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6769 ザインエレクトロニクス

東証S
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超絶株高の序章、生成AIと併走「エッジAI関連」急騰前夜の5銘柄 <株探トップ特集>


―クラウド使わず端末でAIを堪能する時代へ、高速レスポンスかつセキュアで省電力―

 人工知能(AI)の進化が著しい。2024年の株式市場でも世界的にこのAIが投資テーマとして脚光を浴びることは間違いがないだろう。AIには目に見える形というものがない。しかし、その存在は絶対的であり進化のプロセスはもはや人類の歴史とシンクロナイズしている状況にある。次世代成長産業に位置付けられる自動運転車ドローン、ヘルスケア、金融、物流、そしてメタバース分野などでAIは水のように浸透し、技術革新の礎となっている。

 特に近年は「生成AI」の登場によってその存在感が急速に高まってきた。従来は人間がプログラミングした範囲内、つまり人間の意思のもとでその図抜けた演算能力を発現させるに過ぎなかったが、生成AIはその枠組みを打ち破る第一歩となったといってもよい。人間と同様に背景知識を持たない状態からビッグデータをバックヤードに自ら学習し、独自に画像や音声、文章といったコンテンツを人間以上のクオリティーでなおかつ短時間で生成することを可能とした。

●生成AI時代の号砲鳴る

 米スタートアップのオープンAIが22年11月に提供を開始した「Chat(チャット)GPT」はこの生成AIというコンセプトを大衆に知らしめ、世界を政治、経済の両面から大きく揺さぶった。オープンAIにはITの巨人マイクロソフト<MSFT>が目ざとく巨額の資金を投下し、検索や法人向けクラウドサービスにチャットGPTを取り込み生成AI分野で先行したことは周知のとおりである。今後これに加えて、進化した「感情AI」が社会に実装された場合、AIが人間の知能の総和を凌駕するシンギュラリティ(技術的特異点)の時代が一気に現実味を増すことになる。

 さて、既にグーグルなどのWeb検索に生成AIが導入されるようになり、進化の過程はリアルタイムで我々の日常に同化されているが、ここで避けては通れぬ課題も浮かび上がっている。チャットGPTなどの生成AIはクラウドサービス(クラウド上で処理を行う)が基本だが、これがレスポンスの遅延や、プライバシー保護などセキュリティー面のリスクをはらむことになる。また、ユーザーが驚異的な伸びを示していることでインフラ面への影響も無視できない。具体的にはクラウド活用に伴うデータセンター増設によって電力消費量が膨大化すること。大量の電力が世界的規模で消費されれば、電力不足の問題も近い将来に改めて取り沙汰される可能性が高い。これは単にユーザー側の通信コスト負担に関する話では収まらず、社会問題の色彩を帯びる懸念すらある。

●そして頭角を現したエッジAI

 そこで「エッジAI」という新たな技術領域が脚光を浴びている。エッジAIとは、クラウドサービスと異なり、ユーザーが保持する端末側でデータを処理するAIのことを指す。クラウドを介さないことでレスポンスが速くプライバシーも安泰、更に電力消費量を大幅に減らし、通信コストも低減できるなど前述した課題をことごとくクリアする。ネットワーク端末といえばスマートフォンが真っ先に浮かぶが、例えば現在スマホに搭載されている写真の画像処理などはエッジAIの領域に属している。

 米国ではモバイル半導体大手クアルコム<QCOM>のスマホ向けプロセッサー「Snapdragon8 Gen3」が生成AI対応の先駆的商品として耳目を集めているほか、クアルコムはスマホやパソコンだけでなく IoT端末でもグループ企業を通じて独自LLM(大規模言語モデル)を提供するなど、エッジAI分野のプラットフォーマーとして名乗りを上げている。一方、CPU世界トップであるインテル<INTC>はNPU(ニューラルネットワークを組み込んだAI専用プロセッサー)内蔵の「Meteor Lake」を昨年9月にリリースしており、今年はNPU搭載パソコンが市場を席巻する可能性がある。

●新NISAで第4次AIブームを満喫

 米エヌビディア<NVDA>は画像処理半導体(GPU)「H100」で爆発的需要を捉え業績と株価を大変貌させたが、これは生成AIというビッグウェーブに乗ったからこそである。GPUと生成AIの相性が奇跡的といえるほど抜群だったことが同社株を「1兆ドルクラブ」に招き入れたことは論をまたない。

 エヌビディアの成功例を引くまでもなく、チャットGPTに代表される生成AIが第4次AIブームの立役者であることは間違いないが、これらがクラウド上から端末搭載型へと変遷を遂げる一大プロセスが想定されるのが20年代半ばである。エッジAIは生成AIと同じ道程を行く新たな成長カテゴリーとして、日米株式市場で早晩強力な投資テーマとして認知されることが予想される。

 今年は1月スタートの新NISA導入が呼び水となって、個人投資家のニューマネーの流入が観測されている。その際に長期保有で安心の高配当利回り株などが選好されているようだが、これは既定路線ということでは決してない。企業の株式を長期保有するうえで、業績成長に伴うキャピタルゲインの獲得こそが株式投資の醍醐味である。新NISAで個別銘柄に振り向ける資金はくしくも「成長投資枠」と命名されている。今回のトップ特集では「エッジAI関連株」に位置付けられる銘柄群の中から、株価変貌余地の大きい5銘柄を厳選セレクトした。中長期的に大幅なキャピタルゲインを狙える銘柄群で辰年・昇竜相場のダイナミズムを満喫したい。

●辰年相場で本領発揮のエッジAI関連5銘柄

◎ヘッドウォータース <4011> [東証G]

 ヘッドウォはAIを活用した多角的なソリューションビジネスを手掛け、生成AI分野で先行し、なおかつエッジAI分野にも積極的に踏み込む。エッジAIデバイスで収集した大量のデータを画像解析するエッジAIセンシングプラットフォーム「AITRIOS」とインテリジェントビジョンセンサー「IMX500」を活用したソリューションでは、ソニーグループ <6758> [東証P]のグループ企業と連携して事業強化に余念がない。

 直近では昨年11月にソニーGの100%子会社であるソニーセミコンダクタソリューションズなどと協業でローソン <2651> [東証P]の店舗DXに向けたエッジAI活用による実証実験を3月から8月にかけて実施したことを発表。また、米エヌビディア<NVDA>の正規代理店でもあるマクニカホールディングス <3132> [東証P]傘下のマクニカと協業し、エッジAIの企画・運用のサポート体制を強化するなどしている。

 ヘッドウォは足もとの業績も好調だ。特にトップラインの伸びが顕著で23年12月期は前の期比47%増の23億2000万円を見込んでいる。株価は昨年11月に1万790円の高値をつけた後調整を入れているが、時価は75日移動平均線絡みの7000円台後半まで水準を切り下げており、再浮上のタイミングが近い。

◎オプティム <3694> [東証P]

 オプティムは企業向けにスマートフォンやパソコンなど端末デバイスの管理・運用サービスを展開する。AI・IoT、クラウドサービス、ロボティクス技術などを駆使して、企業のデジタライズを支援、多様なソリューションを提供するが、エッジAI分野でも先行している。ネットワークカメラを活用してリアルタイムで画像解析ができる「OPTiM AI Camera」はマーケティング、セキュリティー、業務効率などの領域で顧客ニーズを捉え、多方面で需要を開拓している。

 成長性の高さはもとより、ストック型のライセンス収入を中心に安定した売り上げ基盤も評価できる。24年3月期業績は売上高が前期比10%増の102億500万円予想と2ケタ伸長で初の100億円台乗せを果たし、過去最高を更新する見通しだ。営業利益も同11%増の19億3900万円と3期ぶりのピーク利益更新が濃厚だが、下期偏重型の収益構造で、一段の上振れも視野に入る。

 株価は昨年12月下旬に740円台まで下押し昨年来安値をつけた後、底入れ反転を明示している。時価は依然として値ごろ感があるが長期トレンドでも大底圏にあり、ここからの上値余地は大きい。まずは4ケタ大台復帰が目標となる。

◎ソリトンシステムズ <3040> [東証P]

 ソリトンは売り上げの9割以上を、サイバー攻撃対応のセキュリティー対策ソフトと認証システム開発を軸とするシステム構築で占めている。自社独自のテクノロジーを使った製品開発を強みとし案件獲得につなげている。このほか、高画質映像伝送や人感センサーの育成にも努める。

 また、長きにわたって半導体の回路設計に携わり、FPGA向け高位合成ツールの開発や同ツールによるディープラーニングアルゴリズムの開発で先駆、ここで培った技術力を生かし超低消費電力のアナログエッジAIチップの開発に取り組んでいる。同AIチップは21年6月に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)にも採択されるなど実力は折り紙付きだ。業績は23年12月期の営業利益が前の期比28%増の26億円と2期ぶりに過去最高利益更新を見込んでいる。

 株価は昨年12月中旬に1540円の高値形成後、調整局面に移行するも1300円台後半で売り物をこなし再浮上のタイミングが近い。20年10月に2302円の上場来高値をつけたが、時価はそこから4割下落した水準でお買い得感がある。営業ピーク利益更新が見込まれるだけに、中勢2000円台活躍を視野に置いた強調展開を期待。

◎ザインエレクトロニクス <6769> [東証S]

 ザインは産業機器向けなどを主力に特定用途向け半導体を自社ブランドで独自開発するファブレスメーカー。アナログとデジタル双方における深い知見を生かしたミックスドシグナルLSI製品の開発や、AI・IoT分野におけるハードウェア及びソフトウェアを幅広く展開する。ハイスペックな高速インターフェースと画像処理技術を有するが、とりわけエッジAIカメラソリューションで実力を発揮、ディジタルメディアプロフェッショナル <3652> [東証G]とは協業体制で次世代スマートBEMS(ビル・エネルギー管理システム)をはじめとするソリューションに取り組んでいる。

 業績面では23年12月期はOA向けが振るわず、営業損益が7700万円の赤字に転じる見通しだが、これは株価的には織り込み済み。一方、24年12月期は車載向けなどが牽引し回復色を鮮明とし、営業損益は5億~6億円の大幅黒字化が見込まれる。

 株価は820円近辺を横に走る75日移動平均線を支えに切り返す展開となっており、ここは追撃で臨むところ。昨年7月中旬につけた1000円(昨年来高値)以来となる4ケタ大台回復が視野に入る。

◎ニューラルグループ <4056> [東証G]

 ニューラルGは独自開発のAIアルゴリズムによる画像解析のほか、エッジAIソリューション提供などAIエンジニアリング事業を手掛け、AI搭載のサイネージ広告で高実績を有する。業績面は22年12月期に続いて23年12月期も6億3000万円の営業赤字が見込まれているが、トップラインについては22年12月期に3倍近い大幅な伸びを示し、23年12月期も2ケタ増収で32億円を見込むなど好調さが際立っている。

 昨年12月22日に共同通信社(東京都港区)との資本・業務提携を発表し注目を浴びた。共同通信社とはそれ以前から各種サイネージにおけるコンテンツ放映などで協業した経緯があるが、今回の提携でサイネージ領域での連携を一段と強固なものとする。共同通信社とクロスプラス <3320> [東証S]を割当先とする第三者割当増資(18万832株、発行価額1株当たり1106円)も発表しており、今後の展開力に期待が膨らんでいる。

 株価は底値圏から浮上の気配を見せており、昨年12月中旬以降は13週移動平均線を上回った水準で推移。日足一目均衡表も雲抜けを果たしており、短期的にも大勢トレンド転換を示唆している。

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