貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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6367 ダイキン工業

東証P
18,400円
前日比
+230
+1.27%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
20.2 2.01 1.74 14.60
時価総額 53,933億円
比較される銘柄
三菱重, 
コマツ, 
クボタ

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新晃工業 Research Memo(2):大規模建物向けセントラル空調機のトップメーカー


■会社概要

1. 会社概要と沿革
新晃工業<6458>は大規模建物向けセントラル空調機器メーカーで、空調機の製造・販売、空調工事の請負施工、熱媒体自然循環システムの設計・施工・保守管理などを行っている。主要製品は、送風機や熱交換器(コイル)、フィルタ、加湿器などで構成されたフロア全体を空調する大型のAHUと、送風機(ファンモータユニット)、コイル、エアフィルタで構成された各部屋を空調する小型のFCUである。このほか、セントラル空調と個別空調の特徴を兼ね備えたヒートポンプAHUや氷蓄熱装置・冷却塔などの製造・販売、既存建物の設備更新工事やメンテナンスなどを請け負う工事事業も行っている。巨大で複雑な空間を空調するための豊富な品揃えと、顧客個々の要望に沿って設計・製造する技術が求められることから、空調機業界は専業企業などへの集約化が進んでいる。中でも同社は、蓄積されたノウハウと豊富な実績や、設計から製造、販売、メンテナンスまでの一貫体制などを強みとして、特に水AHUは国内市場において長年トップシェアを維持している。

同社は1938年、藤井徳義(ふじいのりよし)氏により暖房機器の輸入販売を目的に設立された。1949年に第二次世界大戦で停止していた業務を再開し、1950年に同社を創業して業務用空調機の製造・販売に乗り出した。その後、1951年にFCU、1957年にはAHU(現在の工場生産型)を日本で初めて開発し、生産拠点の拡大やメンテナンス業務の取り込み、海外進出など、日本経済の発展とともに業容を拡大した。足元の需要は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)や原材料高、部材不足、円安といったリスクが一巡しつつあるなか、東京や大阪などにおける大規模都市再開発や国内回帰が進む半導体工場、デジタル環境の高度化に伴って要求が強まるデータセンター向けなど拡大期に入ったと見られる。中でも生成AIの普及などにより、より大きな電力を必要とする大規模・高速・大容量のハイパースケールデータセンター向けの需要が強まっているようだ。また、中長期的には更新工事やメンテナンス需要の拡大も期待されている。


環境に良い水AHUを大規模建築物向けに展開
2. 事業領域
空調機は家庭用と業務用に分けられ、建物の規模や運用によって最適な機器が選択される。家庭用はいわゆるルームエアコンであり、TVCMでよく見かける民生用電機メーカー大手の製品が多い。業務用は、さらに個別空調とセントラル空調に分けられる。個別空調は、空調を必要とする部屋・エリアごとに室外機と室内機を設置する方式で、熱媒体に代替フロンなどを使用するが、設計・施工が容易で機械室を小さくすることができる。主に延床面積20,000平方メートル以下の中小規模の建物で採用され、空調機のシステムはパッケージエアコン、ビル用マルチエアコンなど汎用品で構成される。

セントラル空調は、建物を一体として捉え、熱源機器を集中設置することでまとめて熱を作り(一次側空調システム)、冷温水(水)を熱媒体として各フロアへ送り、その熱にAHUやFCUがファンで発生させた風を当てて室内の温度・湿度を調整し(二次側空調システム)、空調全体の管理・コントロールを集中して行う(計装システム)仕組みになっており、延床面積20,000平方メートル以上の大規模な建物で使用される。こうした大規模な建物では、フロアごと場所ごとに求められる要件が異なるため、最適なシステムを構築するには個々の仕様・要望に応えるオーダーメイドな設計・製造技術が不可欠である。

同社は、セントラル空調の中でも二次側空調システムを主要な事業領域としている。セントラル空調の主なメリットは、個別空調で使われる代替フロンにはできない精密な温度・湿度制御が可能なこと、上質な空気質を生成できること、設置や設計の自由度が高いこと、空調機を機械室に集中して設置できることによる効率性と高いメンテナンス性などが挙げられる。加えて、熱を搬送する媒体に、温室効果が非常に高い代替フロンではなく自然冷媒である水を使用しているため、地球温暖化を防止する「環境にやさしい」システムであることもメリットと言える。代替フロンはオゾン層を破壊しないものの、CO2の100倍から10,000倍以上の大きな温室効果があるため、気候変動対応の観点から、世界中でノンフロンや温室効果の低い媒体への切り替えが課題となっている。

同社は、中小規模の建物で採用される個別空調領域にも積極的に事業を拡張している。個別空調では、セントラル空調に比べて簡易なシステムや汎用品が使用されるが、外調機については個々に細かな仕様を要求されることが多くなってきたため、セントラル空調の分野で蓄積してきた同社のノウハウを生かす素地があるからである。また、熱源機器を集中させても効率化しない規模の建物では、今後も個別空調方式が採用されることが見込まれる。同社はそこで、ダイキン工業<6367>と業務資本提携してヒートポンプAHUの製造・販売に参入し、個別空調市場を取り込むための戦略商品として積極的に展開している。ただし、地球環境に負荷がかかる傾向にある個別空調の領域においても、同社は、地球温暖化係数の低い熱媒体への転換や代替フロン使用量の削減につながる、地球環境にやさしいシステムの設計を進めている。


二次側空調機メーカーでシェアトップを維持
3. セントラル空調の業界構造
セントラル空調という視点から見た業界のプレーヤーは、施主、設計事務所、ゼネコン(建築会社)、サブコン(設備会社)、空調機関連メーカー(一次側・二次側・計装)となる。大きな建物を建築する際に、空調機の仕様を様々な建築設計に合わせなければならず、設計の段階から参加する必要がある。このため、空調機関連メーカーはゼネコンより早く施主・設計事務所と直接的な関わりを持つことが多い。しかし、発注の流れは通常「施主→ゼネコン→サブコン→空調機関連メーカー」であるため、商流上の契約先はサブコンとなることが多く、設計段階で関わりがあっても機器採用に直結しないこともある。また、建設業界の需要変動の影響を受けやすく、建設業界同様に国内市場が成熟している。そのような市場であるため、二次側空調機メーカーは同社のほか、クボタ空調(株)、ダイキン工業、木村工機<6231>、暖冷工業(株)などに集約されつつある。同社は、こうした二次側空調機メーカーにおいて国内トップシェアを維持している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《SO》

 提供:フィスコ

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