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伸びゆく海外売上高 ファーストリテイリング⑧―Buy&Hold STORIES―
ファーストリテイリング<9983>
第3章Part2
- 第1章 地方紳士服店がフリースブームを巻き起こすまで
- 第2章 「しょせんブームに過ぎなかったのか?」~迷走と試練の日々
- 第3章 「私たちが売るのはLife Wear」 世界企業への道
Part2:伸びゆく海外売上高
- 2015-2020
有明・次世代型物流センターの混乱と価格戦略の失敗
中華圏を中心に急成長を続ける海外事業。大型店化で安定成長を続ける国内事業。アベノミクスの発動によって、日本経済、特に株式市場に活気がよみがえる中、総じて好循環が生まれたかに見えたファーストリテイリング<9983>。
ただし、柳井は普通の経営者を見るような物差しでは決して測ることができない経営者だということを忘れてはいけない。これまでも、何度でも常識的には考えられないような思考と行動によって同社の事業を進化させ、世界有数のアパレル企業へと育ててきた。むろん、すべてが成功するわけではなく、自著のタイトル(『一勝九敗』)が象徴するように、大きな成果を挙げるまでには数限りない失敗の歴史がある。
業績も株価も好調だったが、すでに柳井の視線はさらに高みに向けられていた。何と言っても、2020年に売上高5兆円、という具体的な目標を公表していたのだから、満足などできるはずがない。前社長の玉塚元一は後に、柳井から学んだことを聞かれ、非常に興味深いことを語っていた。「企業の成長3倍ルール」という柳井独自の理論だ。
「企業が3倍の成長を目指すとき、例えば年商100億円の企業が300億円、300億円が1000億円、1000億円が3000億円、3000億円が1兆円になるには『ある組織や構造、人材などさまざまな成功体験を一度、全て否定したうえでないと、次のステージに入ってはならない』という教えだ」(『週刊ダイヤモンド』2017年7月8日号)
過去最高の業績を達成した15年8月期の決算発表の席上、柳井は今後の成長戦略として、「ユニクロを世界No.1ブランドにする」と明言した。これまでの「真のグローバル・カンパニー」や「世界で唯一の」といった表現を、「世界No.1」という具体的な言葉に変え、さらに一段、目標をステップアップしたのだ。これまでの柳井の行動を見ると、こうした遠大な目標を掲げた場合には、周囲を驚かせるような新たなチャレンジや、成功体験を否定するようなドラスティックな改革が行われてもおかしくない。...
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