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パンデミック、そして米中対立も乗り越えて ファーストリテイリング⑨―Buy&Hold STORIES―
ファーストリテイリング<9983>
第3章Part3
- 第1章 地方紳士服店がフリースブームを巻き起こすまで
- 第2章 「しょせんブームに過ぎなかったのか?」~迷走と試練の日々
- 第3章 「私たちが売るのはLife Wear」 世界企業への道
Part3:パンデミック、そして米中対立も乗り越えて
こんな時だからこそ、世界の人々に「Life Wear」を
「ユニクロ、中国での休業100店に拡大」
2020年1月28日、日本経済新聞は中国・武漢で発生した新型コロナウイルスの感染拡大を受けたファーストリテイリング<9983>の発表を報じた。2015年から16年にかけてのロジスティックスの混乱、価格改定の失敗を乗り越えて、17年から売上高、営業利益、純利益とも過去最高を更新し続けるなど業績が絶好調だった中で、100年に一度のパンデミックが突如襲ったのだ。
まだ多くの日本人が新型コロナを"対岸の火事"と捉えていた時期だが、同社は武漢がある中国・湖北省周辺に多くのユニクロ店舗を出店しており、初期コロナ感染の波の直撃を受けていた。その後、世界的な感染拡大によって、都市封鎖(ロックダウン)と緩和を繰り返したコロナ禍の2年間の社会的混乱について改めて記す必要はないだろう。リアル店舗を中心に事業を展開していた同社が受けた影響は甚大だった。
パニックに陥る世界の株式市場とともに、ほとんどすべての企業の株価が暴落する中で、ファーストリテイリング株も急落。2万円台で推移していた同社株は3月19日の1万3303円まで急降下していく。
そんな中、4月9日の2020年8月期中間決算会見で、柳井はこんな趣旨の話をしている。政府が東京、大阪など主要都市を対象に、初めて緊急事態宣言を発令した2日後のことである。
「新型コロナウイルスは戦後最大の人類の危機だと思います。ですがリーマンショックの10年前と違うのは、グローバル化、デジタル化が進展し、いまや世界が一つになっているということです。それなのに、一部の国や企業、個人が『自分さえよければいい』という目先の利益ばかり追いかける状況が見受けられます。こうした時こそ、冷静に理性的に事態を認識し、『何が本当に正しいことなのか』を常に考え、原理・原則に忠実に対応していきたい」...
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