CACHD Research Memo(6):2023年12月期連結業績はおおむね期初計画に沿った順調な着地
■業績動向
1. 2023年12月期の業績概要
CAC Holdings<4725>の2023年12月期の連結業績は、売上高が前期比5.4%増の50,539百万円、営業利益が同4.4%増の3,327百万円、経常利益が同1.3%減の3,118百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同18.1%増の2,473百万円となった。期初予想(売上高50,000百万円(同4.2%増)、営業利益3,300百万円(同3.5%増)、経常利益3,200百万円(同1.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,200百万円(同5.1%増))に対しては、国内IT事業における子会社1社の連結除外の影響などがあったものの、インド子会社の金融向け大型案件や為替の円安進行等により、売上高及び営業利益は計画を達成した。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益を特別利益に計上したことから、計画を上回って着地した。
セグメント別では、国内IT事業の売上高は前期比1.4%減の35,905百万円、セグメント利益は同5.5%減の3,468百万円となった。2023年12月期第2四半期よりCACマルハニチロシステムズ(現 マルハニチロソリューションズ)が連結除外されており、その影響が売上高で約17億円、営業利益で約1.3億円であることから、この影響を除いた実質ベースでは市場と同等の成長であったと評価できる。連結除外の影響を除いた実質ベースのセグメント利益はやや鈍化したが、これは先行投資を継続したことが影響していると見られる。なお、期末の受注残高は前期末比11.5%増の10,519百万円と堅調に推移した。
一方、海外IT事業の売上高は前期比26.5%増の14,633百万円、セグメント利益は同30.4%増の1,420百万円となった。売上高は為替の円安進行に加え、インド子会社が堅調に推移したことが寄与した。また、セグメント利益はインド子会社の構造改革の進捗により利益が改善した。なお、期中の受注高は同43.0%増の17,117百万円、期末の受注残高は前期末比64.7%増の6,139百万円と順調に積み上がった。
財務基盤の充実を経て、資本効率重視へと舵が切られた財務戦略
2. 財務状況
2023年12月期末の自己資本比率は前期末の64.7%から65.8%、流動比率は同269.1%から202.3%、ネットキャッシュ(現金及び預金-有利子負債(プラスはキャッシュ超過))が同9,885百万円から8,563百万円となった。依然としてネットキャッシュは高水準が続いている。また、固定資産に含まれる投資有価証券17,508百万円も加えた広義のネットキャッシュは26,071百万円に達している。これは2024年3月8日時点の同社時価総額37,570百万円の69.4%を占めるまでに至っており、株主還元のさらなる強化、M&Aや新規事業創出などの成長投資加速といった具体的な戦略が待たれる。
ここ数年、同社は取得簿価が低いリクルートホールディングス<6098>(以下、リクルート)の株式を継続的に売却することで、財務基盤を充実しつつM&Aや構造改革を遂行してきた。とりわけ、2019年12月期には資本効率向上等の観点もあって2,000千株を売却(総額5,970百万円、売却益5,291百万円)したものの、2020年12月期の売却株数は150千株に留まり、2021年12月期には売却そのものが行われなかった。その後は再び継続的に売却しているが、依然としてバランスシート上には多額の投資有価証券が計上されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
《SI》
提供:フィスコ