ。安定した収益成長と財務基盤を背景に、配当は前期まで9期連続増配の実績があり、減配リスクは少ないとみて良さそうだ。今期配当は前期比5円増の125円(中間期60円、期末65円)を予定する。直近3ヵ月の4-6月期業績はシステム開発や解析・設計関連を中心に案件の受注が堅調に推移するなか、生産性の向上などで利益率が上向き、営業利益6億7200万円(前年同期比38.5%増)と大きな伸びを示した。配当利回りが3%台で推移する一方、予想PERは10倍前後と低位で水準訂正余地は大きいとみられる。

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