粧美堂 Research Memo(5):2023年9月期は上方修正値を上回る大幅営業・経常増益で着地
■業績動向
1. 2023年9月期連結業績の概要
粧美堂<7819>の2023年9月期の連結業績は、売上高が2022年9月期比18.3%増の20,443百万円、営業利益が同36.9%増の869百万円、経常利益が同57.7%増の972百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同7.1%減の475百万円だった。為替の円安影響、物流費や人件費の増加などのマイナス要因があったが、アフターコロナの消費正常化の流れやメインユーザーである若年層女性の外出機会増加という事業環境に加えて、重点販売先戦略や自社企画商品戦略の推進が奏功し、全体として前回予想(2023年8月10日付で2回目の上方修正、売上高19,600百万円、営業利益770百万円、経常利益820百万円、親会社株主に帰属する当期純利益490百万円)を上回る大幅営業・経常増益で着地した。自社企画商品の売上高は同25.2%増の17,048百万円で、自社企画商品の売上構成比は同4.6ポイント上昇して83.4%となった。
売上総利益は同11.8%増加したが、売上総利益率は同1.5ポイント低下して26.3%となった。円安影響やOEMビジネス拡大により売上総利益率が低下したが、OEMビジネスは受注生産で返品がないため在庫処分リスクが無く安定収益源となる。なお為替影響への対応策としては、商品採算を意識した取扱商品の選択と集中、キャラクターを含む高付加価値商品の企画・開発を推進した。販管費は同7.9%増加したが、販管費比率は同2.1ポイント低下して22.0%となった。販管費の内訳は人件費が同5.1%増、販売促進費が横ばい、広告宣伝費が同0.2%減、物流費が同19.4%増、減価償却費が同10.5%増、一般管理費が同9.0%増だった。人件費については従業員数の増加を抑制しているが、業績好調を受けて成果主義に基づくインセンティブが増加した。物流費は売上拡大に伴って大幅に増加した。減価償却費は一部を賃貸用に供していた箕面の物流施設を自社利用に切り替えたことにより増加した。この結果、営業利益率は同0.6ポイント上昇して4.3%となった。営業外損益では、為替デリバティブ取引の時価評価に伴う為替差損益が差引92百万円改善(前期は為替差損5百万円、当期は為替差益87百万円)した。親会社株主に帰属する当期純利益は前期に計上した固定資産売却益192百万円の剥落、及び中国事業縮小に伴う事業整理損109百万円の計上により減益だった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《SI》
提供:フィスコ