貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
株価15分ディレイ → リアルタイムに変更

9434 ソフトバンク

東証P
194.7円
前日比
-0.9
-0.46%
PTS
194.8円
23:56 11/15
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.1 3.66 4.42 21.15
時価総額 92,832億円
比較される銘柄
KDDI, 
SBG, 
NTT

銘柄ニュース

戻る
 

TOKAI Research Memo(2):生活インフラサービスに加えて、法人向け情報通信サービス等も展開


■事業概要

TOKAIホールディングス<3167>は静岡県を地盤にLPガスを中心とした「エネルギー・住生活関連事業」と「情報通信事業」を主軸に事業を展開しており、暮らしに関わるあらゆるサービスをワンストップ提供し、顧客やその先の地域・社会・地球環境とのつながりを深めながら、人々の豊かな生活、地域社会の発展、地球環境保全に貢献し、日本を代表する生活総合サービス企業に成長していくことを目指している。

現在の事業セグメントは、「エネルギー事業」「情報通信事業」「CATV事業」「建築設備不動産事業」「アクア事業」「その他」の6つに分けて開示している。事業セグメント別の売上構成比(2024年3月期)を見ると、祖業である「エネルギー事業」が43.6%、「情報通信事業」が24.5%、「CATV事業」が15.4%で、これら3事業で全体の80%を超えており、直近5年間の推移を見ても大きな変化はない。

1. エネルギー事業
エネルギー事業では、売上高の約83%をLPガス事業、約17%を都市ガス事業が占めている。主力のLPガス事業は(株)TOKAIで家庭・産業用を主に販売し、一部卸販売も行っている。サービスエリアは静岡県や関東圏が中心であるが、2015年以降は新規エリアとして南東北や中部・東海、中国・四国、九州エリアなどにも順次進出し、顧客基盤の拡大を推進している。2024年3月期末時点の顧客件数は778千件で、既存エリア、新規エリアとも増加基調が続いている。新規エリアの構成比については、2019年3月期の約4%から約13%に上昇している。業界のポジションとしては、直販で岩谷産業<8088>、日本瓦斯<8174>に続く3番手となる。市場シェアは、地盤である静岡県で約2割とトップを占め、競争の激しい関東圏でも1割弱と2番手に位置する。LPガス利用世帯数は全国で約2,100万世帯あるため、全国シェアで見ると3%強の水準だが、今後も営業エリアの拡大とM&Aの推進によりシェアを拡大する戦略である。国内のLPガス販売業界は中小零細事業者が多く、経営環境の厳しさから年々大手資本への集約化が進んでおり※、同社のシェア拡大余地も大きいと弊社では見ている。

※ LPガス販売事業者数は2012年の約2.1万事業者から2023年は約1.5万事業者に減少している。


都市ガス事業は東海ガス(株)が静岡県の焼津市、藤枝市、島田市で都市ガスの販売を行っているほか、2017年4月のガス小売全面自由化を契機に、自治体が運営していた都市ガス事業を譲受することで営業エリアを拡大している。具体的には、群馬県の下仁田町(2019年4月より)、秋田県にかほ市(2020年4月より)から都市ガス事業を譲受し運営している。2024年3月期末時点の顧客件数は75千件となっている。都市ガス事業者は全国で190事業者(私営172、公営18)あり、このうち大手4社を除けば地域の中小規模事業者がほとんどであることから、今後もM&A案件が出てくれば検討していく方針だ。

2. 情報通信事業
(株)TOKAIコミュニケーションズで展開する情報通信事業は、コンシューマー向け事業のISP(インターネットサービスプロバイダ)事業、モバイル事業(携帯電話販売代理店事業)と、法人向け事業の通信回線サービス、データセンターサービス、クラウドサービス、システム開発受託事業などを行っている。2024年3月期の売上構成比は、コンシューマー向け事業が約43%、法人向け事業が約57%とここ数年は法人向けの比率が上昇傾向にあり、営業利益でも大半を法人向けで占める格好となっている。

ISP事業は、全国をサービスエリアとする「@T COM(アットティーコム)」と静岡県をサービスエリアとする「TOKAIネットワーククラブ(TNC)」の2つのブランドで展開しており、静岡県内でのシェアは約2割と首位を占める。また、2015年2月よりNTT(日本電信電話<9432>)から光回線の卸提供を受け、自社の光インターネット接続サービスとセットで提供する光コラボサービス(「@T COMヒカリ」「TNCヒカリ」)の提供を開始したほか、大手携帯キャリアのサービスとセットにしたプランの提供も行っている。2017年からはMVNO※を利用した格安SIM/スマートフォン「LIBMO(リブモ)」の販売も開始した。2024年3月期末の顧客件数は、従来型ISPサービス等で393千件、光コラボサービスで373千件、「LIBMO」で80千件となっており、光コラボサービスや「LIBMO」の増加により緩やかながらも増加傾向となっている。

※ MVNO(Mobile Virtual Network Operator):携帯電話等の無線通信インフラを他社から借り受けてサービスを提供する事業者。


モバイル事業では、ソフトバンク<9434>の代理店として静岡県内を中心にモバイルショップ14店舗を展開しているが、2024年3月期末の顧客件数は170千件と2016年3月期の236千件をピークに漸減傾向が続いている。また、iPhoneの修理サービスを行う「iCracked Store」を静岡県内に7店舗出店している。

3. CATV事業
CATV事業はM&A戦略によりサービスエリアを徐々に広げており、直近では2022年10月に沖縄ケーブルネットワーク(株)をグループ化した。2024年3月期末現在で静岡県、東京都、神奈川県、千葉県、長野県、岡山県、宮城県、沖縄県の1都7県で事業展開している(グループ会社11社)。顧客件数は放送サービスで919千件、通信サービスで394千件、合計で1,313千件と緩やかながら増加基調が続いている。国内のCATVサービスの契約件数は通信サービス等も含めて全体で2,712万件(2023年3月末、うち多チャンネルサービス777万件、インターネットサービス1,062万件、電話サービス873万件)とインターネットサービスがけん引する格好で緩やかに増加している。業界ではJ:COM(JCOM(株))グループが視聴世帯数ベースで5割強のシェアを握っており、2番手以下は同社も含めて数%程度のシェアとなっている。このため、同社は今後もM&Aによってシェア拡大を目指す戦略となっている。

4. 建築設備不動産事業
建築設備不動産事業では、TOKAIが戸建や集合住宅、店舗、オフィスビル等の設計・建築、建物管理サービス、住宅設備機器の販売、不動産の開発・売買等を行っており、TOKAIと東海ガスがリフォーム事業を展開している。M&Aも積極的に推進しており、2019年9月に岐阜県に拠点を置く総合建設会社の日産工業(株)を子会社化したのを皮切りに、2020年8月に愛知県内で電気設備工事を行う中央電機工事(株)、同年11月に静岡県内でビルメンテナンス事業を行う(株)イノウエテクニカ、2021年4月に東海エリアで建物の大規模修繕工事や改修工事を行う(株)マルコオ・ポーロ化工、2022年5月に岐阜県で産業廃棄物処理や木材チップの製造を行う(株)ウッドリサイクルを相次いで子会社化した。今後はこれらグループ会社が持つリソースを結集することで、東海エリアにおける総合建築事業者として事業規模を一段と拡大する戦略である。

5. アクア事業
アクア事業(宅配水事業)は、TOKAIが2007年に静岡県内でリターナブル方式(ボトル回収型)「おいしい水の宅配便」のサービスを開始し、2011年からは静岡県以外のエリアでワンウェイ方式(ボトル使い切り型)「おいしい水の贈りもの うるのん」のブランド名でサービス展開している。また、新たな取り組みとして2023年4月より水道水を内蔵フィルターでろ過する給水型浄水ウォーターサーバー「しずくりあ」※の販売を開始した。2024年3月期末の顧客件数は167千件となっている。業界全体の2023年度の顧客数は5,240千台で、同社のシェアは約3%の水準となっている(静岡県内では約50%のシェア)。

※ ウォーターサーバーのレンタル料は2,640円/月または3,300円/月(税込)で、半年ごとに交換する濾過フィルターは無料で提供。


6. その他
その他には、TOKAIライフプラス(株)の介護事業、トーカイシティサービス(株)の婚礼催事事業、東海造船運輸(株)の船舶修繕事業などが含まれる。介護事業は2011年より開始しており、2024年3月期末時点で静岡県内にデイサービス施設6ヶ所、ショートステイ施設、介護付有料老人ホームを各1ヶ所運営しているほか、ケアプランセンターを2ヶ所開設している。また、婚礼催事事業はJR静岡駅前「葵タワー」内にある「グランディエール ブケトーカイ」を運営している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SO》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均