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7030 スプリックス

東証S
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ステップ Research Memo(3):プロ教師による質の高い学習指導に定評(2)


■会社概要

2. ステップ<9795>の特徴と強み
同社の特徴と強みは、「教師のプロ化による質の高い学習指導」「ドミナント展開と口コミ情報による効率的なマーケティング戦略」「高い収益性・安定性」に集約することができる。

(1) 教師のプロ化による質の高い学習指導
同社は「教師は学習指導のプロでなければならない」という考え方のもと、教師を正社員化し、授業内容の専門化・高技術化に努め、その学習指導力によって高い進学実績を積み上げることを成長基盤としてきた。2024年4月末時点における全教師数743名のうち正社員教師は714名で、そのほか専任講師(フェロー・嘱託職員)21名、非常勤講師8名(うち3名は英語科ネイティブ講師)の構成となっており、正社員比率は96.1%とほぼ100%がプロの教師と呼べる指導体制である。また、教師が生徒獲得のための勧誘活動(電話勧誘やポスティングなど)を行うことなく、学習指導に専念できる体制を整えていることも特徴の1つである。

同社では、各教師が「日々指導技術の研鑽を怠らず、一人ひとりの生徒と向き合い、学力向上に真摯に取り組んでいく」ことを基本方針として、研修会などを定期的に行いながらスキルアップに努めている。具体的には、新人・2年目研修をグループで隔週4時間、個人別に隔週2時間実施しているほか、地域別研修も隔週で金曜日に2時間半、必要に応じてフォローアップ研修や勉強会を隔週で火曜日に2時間実施し、教務力の向上に努めている。

こうした教師のプロ化による質の高い学習指導によって、2024年春の高校入試では神奈川県内の公立トップ19校で2,435名の合格者を輩出し、全塾中でトップの実績を残した。また、神奈川県の学力向上進学重点校8校※1では1,320名が合格し、全合格者数の50.9%をステップ生で占めた。トップ19校のうち16校で、塾別合格者数トップとなり、県内最難関校の横浜翠嵐高校についても2年連続でトップとなった。学習指導の質の高さもさることながら、過去の入試問題の分析・対策能力や的確な進学指導力などが高い合格実績につながっている※2。県内の競合大手としては、臨海セミナー、湘南ゼミナール(スプリックス<7030>の子会社)などがあるが、いずれも公立トップ19校の合格者数では同社の半分以下の水準となっており、県内公立トップ校を目指す学習塾としてのブランド力はさらに強固なものとなっている。さらに、「STEP」生徒の通学圏内で男女共学校として最難関と位置付けられる東京学芸大学附属高校(国立)でも、214名(前年比26名増、帰国生と内部進学除く。正規合格者152名は同総数274名の55.5%を占める)の合格者を輩出し、同社によると16年連続で全塾中トップの合格者数になったようだ。なお、公立トップ19校の合格者数が前年比で若干減少したが、2024年は難関校にチャレンジする生徒数が例年よりも多かったことが影響したと見ている。同社は受験指導において、生徒や保護者の希望を最優先に臨む方針である。

※1 学力向上進学重点校:神奈川県教育委員会が、県立高校改革実施計画において、将来の日本や国際社会でリーダーとして活躍できる人材を育成する学校として位置付けた高校。横浜翠嵐、湘南、厚木、柏陽、川和、小田原、横浜緑ヶ丘、多摩の8校が選定されている。
※2 合格率も他を圧倒している。例えば、横浜翠嵐高校ではステップ生が64.3%だったのに対してその他受験者は44.1%と20%以上の開きがあった。


一方、現役高校生向けの高校生部門について見ると、2024年春の大学受験合格者数は国公立大学で354名(前年比30名増)、早慶上智大学で594名(同134名増)、MARCH及び東京理科大学で2,219名(同227名増)となり、のべ合計では3,167名(同391名増)と過去最高を更新し、最難関の東京大学合格者数も14名(同6名増)と2年ぶりに過去最高を更新した。これら合格者の大半は公立高校生であり、公立高校から難関大学に現役合格できる塾としてのブランド力は年々高まっている。以前は入塾する高校1年生の大半が中学部門のステップ生だったが、最近はステップ生以外の入塾希望者も増加傾向にあり、4月時点で早々に定員に達する校舎もある。

同社が高い合格実績を残し続けている要因として、教務力の高さに加えてチューター制度が有効に機能していることが考えられる。チューターとは、高校生の学習や進路、悩みなどの相談を受け、個人に合わせた学習計画や合理的な受験作戦を提案するなど的確なアドバイスを行うスタッフである。同社では高校生部門の各校舎に専任のチューターを1校当たり2~9名配属しており、受験への不安を抱える生徒にとって良きアドバイザーとなっている。同社はチューターの機能を、小中学生部門の校舎でも数年前から導入し、窓口業務とチューターの機能を果たすスクールキャストと呼ばれる正社員スタッフを増員している。

(2) ドミナント展開と口コミ情報による効率的なマーケティング戦略
同社は県内の湘南地区や中西部において既に揺るぎないブランド力と業界シェアを確立しており、横浜市内でも計画的にスクールを開設しシェアを拡大している。今後は横浜市内での着実な展開に加えて今まで手薄だった川崎市での新規開校に注力する方針を打ち出している。スクール展開は地域集中型のドミナント戦略を基本とし、生徒の募集活動に関しては過大な広告宣伝費をかけずに、生徒やその保護者による口コミ情報を基本に据えていることが特徴の1つである(ホームページやYouTube、X(旧Twitter)も活用)。このため、同社の広告宣伝費率(対売上比)は2024年9月期第2四半期累計で1.1%と業界平均を大きく下回っている。近年は定員数に達して募集を打ち切るスクールが増えてきたことも、広告宣伝費の抑制につながっている。広告宣伝費率の低さは、同社の教育サービスに対する生徒・保護者からの高い評価を反映した数値と言える。

顧客満足度の客観的評価として、2023年11月に発表されたオリコン顧客満足度(R)ランキングにおいて、「小学生 塾 首都圏」ランキングで8年連続1位、「高校受験 塾 首都圏」ランキングで7年連続1位、「大学受験 塾・予備校 現役 首都圏」ランキングで6年連続1位をそれぞれ獲得するなど、実際に通塾する生徒や保護者から高い評価を受けていることが外部の調査機関により明らかとなっている。

(3) 高い収益性・安定性
3つ目の特徴としては、業界のなかでも高い収益性を誇り、かつ抜群の収益安定性を兼ね備えていることが挙げられる。この要因としては、広告宣伝費率の低さに加えて、進学塾としての圧倒的なブランド力や高い顧客満足度により入塾を希望する生徒が多く、1教室当たり平均生徒数が高水準で安定していること、校舎の開設も教師の育成に合わせて、年間で3~4校と無理のないペースで進めていること、事業を学習塾に特化しているため本社機能がスリム化されていること、などが挙げられる。2020年9月期は新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)において授業料の返還や特別授業料の適用を行ったため、営業利益率が20%の水準を下回ったものの、こうした施策を取ったことで逆に生徒や保護者からの信頼感が高まる結果となり、2021年9月期の営業利益率は26.9%とコロナ禍前の水準を上回り、2022年9月期においても高水準を維持した。2023年9月期は今後の成長をより確かなものとするため、教師に対する処遇向上や学習環境の整備を実施したことで利益率は低下したが、それでも直営集団塾を主に展開している学習塾のなかでは業界トップの収益性を維持していることに変わりない。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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