タナベ Research Memo(7):ブランド&PR、HRの経営コンサルティング領域が好調(2)
■タナベコンサルティンググループ<9644>の業績動向
(4) ファイナンス・M&A
ファイナンス・M&A領域の売上高は前期比0.5%増の1,932百万円と微増にとどまった。大都市圏ではM&Aニーズの高まりに合わせて、「ホールディングス化・グループ経営」「成長M&A・事業承継M&A(戦略策定からFA、デューデリジェンス、PMIまで)」といったテーマのニーズが増加したほか、上場企業においては東京証券取引所のPBR1倍未満企業への改善開示要請対応として企業価値向上施策のニーズも増加したことにより、「企業価値ビジョン」「コーポレートガバナンス・コード対応」等が好調に推移したが、地方におけるファイナンシャルアドバイザリー契約が低調だったことが響いた。リードの獲得に関しては、同社独自の「コーポレートファイナンス・M&A」「事業承継・M&A」専門サイトや、金融機関等のアライアンス先からの紹介も、コンサルティング案件の創出に貢献した。
また、新たなメニューとして2023年10月よりタナベコンサルティングとグローウィン・パートナーズの連携により事業承継ニーズに対応したサービス「MIRAI承継」の提供を開始した。「パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー構築支援」「中長期ビジョン構築支援(事業ポートフォリオ構築)」「事業再構築支援(企業再生支援)」「事業承継診断(資本政策・承継カレンダー)」「後継者育成(ジュニアボード推進支援・サクセッションプラン策定支援・後継経営者スクール)」「ホールディングス体制構築支援」「グループ経営システム構築支援」「M&A一貫コンサルティング」「PMI(企業統合)支援」など事業承継のあらゆるステージにおいて資本の承継だけではなく、事業・組織・人財・経営システムなど経営全体をデザインすることで企業価値を向上させ、顧客企業の経営を未来につなげる最適なソリューションとなる。
また、2024年3月より、戦略とM&Aの掛け算で企業価値向上と持続的な成長を目指す「戦略×成長M&A」一貫コンサルティングブランドの提供を開始した。「中長期ビジョン構築」「事業ポートフォリオ戦略構築」「グローバル・ビジョン戦略構築」といった戦略構築フェーズから、「M&A戦略構築」「ファイナンシャルアドバイザリー(FA)」「統合作業(PMI)」の実装フェーズまで一気通貫で支援し、専門コンサルタントがその会社に応じた唯一無二の成長一貫モデルをともに描き、企業価値向上を目指す。PBR1倍割れ・ROE10%以下の上場企業、M&Aで成長したい、M&Aを行っているがどのような企業を買収すれば良いか不明確、PMIに課題があるといった企業が提供対象となる。先述の「MIRAI承継」で譲渡企業の経営を未来に引き継ぎ、「戦略×成長M&A」一貫コンサルティングで成長志向の譲渡企業におけるグローバルを含めた戦略構築を支援することで、譲渡と譲受の両面において、企業価値向上と持続的成長を支援していく。
(5) ブランド&PR
ブランド&PR領域の売上高は前期比25.8%増の2,649百万円となった。アフターコロナで、業界問わずリアル(展示会やイベント)×デジタル(Web、SNS)によるコミュニケーションニーズが増加したほか、インバウンド需要の回復に向けたプロモーションニーズが活発化するなかで、新たにカーツメディアワークスがグループに加わったことも増収に寄与した。主に上場企業を含む大企業や中堅企業向けの「ブランド構築」「メディアPR(Global PR WireやTV企画など)」「海外PR」「コンテンツマーケティング」「クリエイティブ」「ハイブリッド(リアル×デジタル)プロモーション」や、行政/公共向けのプロモーションなどが好調だった。また、新たに立ち上げた「ブランディング・戦略PR情報」専門サイトを通じたリード獲得も、コンサルティング案件の創出に貢献した。
(6) その他
ブルーダイアリー(手帳)やプロモーション商品などその他の売上高は前期比7.9%増の715百万円となった。アフターコロナで各種イベント等の再開によるプロモーション商品の受注が増加したほか、原材料の高騰に伴う価格改定を実施したことで増収となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《SO》
提供:フィスコ