貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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9613 NTTデータグループ

東証P
2,884.5円
前日比
+77.0
+2.74%
PTS
2,872.9円
19:38 11/22
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
29.5 2.34 0.87 2.43
時価総額 4455億円
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IXナレッジ Research Memo(1):2024年3月期第2四半期業績はDXトレンドが追い風となり二けた増収


■要約

アイエックス・ナレッジ(IKI)<9753>※は、独立系の中堅システムインテグレーターである。IT戦略提案、IT化推進などのコンサルティングからシステム開発、検証、保守・運用までシステムのライフサイクルを通じて一貫したサービスを提供する。日立製作所<6501>やNTTデータ<9613>などの大手システムインテグレーターやみずほリサーチ&テクノロジーズ(株)などのユーザー系システム会社、KDDI<9433>などのエンドユーザーなどが主要取引先であり業績は安定している。なお、顧客企業上位10社で売上高の約7割を占める。2023年2月には、土木建築業界に特化してシステム開発を行う(株)シーアンドエーコンピューター(本社:東京都江東区)を子会社化し業容を拡大した。クラウド基盤構築、アジャイル開発、RPA、ブロックチェーンなど先進のIT技術にも積極的に取り組んでいる。

※同社の略称はIKI(IX Knowledge Inc.)で、企業コンセプトのInformation & Knowledge Innovationともリンクしている。


1. 業績動向
2024年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比11.7%増の10,948百万円、営業利益が同15.9%増の876百万円、経常利益が同15.9%増の922百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同13.3%増の615百万円と売上高・各利益ともに二けた成長となった。なお、前連結会計年度末より連結決算へ移行したため、前期(2023年3月期第2四半期)は単体の数値、2024年3月期第2四半期は連結の数値で比較している。売上高については、システム開発において大手ベンダー経由の開発案件、総合物流企業向け開発案件などが拡大し増収に貢献した。また、運用サービスにおいては、大手ベンダー経由の基盤・環境構築案件が好調に推移した。エンドユーザー業種別では、主力の産業・サービスをはじめ情報・通信や社会公共・土木建築が増加した。顧客別ではNTTデータグループ、日立グループ、三井倉庫グループなどが大きく伸長した。営業利益については、同15.9%と大幅な成長となった。増収による売上総利益の増加が大きく影響した。ベースアップを期中に行い人件費が増えたものの、技術者育成(クラウドやRPA、アジャイル等の専門領域の知識を有する人材)による単価の上昇や適正な原価管理により売上高原価率の伸びを抑制し、売上総利益の増加につなげた。販管費に関しては、働き方改革(リモートワークの推進による通勤費や出張費の削減)や社内デジタル化(新たに稼働した新基幹システムによる生産性向上)への継続的な取り組みにより、販管費率は同0.4ポイント低下し、費用の伸びを抑制した。これらの結果、上半期では過去最高の営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益となった。

2024年3月期の業績については、売上高で前期比6.8%増の21,570百万円、営業利益で同7.0%増の1,561百万円、経常利益で同6.1%増の1,626百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同6.5%増の1,094百万円と増収増益を見込んでいる(期初予想どおり)。受注環境については、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)で加速したデジタル化(DX)による企業のビジネス変革の動きは今後も継続し、それを支えるIT投資は堅調に推移すると見込まれる。営業面では、既存案件の拡大とともに、DX・クラウド化案件(オンプレミスからクラウドへの移行や統合など)の受注拡大を目指す。人員の補強がカギとなるが、定期的な新卒採用(2023年4月に74名を新卒採用)に加えて、中途採用(年間10人前後)及びパートナーとの連携も強化しており、機会を逃さない体制が整う。2023年2月に子会社化したシーアンドエーコンピューターの売上高(連結前の売上規模で約7億円)も通期で追加される。通期売上高予想に対する、第2四半期進捗率は、50.8%(前年同期は50.0%)であり、前期を上回り順調に推移している。売上総利益は同11.2%増と堅調に増加する見込みだ。販管費は同13.7%増と増加幅が大きい。人財の処遇の改善を目的にベースアップや賞与の上昇などを過去最大規模で行っており人件費が上昇するためだ。通期営業利益予想に対する、第2四半期進捗率は、56.1%(前年同期は58.7%)であった。弊社では、上期の好業績に加え、同社の顧客ポートフォリオが多様であり既存顧客からの安定的な受注が見込めること、DX・クラウド化の動きが依然として活発であること、M&Aによる土木建築システム分野への進出、人財投資の充実等から、通期業績予想は達成可能であり、むしろ上振れる可能性が高いと見ている。

2. 中期の戦略・トピック
同社は、従業員ひとり一人には十分な能力や個性があり、それを最大限引き出すのが会社である、という信念のもと「人的資本経営」を行っている。システム関連の業務の特性として、大型で長期の案件が少なからずある。このような案件の場合、マンネリ化や個人のポテンシャルが十分発揮されない懸念がある。同社では人事ローテーションや社内教育プログラムを用意し、リスキリングの環境を提供している。また、同社は女性従業員や、外国人(国籍は中国、韓国、台湾、ミャンマーなど)も積極的に採用し、多様な人材の個性に配慮しニーズに耳を傾けている。システム関連業界の課題としては、メンタルヘルスの問題がある。また、近年の新入社員は、コロナ禍での学生生活が長く、リアルなコミュニケーションを求めるニーズが高い。同社では、心の健康は体の健康や人間関係の健全性とも関連しているという考えのもと、スポーツを主体とした交流イベントを積極的に実施してきた。2024年3月期に入ってからも、スナッグゴルフ、フットサル、ウォーキングなどの交流イベントを実施し、下期にもボウリングなどのイベントが予定される。人を大事にする「人的資本経営」を継続してきたことは、採用数の確保や離職率の抑制につながっている。

3. 株主還元
同社では株主還元について、経済環境の変動が激しいことから、安定配当を第一とし、業績や将来の見通し、配当性向、配当利回り等を総合的に勘案し配当を決定する方針である。過去には、減益となった期もあったが、1株当たりの配当金は維持または増配してきた。2023年3月期は、普通配当25円(前期比5円増配)、特別配当5円、配当性向27.4%と大幅な増配。2024年3月期は、普通配当30円(同5円増配)、配当性向25.7%を予想する。過去2期は、利益上振れを背景に期中に配当金予想を上方修正しており、今期も同様に期待が持てる(弊社見解)。

■Key Points
・2024年3月期第2四半期業績はDXトレンドが追い風となり二けた増収。ベアによる人件費増加の一方で単価の上昇・効率化により利益拡大
・2024年3月期は売上高・営業利益ともに約7%成長を予想。足元の受注環境は良好であり、業績は上振れる可能性あり
・社内スポーツ交流イベントを通して人的資本経営を実践中。子会社シーアンドエーコンピューターと商業施設等でのAI活用共同研究をスタート
・安定配当優先。2024年3月期は普通配当を5円増配し配当金30円、配当性向25.7%を予想

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《SI》

 提供:フィスコ

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