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6390 加藤製作所

東証P
1,250円
前日比
-10
-0.79%
PTS
1,253.2円
14:58 06/18
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.29 39.71
時価総額 147億円
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加藤製作所 Research Memo(1):創業以来130年近い歴史を持つ大手建設機械メーカー


■要約

加藤製作所<6390>は、1895年の創業(個人事業)以来130年近い歴史を持つ大手建設機械メーカーである。経営理念に「優秀な製品による社会への貢献」を掲げ、社会インフラ構築に欠かせない建設機械のパイオニアとして、現在は建設用クレーンや油圧ショベルを主力として事業展開している。顧客の要望に応え、「頑丈」「力強い」「操作しやすい」といった顧客視点の製品づくりを特徴としており、顧客から高い信頼を得ている。

1. 建設用クレーンと油圧ショベルが主力
建設用クレーンの主要製品はラフテレーンクレーン、オールテレーンクレーン、クローラクレーンである。油圧ショベル等の主要製品は油圧ショベル、ミニショベル、クローラキャリア、その他の主要製品は路面清掃車、万能吸引車、スノースイーパなどである。2016年にIHI建機(株)を子会社化(その後2018年に吸収合併)し、クローラクレーン、ミニショベル、クローラキャリアなど製品ラインナップを拡充した。品目別の売上高構成比は建設用クレーンが6割、油圧ショベルが4割弱、全体の海外向け売上比率は3割前後で推移している。同社の市場におけるポジションとしては、建設用クレーンでは大手、油圧ショベルでは中堅という位置付けである。新製品開発では2023年3月に、世界初の「ハイブリッドラフター(ラフテレーンクレーン)」製品化計画を発表した。カーボンニュートラル対応機種の第1弾として2024年春に上市を予定している。

2. 2024年3月期第2四半期累計は大幅増益で収益回復基調
2024年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比13.0%増の29,568百万円、営業利益が同165.6%増の800百万円、経常利益が同60.5%増の1,604百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同164.6%増の2,521百万円だった。収益性重視戦略が奏功して大幅増益となり、収益回復基調が鮮明となった。売上面では、主力製品における一部主要部品の供給制限が継続していることに加え、中国では厳しい販売環境が続いたが、東南アジアや欧米の好調が牽引した。営業利益は、販管費が増加したものの、収益性重視戦略による売価・原価・製品構成改善、アフター部品の拡販、為替の円安効果などで吸収して大幅増益だった。営業利益の同498百万円増の内訳は、部品供給問題の影響などによる販売台数の減少で166百万円減、売価・原価・製品構成・その他の変動で814百万円増、アフター部品の販売強化で122百万円増、為替の円安効果で228百万円増、販管費の増加で500百万円減だった。

3. 2024年3月期通期は減益予想据え置きだが上振れの可能性
2024年3月期通期の連結業績予想は期初計画を据え置いて、売上高が前期比4.3%増の60,000百万円、営業利益が同4.7%減の1,200百万円、経常利益が同51.8%減の900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同16.8%減の2,000百万円としている。需要は緩やかに回復基調であるが、一部部品の調達難による主力製品の供給制約を見込んでいるほか、原材料・エネルギーコストなどの不透明感も考慮して、増収ながら減益予想としている。なお営業外収益では為替差益(前期は413百万円計上)を見込まず、特別利益では子会社KATO WORKS (THAILAND)(解散及び清算手続中)における固定資産売却益を計上(第2四半期に1,255百万円計上済み)する。上期の進捗率は売上高が49.3%、営業利益が66.7%、経常利益が178.2%、親会社株主に帰属する当期純利益が126.1%と高水準である。加えて、収益性重視戦略を推進して建設需要が旺盛な欧米・東南アジアでの拡販、利益率の高いアフター部品の拡販、さらなる原価低減などに注力する方針であること、為替が想定より円安水準で推移していることなどを勘案すれば、会社予想は上振れの可能性が高いと弊社では考えている。

4. 中期経営計画(2022~2024)の進捗は順調
同社は2022年3月に中期経営計画(2022~2024)を策定し、テーマには「スリムで骨太体質への変革」、基本方針には収益改善・強化、財務体質の改善、将来の基盤構築を掲げた。次なる飛躍に向けた徹底的な変革の3年と位置付けて、コスト構造を根本から見直し、強靭な利益体質へ生まれ変わるための抜本的対策を織り込んだ。主要財務目標値には2025年3月期の売上高664億円、売上原価率83.2%、営業利益率4.7%を掲げている。こうした収益性重視戦略の推進により、計画1年目の2023年3月期は4期ぶりに営業黒字に転換した。2024年3月期は主力製品の供給制約や不透明感を考慮して減益予想としているが上振れの可能性が高く、2025年3月期も収益性重視戦略で利益率の高い機種やアフター部品の拡販に注力する方針である。建設用クレーンの新製品については、2025年3月期の上期に1機種、下期に1機種の投入を計画しているほか、世界初の「ハイブリッドラフター」の発売も予定している。さらに、グローバル展開の加速に向けて、需要旺盛なアジアに向けて新たな生産拠点を確保すべくインドでの事業開発の検討など次期中計に向けた準備も着々と進めている。こうした状況から、中期経営計画の進捗はおおむね順調であり、部品供給問題の解決が見込まれる2025年3月期においては計画数値の達成は十分可能であると弊社では考えている。

■Key Points
・130年近い歴史を持つ大手建設機械メーカーで、建設用クレーンや油圧ショベルが主力
・2024年3月期第2四半期累計は大幅増益で収益回復基調
・2024年3月期通期は減益予想据え置きだが上振れの可能性
・次なる飛躍に向けた徹底的な変革の3年と位置付ける中期経営計画(2022~2024)の進捗は順調
・さらなる収益性向上に向けた意欲的な施策にも注目

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SI》

 提供:フィスコ

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