タナベ Research Memo(9):2025年3月期は売上総利益率が上昇し、過去最高益を更新する見通し
■今後の見通し
1. 2025年3月期の業績見通し
タナベコンサルティンググループ<9644>の2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比6.0%増の13,500百万円、営業利益で同47.0%増の1,485百万円、経常利益で同46.6%増の1,485百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同22.5%増の785百万円と中期経営計画で掲げた業績計画の達成を目指す。
外部環境は地政学リスクの高まりや物価上昇など先行き不透感が強いものの、国内では産業競争力強化法の一部改正により「中堅企業者」が新たに定義され、特に賃金水準が高く国内投資に積極的な企業が「特定中堅企業者」として認定されることで税制・金融面で優遇される動きにあることから、中堅企業の活性化が予想される。これら中堅企業を主要顧客とする同社にとっても追い風となり、これら企業のコンサルティングニーズを経営の上流から下流まで一気通貫で取り込むことで、収益性の向上を図っていく戦略だ。営業利益率は前期の7.9%から11.0%へと3.1ポイントの上昇を見込む。前期と比べて付加価値の高い上流工程のコンサルティング案件が増加することで商品・サービス原価率が1.4ポイント低下するほか、人的資本投資比率が同0.5ポイント、その他販管費率が同1.1ポイント低下する計画となっている。金額ベースの前期比増減額及び増減率では、商品・サービス原価で44百万円増(1.2%増)、人的資本投資で276百万円増(4.7%増)、デジタル・DX投資で17百万円増(6.8%増)、その他販管費で52百万円減(3.0%減)を見込んでいる。
連結従業員数は前期末比60名増の660名と10%増を計画している。処遇改善に伴う定着率向上により採用費や教育研修費が抑制される見込みだ。中期経営計画では720名を見込んでいたが、既存人員の生産性向上及び処遇向上に注力し、当初計画を引き下げた。ただ、2026年3月期に800名とする目標は継続する。Uターン、Iターンの需要が増加するなか引き続き全国展開している強みを生かして各業界・職種における実務経験者を採用していくほか、M&Aによる人員増を見込んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《SO》
提供:フィスコ