貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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8802 三菱地所

東証P
2,108.0円
前日比
-18.0
-0.85%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
15.2 1.06 2.04 13.46
時価総額 26,799億円
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ブロードエンター Research Memo(3):「B-CUBIC」など、物件の価値を高めるサービス・製品を提供(2)


■ブロードエンタープライズ<4415>の会社概要

(2)「BRO-LOCK」
「BRO-LOCK」は、インターネット回線を介して、マンションのエントランスをオートロック化するための顔認証付きIoTインターフォンシステムである。「顔認証」「ICカード認証」「QRコード認証」「時限式暗証番号認証」などの方法による解錠が可能である。室内モニターから通話・解錠ができるうえ、スマートフォンがあれば外出先から来訪者への応対もできる。このほか、訪問履歴の確認や不在時の訪問者の画像確認など、様々な機能がある。

「B-CUBIC」と同じく、「初期導入費用0円プラン」で導入可能である。加えて、インターネット回線を利用したインターフォンシステムであるためスマートフォンライセンスのみのプランであれば取り付け工事が簡易で、後付けが可能な点も訴求ポイントの1つである。そのほか、設置からアフターフォローまでの一貫対応や、管理業務を軽減できるクラウドサービスが導入できるという特徴もある。

クラウドサービスは、掲示物の代わりに入居者へ通知できるメッセージ送信、時限式QRコードの発行(解錠用のQRコードを有効期限や使用回数を限定し発行可能)、サブ暗証番号の発行(一時的な解錠用暗証番号をいつでも発行・削除可能)、入居者カードキーの情報管理、入室履歴管理、モバイルアプリ管理、などのサービスを提供しており、マンションオーナーまたは管理会社の管理業務の効率化に貢献している。

販売方法としては、直販、取扱店・代理店を通じた販売のほか、OEMでの提供も行っている。2023年12月期末時点の累計導入棟数は、482棟にのぼっている。

(3)「BRO-ROOM」
マンションオーナーの初期導入費用を抑えながら空室のIoTリノベーションを可能にするサービスとして、2023年7月に提供を開始した。これは、三菱地所<8802>の総合スマートホームサービス「HOMETACT」をはじめとしたスマートホームデバイスの設置と、提携先のリフォーム会社による宅内のリノベーションを同時に施工することで、IoTリノベーションを実現するサービスである。「HOMETACT」は、アプリやスマートスピーカーでエアコンやテレビ、照明、カーテンといった複数メーカーの幅広いIoT機器をコントロールできる総合スマートホームサービスである。マンションオーナーは「BRO-ROOM」の導入によって、初期投資の負担を軽減しながら、空室対策をより強化できる。同社によると、既築賃貸市場で債権流動化の仕組みを活用し、初期導入費用0円を実現しているサービスがないことから、サービスの仕組み自体が大きな差別化ポイントになっている。実際、マンションオーナーからの引き合いは好調であり、2023年7月に提供を開始してから数ヶ月で契約と施工実績は200室以上にのぼっている。

(4) 各種IoTデバイス
「B-CUBIC」をベースにIoTデバイスをワンストップで提供しており、スマートカメラ(セキュリティカメラ)、スマートロック、宅配ボックス、スマートサイネージなどを提供している。これらのデバイスも、初期導入費用0円で導入できる。

4. 市場環境と強み
同社は、集合住宅の中でも賃貸・既築をメインターゲットに事業活動を行っている。日本の総人口が減少傾向にありながらも貸家の新設着工戸数は増加しているため、空室率の上昇によりマンションオーナーのキャッシュ・フローが悪化しているという現状がある。同社はインターネットサービス「B-CUBIC」、IoTインターフォンシステム「BRO-LOCK」、宅内IoTリノベーション「BRO-ROOM」を軸にしながら、関連する各種IoTデバイスの提供によって、物件のバリューアップとマンションオーナーのキャッシュ・フローの最大化に貢献している。入居者は「インターネット無料」や「オートロック」といった設備を導入している集合住宅に魅力を感じるため、同社のサービスの導入により、空室率の改善、賃料の上昇などが実現できると言う。

既築賃貸市場で事業活動を行っている同社の強みとしては、以下のものが挙げられる。

(1) マンションに特化したIoTサービスをワンストップで提供
同社は、複数のソリューションと商材の組み合わせによって、インターネットサービスから宅内リノベーションまで、入居者ニーズが高く、物件の付加価値向上に資するIoTサービスをワンストップで提供している。マンションオーナーにとっては、従来別々に契約し、導入する必要があったものを一括で導入できるため、費用負担を軽減できるメリットがある。一方で、同社にとっては、複数の商材・サービスの提供によって、マンションオーナーの多様なニーズに対応し、案件数の上昇やクロスセルによる売上の拡大を見込めるメリットがある。

(2) 管理会社との強固なネットワーク
同社が取引している管理会社の数は876社(2023年12月時点)であり、賃貸住宅管理事業者登録数8,898社(2023年9月末時点)のうち、9.8%との取引実績を有していることになる(2021年6月15日施行の「賃貸住宅管理業適正化法」によって200戸以上の管理業者の登録が義務付けられたことから、賃貸住宅管理事業者の総数が大幅に増加)。管理会社とマンションオーナーは入居率の向上という目標が一致するため、管理会社はマンションオーナーの紹介に協力的であることから、同社は効率的な営業活動が可能になっている。取引管理会社876社とは強固な取引関係にあるため、新規参入企業や競合にとっての競争優位の1つとなっている。

(3)「初期導入費用0円プラン」の導入
同社は債権流動化の仕組みを賃貸・既築市場に応用することでマンションオーナーが初期投資を抑えながら同社のサービスを導入できる仕組みを構築している。賃貸・既築市場で「初期導入費用0円プラン」を提供している競合はほとんどいないと言う。実際に、同社顧客の70%以上が同プランを利用しており、同社サービスの訴求ポイントの1つになっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《SI》

 提供:フィスコ

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