タナベ Research Memo(8):自己資本比率は77.1%と高水準を持続、手元キャッシュも潤沢で財務内容は良好
■タナベコンサルティンググループ<9644>の業績動向
3. 財務状況と経営指標
2024年3月期末の資産合計は前期末比271百万円減少の14,139百万円となった。主な変動要因について見ると、流動資産では受取手形、売掛金及び契約資産が159百万円増加した一方で現金及び預金・有価証券が535百万円減少した。固定資産では投資有価証券が197百万円、のれんが69百万円それぞれ減少した一方で、退職給付に係る資産が291百万円増加した。
負債合計は前期末比134百万円増加の2,834百万円となった。買掛金が39百万円、未払法人税等が107それぞれ減少した一方で、前受金が42百万円、繰延税金負債が89百万円増加した。また、純資産合計は前期末比406百万円減少の11,304百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益641百万円を計上したほか、その他の包括利益累計額が149百万円増加した一方で、配当金支出862百万円や自己株式の増加376百万円が減少要因となった。
経営指標は、自己資本比率が前期末から若干低下したものの77.1%と引き続き高水準を維持しており、現金及び預金・有価証券も70億円以上と潤沢で実質無借金経営を維持していることから、財務の健全性は高いと判断される。同社は2026年3月期までの中期経営計画期間中は連結総還元性向100%を目安に安定的な配当を実施する方針を打ち出しており、株主資本を増やさず収益を拡大することで、ROE10%の水準を目指している。2024年3月期のROEは5.8%と前期から0.6ポイント低下した。要因分解すると総資産回転率や財務レバレッジはそれぞれ前期の水準から若干向上したが、売上高純利益率が6.2%から5.0%に悪化したことがROEの低下につながったことになる。2024年3月期は戦略投資を当初計画以上に積極的に実施したことが利益率の低下要因となっており、2025年3月期以降は戦略投資の効果も顕在化することで利益率が向上し、ROEも上昇に転じるものと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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提供:フィスコ